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【完全ガイド】採用CX(候補者体験)〜感動体験をつくる採用活動〜(プロセス設計シート付)


こんにちは!
今までEX(従業員体験)に関して熱く語ってきてしまいましたが笑、
今回はそのEXと深いつながりがある採用CX(候補者体験)についてお話させていただきます。

※ページ最下部に、成功する採用チームが実践する「採用業務チェックシート」のDLフォームを載せております。ぜひご活用ください。

【このシリーズを読んでほしい人!】
・「いい人」が集まる採用の仕組みをつくりたい経営者、人事担当の方
・「本質的な採用活動」の仕組み作りをしたい人事担当の方
・採用CXに取組みたいものの、イマイチ現場まで落とし切れず苦戦している人事担当の方
・面接に入るものの、もっと良い求職者との関わりを模索するマネージャーの方

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・感動体験をつくる、「採用CX(候補者体験)」の概要が理解できる
・採用CXにおける実行戦略イメージが湧く
・採用活動の質が向上し、選考遷移率等の改善に役立つ



0.採用CX(候補者体験)って?

 CX=顧客体験と同じ略語ですが、今回ご紹介するのはCandidate Experience(候補者体験)です。候補者が企業を認知してから選考~採用されるまでの、企業と候補者の各タッチポイントにおける一連の体験を指します。

●採用CX(候補者体験)
 候補者もステークホルダー
として考え、採用プロセスの全体体験を高めていくことで、採用力向上と自社のファン獲得を目指す動きです。

「採用」でも「不採用」でも、「候補者に最高の体験を提供する」ことが、採用CXを考える上での根本概念になります。


1.採用CX(候補者体験)とEX(従業員体験)の関係性

 PwCの調査によると、「採用プロセスでの悪い経験に基づいて内定を辞退した」と答えた求職者は、なんと全体の 49% にも及びます。このため、昨今の人材獲得競争の中で、優秀な方を仲間に引き入れ、そして会社で活躍してもらうためには、採用段階から中長期的な関係を見据えた採用体験を提供することが必要不可欠になってきています。

 また、不十分な採用体験を提供することにより、1 人の候補者が会社に否定的な印象を持つだけではなく、SNSや会社評判サイトでの風評被害や、優秀な方の採用チャンスを手放すことに繋がってしまいます。

 求職者が実際に、入社後の会社文化を直接体験する機会、それが採用CX(候補者体験)であり、入社後のEX(従業員体験)を間接的に体感する機会でもあるのです。採用CXを上げる取り組みを行うことが、会社文化と従業員体験そのものをつくっていくことにもつながっていきます。

「従業員体験は、採用の段階から始まっている」と言っても過言では無いですね。



2.採用CXが注目を集める背景

✔︎ 少子高齢化 → 労働人口の減少
✔︎ 終身雇用制度の崩壊 → 人材の流動化
✔︎ ネットによる採用情報のオープン化 → 情報入手の簡易化

 あげればキリがないほどの採用市場の変化に伴い、企業が候補者を選ぶ時代から、候補者が企業を選ぶ時代に突入しました。下記にも簡単にまとめてみましたが、社会情勢も相まって、採用CX(候補者体験)の重要性がより後押しされていることがわかります。

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 結果、自社を魅力的にみせる働きはもちろん、自社の文化や価値観を体現できるような情報配信や採用プログラムを実施することが求められるようになり、採用CX(候補者体験)の改善に着手する企業が急増しているのです。


3. 採用CX設計のポイント1 全体ストーリー

 先ほどの目次1でも紹介しましたが、採用CX(候補者体験)が採用活動の選考遷移率に非常に大きな影響を及ぼします。下記に、簡単にまとめてみました。

●採用CX(候補者体験)設計のポイント

① タッチポイント(選考フェーズ)に応じた適切な情報提供が行えるストーリー設計を行う

② 自社の魅力を細かく言語化ベネフィットに転換し、採用に関わるステークホルダーが伝えられるようにする

③ 課題や将来展望など、公開情報だけではわからない求職者の気になる情報も可視化し、取り組み状況を伝え期待値調整を行う

④ 自社の文化や価値観を体現する選考プロセス設計を行い、採用に関わるステークホルダーにも浸透させる

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3-① タッチポイントに応じた適切な情報提供&ストーリー設計

