よかぜ

山口県下関市出身。最終学歴中央大学法学部法律学科、65歳 、考古学調査員、横浜市在住。 やりたいこと~ぼくを含む世界の成り立ちと行方を知ること。人間という生物を知ること。 詩や短歌、小説、批評文、様々な文章媒体を駆使して「今」に肉薄してみたい。ここで本気でやれるといいな。

よかぜ

山口県下関市出身。最終学歴中央大学法学部法律学科、65歳 、考古学調査員、横浜市在住。 やりたいこと~ぼくを含む世界の成り立ちと行方を知ること。人間という生物を知ること。 詩や短歌、小説、批評文、様々な文章媒体を駆使して「今」に肉薄してみたい。ここで本気でやれるといいな。

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    • 現代詩

      現代詩をまとめています。

    最近の記事

    〈ランチ〉

    冷たい灰色の空の下を 青衣の女たちの葬列が すすむ アヴィニョンからミラノまで 香ばしいピッツァの香りが 空腹な男たちの 鼻腔をくすぐる 世界の穀倉 ウクライナの小麦に 地中海から届けられた 輝くオリーブオイルを 振りかけ 明日の太陽の釜で焼くのだ 世界の台所のシェフの 注目する目が みるみる鋭くなる 見よ ランチタイムが 迫っているのに 硬直し干からびた 全体主義的な理念が 20世紀的な東の信仰の 迷妄が 合理的な仮面を被り 子供たちの 罪なき胃

      • 〈吉本隆明とミシェル・フーコーの世界認識のその後〉~その2

         まず、現在の世界思想の到達点から〈世界〉というイメージについての検討や今後の課題について言及してみる。  世界という概念は、一つの全体性のことである。例えば世界という概念をいま〈現存する国家〉という切り口から眺めてみる。  現在の世界に存在する国家の数は、196ヵ国を数える。この196の国家は、その1で述べたように下記にあげた〔a~d〕までのイメージとしての歴史的地層の何処か、またはその併存状態にある、と言ってよい。また、おそらく明治以降1960年代くらいまでの日本社会

        • 〈月食〉

          大山を 背景にして 焼き付けられた 銀色の すすきの群落 の上に 橙(だいだい)のような月が ゆっくりと昇ってくる 遮るもののない 西の空を 何故か のほほんと 完結した球体として その姿が わたしときみの 空にある限り 一晩また一晩の 孤独な弧を描く その運命(さだめ)を 憂うこともなく 嘆くこともない おお 見よ 向こう側から 覗く 非情な目に 裸身の 年増の影のような われらの神の 艶姿が くっきりと 映っている 午前3時 を過ぎて 眠れない

          • 〈11月のラブソング〉

            やはり ストームは 西から やって来る 奏でる 譜面は ニ短調 セクシーな きみの チェロの 腰が冷える 世界の あらゆる 屈折した気持ちが 乱れたリズムを 刻み むくわれなかった 恋人への 想いは 夜霧に霞む 月夜の猫の 暖かい毛の中に 隠すのだ 紅色に 焼ける空を 流れる 優しい ピンク色の雲を 連れて もうすぐ 今年の秋が 行ってしまう 愛しい気持ちを 薄刃の 鎌の 三日月にかけて 11月の空を

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            『吉本隆明の言葉と「望みなきとき」の私たち』(瀬尾育生 言視舎 刊) または〈吉本隆明とミシェル・フーコーの世界認識のその後〉~その1

             この本が上梓されたのは、2012年9月30日となっている。今世紀の希代の思想家であり、かつ詩人、文芸評論家として明晰な足跡を世界の思想界に残した吉本隆明が、珠玉の大衆の1人として、見事にその寿命を全うしてまだ半年、そしてあの東日本大震災から1年半という時期にこの書物は刊行されている。解説者でありインタビューの解答者でもある瀬尾育生は、若いときから鮎川信夫や吉本隆明、北村太郎などの日本を代表する第一級の知識人と言ってよい、戦中派詩人や思想家、評論家が、属していた荒地派を評価し

