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ブックレビュー

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【書評5】 編著 是川夕 監修 駒井洋 『人口問題と移民-日本の人口・階層構造はどう変わるのか-』

【書評5】 編著 是川夕 監修 駒井洋 『人口問題と移民-日本の人口・階層構造はどう変わるのか-』

 読書というより論文のリサーチをするために本書を手に取った。本書は「移民・ディアスポラ研究会」が刊行する論文誌ジャーナルである。

 現代日本で移民の存在感が日に日に増していることは言うまでもないが、「移民」というワードは移民2世の自分にとって大変身近(というより自分事)であり、いつかしっかり時間をとってこの現象を研究したいという思いが常からあった。しかし移民研究を始めるに当たって、それぞれの学問

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【書評4】 トルストイ 『人はなんで生きるか』

【書評4】 トルストイ 『人はなんで生きるか』

はじめに トルストイ『戦争と平和』を読みたいと思って本屋に寄った時に、隣に並んでいたのがこの短篇集『人はなんで生きるか』であった。これを先に読んでから『戦争と平和』を読むことにしようと考え、本書を手に取った。

 トルストイの作品は前期及び後期に分かれており、後期の作品はより道徳的・宗教的な意味合いが濃いものとなっている。本書『人は何で生きるか』は後期トルストイの短篇民謡を5本収録したものである。

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【書評3】 マックス・ウェーバー 『職業としての学問』

【書評3】 マックス・ウェーバー 『職業としての学問』

 大学を出ても研究を続けたいので、研究者になるのもいいなと考えている。学問の世界で生きていくのは厳しいという話も聞くが、バンドマンがメジャーデビューして生きていくのは厳しいと言われるのと同じだと思う。今私がいる大学はメジャーデビューして活躍しているスターがたくさんいて、この方のようになりたいという先生もいれば到底この方には追いつけないという先生もいる。だが、そんな先生方の近くで正しく進めばメジャー

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【書評2】シュムペーター 『租税国家の危機』

【書評2】シュムペーター 『租税国家の危機』

 ドイツを除く多くの先進国で財政赤字が累積し、特に日本はその債務残高が空前の規模にまで膨張している。今後も長期間にわたり生産年齢人口が減少し、社会保障関係支出が増加することが予想される中でいかに財政健全化を達成するかが日本が直面する最大の課題の一つとなっていることは言うまでもない。

 そのような中で、『租税国家の危機』というタイトルは魅力的である。経済制度論や財政学に多大な貢献をしたシュムペータ

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【書評1】 宇沢弘文 『社会的共通資本』

【書評1】 宇沢弘文 『社会的共通資本』

2020年度は学部生として過ごす最後の年で、これまでの学びを何らかの形でまとめつつ、卒業後も最速で進んでいくためにさらに広く深く学びを追究する年にしたいと思っている。

僕は昨年の晩夏に経済学で院進することを決め、それ以来研究と研究テーマ探しを繰り返してきた。しかし折角学んだことが笊のように流れていく感覚があり学んだことを書き留めるようにしたいと前々から思っていた。そこで昨年末から温めていたアイデ

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