 高い求職者体験価値を提供するためには、各選考プロセスにおける求職者との各タッチポイントの整理をしていくところから始めます。上記で述べた、①と③を整理していく上で、採用CX(候補者体験)におけるストーリー設計をしていくことが有効です。また、手段としては、採用CXジャーニーマップなどを作成し、整理していくことで、全体感がより整理されていくはずです。

① タッチポイント(選考フェーズ)に応じた適切な情報提供が行えるストーリー設計を行う


それでは、手順をみていきましょう。
まず、現状の選考フローを整理した上で、
✔︎ 自社がすでに設けているタッチポイント(現状)
✔︎ 選考において歩留りが発生しているタッチポイント(課題)
を羅列していきます。

 下記、一般的な採用プロセスにおける、タッチポイント例をまとめてみましたのでご参考ください。

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 次に、それぞれのタッチポイントにおいて、求職者がどんな期待を持っているのか、それに沿った情報提供と有効なコミュニケーションが行われるための施策の検討を行うため、採用CXストーリーを整理していきます。

項目に正解はありませんが、選考プロセスに加えて、
✔︎ 候補者行動
✔︎ 候補者心理(想い・期待)
✔︎ 上記に追加して、あった方が良いタッチポイント(求人メディア・サイトetc)
✔︎ 訴求時ポイント
などを組み込み、整理すると自社の課題を明確にすることが出来るはずです。私たちが実際に使用しているジャーニーマップの事例も載せておきますね。

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 以下実際にプロセス設計を行えるプロセス設計シート(CXジャーニー)の事例も作成したので、ご興味のある方はぜひご活用ください。


3-②③ 自社の魅力・課題を言語化し、期待値調整を行う

 この部分を語るだけでも非常にボリューミーなので、詳細は別記事にまとめていこうと思いますが、求職者に各タッチポイントの中でしっかり情報提供を行うためには、自社内での魅力や課題を整理し、伝えられる状態をつくるところからがスタートです。先述した②と③に当たるポイントです。

② 自社の魅力を細かく言語化ベネフィットに転換し、採用に関わるステークホルダーが伝えられるようにする 
③ 課題や将来展望など、公開情報だけではわからない求職者の気になる情報も可視化し、取り組み状況を伝え期待値調整を行う

 魅力を言語化と言われても一体何から…とうふうになるケースが非常に多いと思います。考え方としては、以下のような、4Pなどのフレームワークを活用し、社内の採用に携わるステークホルダー+経営陣+人事メンバーなどで、ワークショップ形式などで魅力整理を行うと良いです。

 採用CX(候補者体験)をあげていくためには、情報素材づくりに力を入れることが必須になります。情報を整理する活動を行うことは、求職者への情報提供に有用なだけでなく、採用に携わるステークホルダーの採用への意識の向上や、経営層の現場理解にも役立ちます。

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3-④.文化や価値観を体現する選考プロセス設計

 3-①で採用CXのストーリー設計を行いジャーニーを作成し、求職者心理を整理した上で、自社の魅力や課題だしを行いました。最後に、それらを情報としてまとめて、選考プロセスや、選考オペレーション、各タッチポイントにおけるアウトプットへと反映していきます。

