首こり&肩こりにお悩みの人必見!こりの原因は「呼吸の乱れ」にあった!?
みなさんこんにちは。パーソナルトレーナーの吉田です。
「しっかり休んでいるはずなのに疲れがとれない」
「身体がおもだるい」
そんな悩みが絶えない現代人特有の「慢性的な疲労」の正体について、「呼吸」「感覚」「栄養」の3つの観点からお話をしてきました。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓
いよいよ今回からは『疲労を回復して人生のパフォーマンスを高める方法』と題して疲労改善の方法をご紹介していきます。
今回は「呼吸機能の改善」についてお話をしていきます。
多くの人が「呼吸の乱れ」を抱えている
慢性的な疲れ身体のだるさを訴える方の呼吸を観察すると、多くの場合「呼吸の乱れ」が見られます。具体的には、
①呼吸が浅く、すぐに息がきれる
②胸式呼吸の癖がある
③口呼吸の癖がある
のいずれかが当てはまります。3つのうちのいずれかが当てはまれば、「呼吸の乱れ」に該当しますが、実際は3つ全てに該当しているという方も少なくありません。
呼吸が乱れると脳にスムーズに酸素が行き届かなくなり、酸素不足に陥ります。その結果、脳は疲労状態に陥り、これが身体全体の疲労にも繋がってしまうのです。
安静呼吸と努力呼吸
呼吸は分類の仕方によって様々な種類がありますが、大きく「安静呼吸」と「努力呼吸」に分けられます。
▪️安静呼吸:ソファに座ってくつろいでいる時のようなリラックスした場面での呼吸。
▪️努力呼吸:激しい運動を行った後などの荒い呼吸
家でのんびりテレビを視たり、読書をしているような時は静かでゆっくりとした呼吸になるかと思います。これが安静呼吸で、1日の呼吸の大半はこれに相当します。
一方、会社や学校に遅刻しそうになり、駅まで走って何とか電車に間に合った直後のような場面では、「ハァハァ、ゼイゼイ」といったように肩で息をしますよね?これが努力呼吸です。
安静呼吸と努力呼吸では使う筋肉が異なる
安静呼吸と努力呼吸とでは、使われる筋肉も異なります。
▪️安静呼吸:横隔膜や肋間筋(肋骨の間の筋肉)が中心に使われる。
▪️努力呼吸:横隔膜と肋間筋に加えて、僧帽筋、胸鎖乳突筋などの首や肩の筋肉が多く使われる。
安静時呼吸の7割は横隔膜の働きによるものとされています。それに対して努力呼吸は首や肩の筋肉を多く使いますが、これは「激しい運動で筋肉が多くの酸素を消費する」ので、肋骨を大きく動かして酸素をより多く取り込む必要があるからです。
このように、私たちは状況に合わせて安静呼吸と努力呼吸を自然に切り替えて生きています。
ところが実際にはこの「呼吸の切り替え」がうまくできず、「本来ならリラックスした安静呼吸を行うべき場面でも荒い努力呼吸気味になっている」という人が増えてきています。
これが慢性的な疲労の原因にもなる「呼吸の乱れ」です。
呼吸が乱れるのは横隔膜が動いていないから!?
呼吸が乱れる原因は様々ありますが、最も多い原因の1つが「横隔膜が正常に動いていない」ことです。
横隔膜とは
横隔膜は胸腔(肋骨の内側の空間)と腹腔(腹部の内側の空間)を仕切るように肋骨の内側にドーム状の形で位置する筋肉で、呼吸において重要な役割を果たしています。
呼吸時の横隔膜の動き
息を吸うとドーム状の横隔膜は収縮して平らになりながら下に下がります。すると胸腔のスペースが広がり、肺の中に空気が流れ込みます。
そして息を吐く際には横隔膜は弛緩して上に戻り、それに合わせて肺から空気が押し出されます。
実は肺自体は自ら伸び縮みすることはできず、この横隔膜の動きに合わせて動くようになっています。
横隔膜が動かなくなると、首や肩の筋肉を酷使して呼吸をするようになってしまう
そのため、横隔膜が硬くなって動かなくなると、呼吸に悪影響が出てきます。息を吸っても横隔膜は下に下がらなくなり、胸腔内のスペースが広がりにくくなり、肺も広がりづらくなってしまいます。
しかし、肺に空気を取り込まないことには体に酸素を送ることはできません。そこで、努力呼吸のように首や肩の筋肉を使って肋骨を餓えに持ち上げて上方向に胸腔内のスペースを拡張して肺に空気を取り込むようになってしまうのです。
先ほどご紹介したように、本来努力呼吸は激しい運動を行った直後などに行う呼吸であり、1日の大半は安静呼吸で過ごすのが正常です。
ところが、横隔膜がうまく働かないと、代わりに首や肩の筋肉を強く使って息をするようになってしまうため、「常に努力呼吸に近い呼吸をするようになってしまう」というわけです。
首こり、肩こりは横隔膜の機能低下が原因だった!?
