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Episode 089 「醤油が”爆発”した」

レストランでの話や、力仕事の話など、学生時代に行った様々なバイトについてはEpisode083およびEpisode084にて触れたが、これらの他にも当時行ったバイトがあった。

家庭教師のバイトである。きっかけとしては、姉(長女)がとある塾にて日本語を教えるバイトをしているところから始まった。彼女はアデレードにて大学を卒業すると同時に日本に帰国した事もあり、その家庭教師の役割を次女に手渡した。そして、次女も長女同様、アデレードの大学を卒業すると共に日本に帰国する事が決まった為、三番目となる私がそのバイトを引き継ぐ形となった。2006〜9年頃と記憶する。

この塾はRay(レイ)という、いかにも人の良さそうな白髪のオーストラリア人が営む、個人経営の塾であった。この塾には様々な(アデレードの現地の生徒)が通っていた。数学を学びに来る者、言語を学ぶに来る者、など。また、この塾に通う生徒の年齢も様々であった。ハイスクールの生徒もいれば、20代~50代の社会人もいた。

私が担当していた日本語のクラスも例外ではなく、ハイスクールにて日本語の教科を選択している生徒、社会人になり趣味として日本語を学んでいた者などがいた。

全て英語で日本語の文法を教えるのは、なかなか面白かった。

その生徒の中の一人にPam(パム)という気さくなおばちゃんがいた。Pamはソフトウェアエンジニアだった。後に、(両親および妹がオーストラリア内の別の州に引越しをする事になったので)この人の家の部屋を一室借りることになるのである。

(この塾にて講師として日本語を)教え始めてどれくらい経った頃であるかは正確には憶えていないが、ある日、父親の仕事の都合でアデレードから約2000キロ(東京から大阪の距離が約500kmとのこと。従って、東京↔大阪間を2往復に等しい距離)離れたブリスベン(クイーンズランド州における、(約260万人規模)州都)という街に引っ越しが決まったのである。

父親及び母親、そして妹の三人でブリスベンに引っ越すことになった。とある(塾での)授業の日、Pamとの授業が終わり帰り支度をしていた時に、ふとしたことからこの引っ越しの話になった。

家族はブリスベンに引っ越しが決まったので、私は新しく住む場所(家)を探しているという話になった。特にこだわりの場所(地域)はあるのかと訊かれたので、特に無いと伝えた。

アデレード(Episode003参照)という街は、車があれば大抵どこでも移動できた為、私としては、特に特定の地域にはこだわりはなかった。この話を受けたPamは話し始めた。どうやら、彼女の子供は二人(息子、娘)とも既に社会人となり家を出ている為、部屋が余っているのでその部屋を使えば良い、との事。

最初は冗談かと思ったのだが、そうでも無いことが分かり、あれよあれよと、結局Pamの家の一部屋を借りることになった。具体的な家賃に関しては詳しくは憶えていないが、非常に良心的な家賃であったことは確かである。

この部屋は、裏庭のドアからも出入りをすることができ、また、バスルーム(シャワー及びトイレ)も自分専用のものがあり非常に快適であった。しかしながら、完全に気を遣わなくて良かったかというと、そうではなかった。

例えば、(もちろんの事)キッチンはシェアする必要があった為、食事をするタイミングなどもPamが使用していないタイミングを見計いつつ使用する必要があった。

気持ち的には、ちょっとこんな具合だったかも。

一度、冷蔵庫に入っている醤油(チャイナタウンのアジア系のスーパーで購入した)が何かの拍子で倒れ、冷蔵庫中が醤油まみれになるというアクシデントもあったらしい。因みに、私はその時外出中であり、その旨(醤油が冷蔵庫で「爆発した」と、そうパムは電話口で私に伝えた)を確か電話で聞いたのだった。

電話口でのパムは、そこそこ怒っていた。

この家は、街の中心部からから北東に車で30分程度走った場所に位置していた。家の周りは自然が非常に多く、ユーカリの木が多かった。車で運転する際も、道の両サイドをユーカリなどの木が覆い、その木々の葉の隙間から太陽が降り注ぎ道路を光と陰で覆っていた。運転をしていて心地よい気分になった。Jimmy Eat WorldというバンドのChase that Light(2007年発売)というアルバムを聴きながら車を走らせていた思い出がある。

尚、Beanie Boys(バンド結成についてはEpisode085を参照)の練習はこの家のガレージにて行われていた。正に、MXPXのDoing Timeという曲のミュージックビデオの様な雰囲気のガレージであった。

尚、MillencolinのFoxという曲やNew Found GloryのDressed to Killという曲のミュージックビデオの様に太陽の光がサンサンと降り注ぐ明るさはなく、また、Hi-standardのAll Generationsという曲やKen YokoyamaのWhyという曲、またはNamba69のPromisesという曲のミュージックビデオの様なオシャレなガレージでも、残念ながら、ない。Blink 182のFirst Dateの様なガレージでも、ない。

あくまでも、MXPXのDoing Timeのミュージックビデオに出てくる程度のガレージである。因みにこの家のガレージ、空調などは無く、夏の練習に関しては(控えめに言っても)汗がこれでもかという程噴き出る暑さであった。このガレージに(街中のLights Squareで)購入したドラムセットを設置し、バンド練習を行ったのだ。

この様にして、パムの家の一角(一部屋)に住み始める事になった。

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