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知財に関する10の問題
事業を進める上で特許や意匠・商標のような知的財産権は必要かつ重要である。それゆえ特許を取ることの大切さや、取得する上での注意事項を説明する文献や記事は多い。毎年発行される中小企業白書では中小企業に対して特許出願活動の大切さを重ね重ね説いており、中小企業の特許出願活動が、「我が国経済を牽引していくための重要な取組」であるとまで言っている[i]。特許庁は中小企業の知財活動を促すために、特許料等の減免制
もっとみる続「必須特許」について
何をしていても感じることだが、定義を曖昧なまま何となくやっていると、大概のことは支障なく進むにしても、一番大事な時に道を間違えたり、本来とは真逆の打ち手を打ったりして失敗することが多い。前回は「必須特許」について、明確な定義に基づいて議論を進めている人が少ないと言う話をした。
「必須特許」はマネジメントできない
前回に引き続いて、「標準必須特許」ではない「必須特許」に当てはまる定義を、「ある製
「必須特許」について
ChatGPTに聞いてみた
「必須特許」をWebで調べると、AIに尋ねようがGoogle検索しようが、いずれにしても「標準必須特許」についての解説が挙がってくる。端的に言うと「必須特許とは標準必須特許のことである」と言うのが答えになる。
標準必須特許とは
「標準必須特許(Standard Essential Patent)」とは、標準規格と照らしあわせてその必須性が担保されており、なおかつ、
囲師には必ず闕き、窮寇には迫ること勿れ
これは孫子の言葉で、「包囲した敵軍には必ず退路を開けておき、進退極まった敵を追い詰めてはならない」という意味である。
反撃の動機を考える
「弱者の反撃」のところで、自社が「強い戦略」による組織的な強みで競合他社に圧勝した時に、他社にできる知財的なアクションは、持っている知財で「邪魔をすること」しかない、という話をした。他社にとってはライセンス交渉で特許問題を解決しても、他社にはそもそも、模倣す
その商品が強いのは商品戦略のせいか?
ここまで、アクティビティ・システムを題材に独創的な事業構造を備えた企業が持つ強固な模倣耐性と、その結果起きるかもしれない知財上のリスクについて考えてきた。
強い「商品戦略」は本当にない?
アクティビティ・システムに限らず、組織の持つ特性が強さの基盤となっているビジネスは大抵、模倣困難である。組織能力が強さを持つほどに差別化されるためには、その構成員のスキルはもとより、組織文化や慣習に至るまで、
何のための知財戦略か?
事業か商品か?
本業で事業戦略というものにどっぷり浸かっている関係上、知財の役割についても度々考えさせられることが多い。私の所属しているような「メーカー」では、事業戦略策定プロセスの中に商品やサービスの企画も織り込まれてくるわけだが、そうなると、「知財は事業を守るのか?それとも商品を守るのか?」という根本的な問題に直面する。
かつて特許技術部長として知財戦略を考えた際に、当時の社長から何度か意味