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料理人雑記(過去編)

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今から20年以上前、料理の世界に飛び込んだばかりの生意気な若僧が体験した日々を、記憶の糸を手繰り寄せながら綴っています
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ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#6鬼の所業

ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#6鬼の所業

業界の相場的にはどうだったのか、知る由もありませんが

僕の新卒1年目の手取りは11万円でした

寮住まいで、休みの日以外は賄いも有ったし、コックコートは会社負担でクリーニングもしてくれる

貯金出来るほどでは無かったものの、生きていくのに苦労した覚えはない

それでも初任給の殆どを、包丁に使うのは勇気が必要だったと思う

8万円の杉本包丁

中華料理店に勤める料理人で「杉本」の名前を知らない人は

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ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#5我慢の限界

ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#5我慢の限界

生意気な若僧だった自覚はある

それでも自分を保つ事が出来るくらいの努力はしたつもりだった

それでも

どうにもならない日はやって来る

同期や先輩に睨まれるのにも慣れて来たものの

それでも面白がって可愛かってくれる奇特な先輩が2人

自分より2年早く入社した同い年の先輩と副料理長

馬鹿で生意気な小僧が、つまずきながらも何とかやって行けたのは2人のお陰だった

職場で2回目の春を迎えた時期

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ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#4異質の中の小僧っ子

ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#4異質の中の小僧っ子

今思えば、随分と平均年齢の若い店だったように思う

戦後焼け野原の大阪で

先代社長が一本独孤で立ち上げた中華料理店は、60年の時を経て10近い店舗を抱えていた

その中で、新しい試みを20代中心の若いスタッフで

そんな店に配属されたものの

会社内のパワーバランスの複雑さに翻弄される日々が続いた

ワンコインランチとまではいかないまでも、安価なメニューを並べる店舗が中心の会社で

客単価700

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ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#3井の中の蛙

ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#3井の中の蛙

「お前は指が長いから、職人向きやな」

事ある毎に繰り返した父の気持ちが

今なら少し理解も出来る

戦前から繋がれた伝統を、自分の代で終わらせる無念さは有っても

時代に取り残された職業に向いているとは言えなかったのだろう

勉強が出来ないわけでも、運動神経が鈍いわけでもなかったし

ある程度の努力でそつなくこなすが、トップには立てない

器用貧乏は自覚していたものの、それほど嫌悪感は無かった

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ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#2「長」にならなきゃ・・・

ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#2「長」にならなきゃ・・・

どうしても、早く「長」になりたかった。

初めてのアルバイトは、地元のファミレス

高校部活のスキをぬって稼いだ無けなしは、物販の販売目標を名目に、恐喝まがいで掠め取られた

調理師学校に通いながら勉強半分で働いた店では、意識の高さ故の使いづらさに辟易した上司から解雇を言い渡され

学生最後のアルバイトでは

「ライブが近いから」と、閉め切った店長室で愚か者がスタッフの「Help!」を老獪なリフで

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ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#1「料理人になったきっかけは?」

ちっちゃい店のオーナーシェフ青春雑記#1「料理人になったきっかけは?」

聞いた相手が納得しやすいテンプレートを探すか

それとも多少の誇張を交えてでも起伏のある物語に仕上げようか・・・

どちらにしたって聞き手にもメンツが有る

「子供の頃、何の気なしに作ったカレーを両親が褒めてくれて・・・それが切っ掛けかもしれないですねww」

嘘を吐いたつもりはないけど、たったそれだけで人生の方向を決めるほど短気でもない

本当の理由なんて

「なんとなく」以外の何物でもない

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