じつは首こり、肩こりに悩んでいる方の呼吸を観察すると、ほとんどの場合、横隔膜が正常に動いていない「常に努力呼吸気味」になっている様子が見受けられます。
私たちは1日に平均2万2千回~2万3千回も呼吸を行うと言われています。その大半を首や肩の筋肉を使って息をしていれば、それは首こり、肩こりになって当然ですよね。
実際、ストレッチやマッサージを受けて一時的に首や肩のこりが取れても、またすぐにこってしまうという方は多くいらっしゃいます。
横隔膜が正常に働いていないことに首こり、肩こりの原因があるとすれば、そこを治さないと根本的な解決にはならないというわけですね。
横隔膜の機能チェック
そうは言っても、自分の横隔膜が呼吸の時にしっかり働いているかどうなのかを実感できる方はほとんどいないと思います。
そこで、ご自宅で簡単に行える「横隔膜の機能チェック」をご紹介します。
◼️チェック手順
①仰向けになり、両足裏を床につけたまま両膝を立てます。
②お腹の両端に手を当てます。
③ ②の姿勢のまま、ゆっくり呼吸を行います。このとき、息を吸った時に自分のお腹がどう動いているかを観察しましょう。
◼️チェック基準
◎お腹が前後左右均等に膨らむように動く場合:横隔膜が正常に動き、安静時呼吸が正しく行えていると考えられます。
✕お腹が横方向に向けて動かない、少ししか膨らまない場合:横隔膜の動きが小さく、呼吸が乱れていると考えられます。
✕お腹が凹む場合:横隔膜が緊張して正常に動かず、呼吸が乱れていると考えられます。
✕お腹が横、後ろ方向には膨らまず、前方(天井方向)にだけ膨らむ場合:腹筋が弱くなっている可能性が考えられます。
◼️解説
このテストは呼吸の要となる「横隔膜」が正常に動いているかどうかをチェックです。
息を吸うと横隔膜はドーム型の形状から平らになりながら下降し、同時に横隔膜の上にある2つの肺が膨らんで空気が取り込まれます。
すると、腹部の内側にある内臓は下に押し込まれる形となり、お腹全体が前後左右の360度に膨らむように動きます。
そのため、息を吸った時にお腹が全方向に膨らむように動いていれば、横隔膜が正常に動く、理想的な安静時呼吸ができているというわけです。
息を吸ってお腹が膨らまない、凹む場合は横隔膜が動いていないサイン!
逆に息を吸った時にお腹が膨らまない、あるいは凹んでしまうという場合は、横隔膜が正常に動いていない可能性が高いと考えられます。
このような方は、恐らく息を吸った時に胸部が天井方向に持ち上がるように動いているはずです。
これは横隔膜がうまく使えていない分、首や肩の筋肉を強く使って肋骨を持ち上げることで肺に空気を取り込む呼吸になっているサイン。
このような「乱れた呼吸」になっていると、絶えず首、肩の筋肉を酷使してしまうため、慢性的な首こり、肩こりを引き起こす原因にもなってしまいます。
横隔膜が使えないと、自律神経が乱れて不調をきたしてしまう!
また、呼吸の乱れは自律神経の乱れを引き起こします。
自律神経とは、生命維持に必要な呼吸や体温、血圧、代謝、消化、排泄などの機能をコントロールする神経系のことで、「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。
▪️交感神経:活動時やストレスを感じた時に優位になり、心拍数や血圧を、体温を高め、呼吸を早くする。
▪️副交感神経:リラックスした状態や食べ物を消化している時に優位になり、心拍数や体温、血圧を下げて身体の興奮状態を鎮める。
この自律神経は呼吸の状態によって大きく左右されます。具体的には、
・激しい運動時やストレスを感じる交感神経が優位な時=努力呼吸
・心身ともにリラックスした副交感神経が優位な時=安静呼吸
といったように、呼吸状態は自律神経と密接にリンクしているのです。
健康であれば、呼吸も自律神経もその時々の場面や体の状態に合わせて「交感神経優位・努力呼吸」、「副交感神経優位・安静呼吸」とバランスをとって体の調子や働きを整えています。
ところが横隔膜が正常に動かなくなると、本来身体がリラックスするべき時=安静呼吸の場面でも、努力呼吸に近い呼吸になります。
その結果、身体は常に交感神経が過剰になり、「緊張・ストレスモード」からなかなか抜け出せなくなってしまうのです。
自律神経が乱れて過剰に交感神経が優位になると、
・倦怠感(慢性的な疲れ、身体のおもだるさ等)
・睡眠不良(夜中に何度も目が覚める、眠りが浅くて疲れが取れない等)
・めまい、立ちくらみ
・息苦しさ
・動悸
・吐き気
・頭痛
・腹痛
・下痢
・食欲不振
・ストレスを感じやすくなる
など、心身ともに様々な不調をきたす恐れがあります。
まとめ:横隔膜が動かなくなるのは、姿勢が悪いから
ここまで呼吸の乱れを引き起こす横隔膜の機能不全(呼吸時に正常に動かなくなること)と、その弊害として
▪️慢性的な首こり、肩こりの原因になる
▪️自律神経の働きを乱し、様々な身体の不調を引き起こす
ということをご紹介してきました。
また、合わせて呼吸時に横隔膜が正常に動いているかどうかのチェック方法もご紹介してきました。
では、なぜ横隔膜が正常に動かなくなってしまうのでしょう?その理由は、ズバリ「姿勢の悪さ」にあります。
猫背や反り腰といった「不良姿勢」になると横隔膜が付着する肋骨や背骨の位置が歪んでしまいます。
すると横隔膜も正常な位置からずれてしまい、呼吸時にうまく動くことができなくなってしまうのです。
次回の記事では、姿勢と呼吸の関係のついて詳しくご紹介します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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