〈十月を恋ふるわたしたちのための哀歌〉
秘匿された約束
のような
真っ赤な夕陽が
落ちていく
地平線のない
地上に
水平線の見えない
極北の海に
寒風に
途切れる
吃音の
愛語
次々に人々の
口端にのぼる
希望と絶望の
ラインメール
短命だった
人間の世紀よ
いまなお
jyucy な
別れの詩よ
やがて
君たちの
恋ふる
あの十月になれば
木版の細密画
のような夜が
やって来るだろう
顧みれば
美しい
失われた
影絵の人々の
街に
代わる代わる
愛している
と
いま
ぼくらは
静かに
結語する
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