アジャイルのトレンドを読み解く|15th State of Agile Report
今回は、Digital.ai社が発表した「15th State of Agile Report」の考察記事になります。
アジャイルのトレンドとして、主流なアプローチやツール、課題などについて印象的だった部分を私なりに考察してご紹介します。
「15th State of Agile Report」とは
「15th State of Agile Report」は、アジャイルのトレンドに関する調査結果です。Digital.ai社が年に一度発表しており、今回が15年目のレポートになります。
今回の調査は、2021年2月〜4月に寄せられた4,182人の回答が対象の模様です。
「15th State of Agile Report」は、こちらのリンクから確認できます。
https://stateofagile.com/#
ちなみにDigital.ai社は、DX支援を行う会社のようです。アメリカのテキサスに本社を構え、VSM構築を中心に手広く行っています。
レポート内容
以下からいくつかのカテゴリに分けてご紹介していきます。
アジャイルの経験
昨年のレポートと比較すると3年以上の割合は4%増加、内5年以上の割合が5%増加、2年未満の割合は4%減少しています。
チーム内での適用については、52%の割合は変化なし。全く適用していない回答が2%減少しています。
新たにアジャイルに取り組む企業が増えているというよりも、これまで取り組んできた企業の経験年数が伸びており、経験年数での差が企業間で開き始めている傾向にあると思います。
アジャイルの適用
アジャイルを適用する理由は以下のとおりです。過去と比較しても大きく変わりません。
アジャイルデリバリーの成功を測る指標として、回答者の約半数が外部指標を選択しています。内部指標としてベロシティが重要視されていることも分かります。
アジャイル導入の課題
アジャイル導入の大きな障壁は”文化”であるという課題が、数年前は10人中8人以上の回答者だったのに対し、現在では10人中4人をわずかに上回る程度になります。
これらから組織文化とアジャイルの価値観が一致し始めている傾向にあります。
アジャイルのアプローチ、テクニック
スクラムが大半を占めています。昨年と比較すると8%増加、最初の調査から比較すると26%増加しています。
スクラムをベースにしたカンバンやXPのハイブリッドアプローチを含めると81%がスクラムベースでアジャイルを行っていることになります。
XPのような他のアプローチは、回答者の約4分の1が使用していたのが、現在では1%未満にまで落ち込んでいます。
プラクティスについては大きな変化はありませんが顕著なのは、カンバンボードです。最初の調査では6%だったカンバンボードは、現在61%の回答者が使用しています。
スケーリングフレームワークは、SAFeが大半を占めています。当初はSoSが主流だったのに対し、ここ5年で徐々にSAFeが主流のようです。
以前、SAFeは別の記事でも紹介しています。
アジャイルのツール
トップ3は、以下のツールです。
意外だったのは、Asanaなどのメジャーどころがあまりランクインしていなかった点です。前回レポートではEXCELが40%で2位でしたが、15位まで降格しています。
ツールについて別の記事でも紹介しています。
DevOpsとVSM
DevOpsへの関心が年々高まっているようです。
過去4年間で、DevOpsによる変革を「非常に重要」と考える企業の割合は増加しています(33%→42%)。一方でDevOpsを「やや重要」または「重要ではない」と考える企業の割合は減少しています(35%→25%)。
デリバリーの高速化と品質向上への意識が年々強まっているということだと思います。
DevOpsの成功指標は以下のようなものが挙げられています。
VSMについては、前回から大きく変わっていません。横ばいです。
回答者の半数以上(56%)がVSMを導入しているか、導入を計画しています。さらに23%がVSMに関心を持っていると回答しています。
アジャイルのトレンドまとめ
今回は、Digital.ai社の「15th State of Agile Report」について私なりに考察しました。
アジャイルの動向としてポイントは以下です。
詳細は、以下のリンクから「15th State of Agile Report」にてご確認ください。
https://stateofagile.com/#
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※本記事の内容は個人の見解であり、私が所属する組織とは一切関係ありません。
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