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制作の呟き

22
作品づくりについて考えていること。
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2023年6月の記事一覧

生活の中に在りたい

生活の中に在りたい

ある日の休日。

朝、目が覚めて

コーヒーを淹れて、お気に入りのマグカップで飲む。

昼下がり、部屋で好きな音楽をかける。

夜、本棚から一冊の本を取り出し、ベッドの中で読む。

気がついたら眠っていた。

そんな風に

「生活の中に共に在る」ものをつくれたら、と思ってやみません。

前回、「一点モノ」をつくることへの葛藤について書きました。

どうしても「多くの人にとって身近なもの」にはなりに

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要素は少なく 純度は高く

要素は少なく 純度は高く

ということを意識するようになった。

大学に入ってからだろうか。

最小限の要素で構成された芸術に惹かれるようになってからだ。

映画より小説が好き

カラフルよりモノクロが好き
(上のは受験時代にはまっていたモノクロ写真)

本画より素描が好き

オーケストラより独奏が好き

賑やかな都会より静かな田舎が好き

というように。

情報量の多いもの、よりは情報量の少ないものの方が
自分は好きなよう

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描いてきた人物で自己分析してみる

描いてきた人物で自己分析してみる

絵の中に人物が登場することがよくあります。私は絵を一つの物語として捉えていて、その主人公として登場してきます。

モデルがいて、写生をベースに人物を描くことも大学ではありますが、小作品は基本的に空想で描いています。

今夜は、空想で描いた人物に絞り、そこに登場してくる人物は自分にとってどんな意味があるのか、ふと興味を持ったので、自己分析として、今まで登場してきた主人公の変化を振り返ってみます。

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「一点モノ」という葛藤

「一点モノ」という葛藤

音楽・文学・漫画・アニメなどと比べて「美術」が広く普及しないのは何故でしょう。

私は、美術作品の持つ「一点モノ」という性質が関係していると考えます。

「物体」なのです。

パフォーマンス、デジタルアートなど、そうでない美術作品ももちろんありますが。
ここでは「物体」のあるアート、絵画や立体作品についてのことを。

例えば音楽には、物体がありません。形がありません。いくらでも、複製して増やすこと

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集積とオリジナリティー

集積とオリジナリティー

「自分」は何でできているか。

誰の何を見、誰の何を聴き、誰の何を読み、誰に何を学び、誰に憧れてきたか、がその人をつくる。

自分は「他人の集積」でできている、

最近そういうことを実感した。

人はゼロからものを生み出すことはできない。

自分の中に取り込んだもの、摂取したものからしか、ものを生み出すことはできない。
あまりにも当然の事だけれど。

誰もが誰かに影響を受けている。

そしたらその

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夜空の本屋「天ノ文学」

夜空の本屋「天ノ文学」

その昔、宇宙は物語でできていた。

昔々の人達は、夜空に浮かぶ星々を繋いで物語を紡いでいた。

宇宙は物語でできていて
物語が宇宙をつくっていた。

この事が、常に私の創作の中心にあります。

夜空は人々にとって物語の宝庫、つまり本棚のようなものだったのでしょう。

それは科学技術が発達した今も変わらず、現実と空想が溶け合った夜空に浮かぶ星々の瞬きは、幻想的な物語を私達に語りかけてくれるようです。

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美大という場所

美大という場所

「絵を描くことは苦しいんだよ。絵を描いてて楽しいなんて思ったことは一度もない」

大学での制作中、週に2日ほど担任の教授が回ってきてアドバイスをくれたり質問をしたりする。

月一で課題が出る。制作期間の最初の方はみんな取材や準備に行っていて、アトリエに人がほとんどいなかったりする。

その日は自分一人しかアトリエにいなかった。

でも教授はアトリエに回って来てくれた。

「あぁ、こないだの話の続き

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好き嫌いを知る

好き嫌いを知る

何かを見たり聴いたりして「好きだな」と思ったら、そのどこが好きなのか、なぜ好きなのかを徹底して分析する

そうして自分の「好き」の解像度を上げる。やりたいことが見えてくる。

反対に、「好きじゃない」と感じるものについても分析することが大事だと気づいた。

好きじゃないものは避けるのではなく、むしろ向き合う。

どこが好きじゃないのか、なぜ好きじゃないのかを徹底して分析する。

そうすることで「自

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