④ 自社の文化や価値観を体現する選考プロセス設計を行い、採用に関わるステークホルダーにも浸透させる

 冒頭にご紹介したPwCのリサーチにも、採用CX(候補者体験)の中で、下記のようなデータがありました。

✔︎ 候補者の2/3 は、パーソナライズされた最初のアプローチ(昨今で言うと、ダイレクトリクルーティングにおける個別メッセージなど)により、その企業への応募可能性が高くなる
✔︎ 候補者は、採用プロセス全体を通じて、積極的で直接的な人間関係(=人間味のあるやりとり)を望んでいる
✔︎ 候補者の 39% が、面接の過程で断られた場合、面接を行った相手の話を聞きたいと回答
✔︎ また、78% が、面接後に断られた場合、説明とフィードバックが欲しいと回答

 こう言った求職者心理も反映しながら、選考プロセスや選考オペレーションへと反映させていけると良いかと思います。


4.各タッチポイントへの反映

 上記、魅力や課題感の整理ができた後、選考プロセスなどの改善に着手し、さらにタッチポイントの改善に着手していきます。特に、すぐ取り組みやすく、効果の高い施策としては以下です。

✔︎求人票のブラッシュアップ
✔︎求人メディアの掲載文のブラッシュアップ
✔︎採用ピッチ資料の作成〜反映 
✔︎求職者管理におけるやりとりメッセージの見直し
✔︎面接官への魅力訴求のための面接トレーニング

 ジャーニーマップのストーリーと合わせながら、採用プロセスにおいてそれぞれ適切と思われる情報を整備し、アウトプットしながら、PDCAを回していくことで、より高い採用CX(候補者体験)の運用を実現していくことが可能になります。

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 上記のように、ジャーニマップで作成した各タッチポイントにおける、詳細なコミュニケーション設計を行なっていきます。
特に、「3-②③ 自社の魅力・課題を言語化し、期待値調整を行う」部分で整理を行なった、自社の魅力と、候補者へのベネフィットの情報整理を行い、適切に情報提供を行っていきます。

 これができるかできないかだけで、私たちの支援先では選考歩留りが各ステップにおいて平均して約5%の改善が見られました。このように、非常に労力はかかりますが、候補者との細かいコミュニケーション設計を行うだけで、中長期的に見たときの有効応募数の増加、採用単価の圧縮、面接官リソースの削減、内定承諾率の増加、採用CX(候補者体験)全体の向上を実現していくことが可能です。


 ちなみに、私がかつて転職活動していた際に印象に残っているタッチポイントは、ある企業からのスカウトメールでした。テンプレメールが多い中で、文章が完全カスタムだったこと、私の経歴にも深く触れていたこと、(良いのか悪いのかは別として)ちょっとした誤字もあったりで、人間味に溢れている内容が逆に目を引きました。

 このように、ただタッチポイントをなぞれば良いのではなく、いかに候補者目線で訴求できるかで、採用CXも大きく変わってきます。

 私たちは今まで多くの企業の採用CXに関するお手伝いをさせてもらってるのですが、効果的なCX採用を通して、自社の採用力を上げるのはもちろんですが、不採用であっても「選考を受けてよかった」「これからはユーザーとしてこの会社を応援しよう」と候補者に思ってもらえたらベストですよね。そのような視点で、ストーリーの設計をしていけると、本質的な採用CX(候補者体験)の循環をつくっていけるはずです。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?
採用CX(候補者体験)を上げるためのストーリー設計を解説してみましたが、次回はよりそれを具体的に求職者に訴求する方法も、もう少し詳しく解説していこうと思います!

また、現在期間限定で成功している企業が実践する「採用業務チェックシート」をプレゼント中!
来期の採用活動を加速するためにも、採用業務の見直しとチューニングにご活用ください。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe 
Crepeでは、ESG観点からみた人的資本における企業価値向上支援を行っています。具体的には、採用CX(候補者体験)向上ための採用戦略コンサルティング、採用ストーリーブック制作、研修トレーニング、EX(従業員体験)向上のための組織コンサルティング、エンゲージメント向上 HRtech「ミライチズ」などを通して、より良い個人と企業の関係の質向上支援を行っています。
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