            〈メランコリー〉

            秋嵐一過 鋪道乾いたり 陰影一鮮 麗人 傘下に 冷たきうなじを 隠す 天空 青黒く 白鳥 雲と遊び 青海波は立つ 南海の沖 ガイアの 秘熱 鉄魚を 養い 西国の戦 千年の暗愚 に似る ああ 悪事 千里 海神 彼らを 安らかに せむとす 夕陽 常の如く 岩礁を 照らし 三日月 独り  いましも 天頂に 懸からんとす

            〈十月を恋ふるわたしたちのための哀歌〉

            秘匿された約束 のような 真っ赤な夕陽が 落ちていく 地平線のない 地上に 水平線の見えない 極北の海に 寒風に 途切れる 吃音の 愛語 次々に人々の 口端にのぼる 希望と絶望の ラインメール 短命だった 人間の世紀よ いまなお jyucy な 別れの詩よ やがて 君たちの 恋ふる あの十月になれば 木版の細密画 のような夜が やって来るだろう 顧みれば 美しい 失われた 影絵の人々の 街に 代わる代わる 愛

            〈十月の恋唄〉

            一陣の風 野を分けて 月下 白霜 花樹を襲う 麗人 河畔 蒼い夜霧に 隠れ 愛詩 胸中に 出でて うら若き 喉を昇らむ 愛する人何処 相聞の歌 十月の 風に紛れむ

            〈愛恋詩〉

            鳥獣 山静か 花咲き 野にともる 大樹 独り 星に宿り 愛しき孤影は 吹きすさぶ風の中 花魚 海静か 詩(うた)咲く 書にともる 蒼空 一枚 アジアにほろばろ 愛しき孤影は 吹きすさぶ風の中 陰りもない 陽射しの中を ゆく もう二度と 出逢うことはない あんなに大きな 熱い思いには 鳥獣 山静か 花魚 海静か 孤影 星 静か

            〈中秋節のラブソング〉

            ごはんよー と母に 呼ばれて 帰らなくなった ぼくら 気がついたら もう半世紀が 過ぎてしまった ぼくらがあんまり 長く帰らないので 母の方が 横浜までやってきて 息子たちの 部屋の そばに行きたい 台所にだって居座りたい おお 母の心が跳ねる 今では 高音だけしかでない 声帯で 今宵も ごはんよー と 老人たちが 鈴なりの 黄色い木枠のある 窓から叫ぶ おお 母の心が跳ねる やがて 夜が 蒼い帳を 下ろし 今夜は 一晩かけて 仲秋の 満月が

            〈追憶〉

            忘れられない思い出は 金の小箱に入れましょう 金の小箱に入れたなら 誰も知らない 満月の 静かな入江に 沈めましょう 忘れられない思い出は 銀の小箱に入れましょう 銀の小箱に入れたなら 数千キロの 旅をする 鳥の翼に 託しましょう 忘れられない思い出は 銅の小箱に入れましょう 銅の小箱に入れたなら 真っ赤な 夕陽が落ちていく 風の大地に 埋けましょう 忘れられない思い出は 遥か銀河の旅をゆく 凍った星のかけらの ように 忘れられない思い出は 愛しい

            〈きみに歌える9月の祝歌〉

            白い雲をおいかけて この秋を あなたの未来に 咲き乱れる 甘い花の香りが この世の隠された 場所から漂ってくる やるせない あの日の思い出に ため息をついて あなたは過ぎていく 季節の坂道を 下っていく いま 愛されているということが あなたの暗い頭蓋の内で 取り返しのつかない 生涯の奇跡のように 美しい輝きを放っている 白い雲をおいかけて この秋を あなたの 生まれた日の 記憶を 心でなぞって 運命の坂道を 風のように

            〈伝承 2022.09.07〉

            すうっと上がってったら 改札口を入って 鋭角的に 曲がってくる 数百の魚群の群れと すれ違った 朝の混雑した ラッシュのなかでも 女の魚たちは艶かしく 優雅に胸鰭や尾鰭を ゆらゆらさせて 若い男の魚たちを 右に左に かわしている 町田駅前のスクランブルで 横たわった 航空母艦 赤城の 傾いだ艦橋は いまだ 百年の大計を 夢視ているのか 錆びた煙突から 白くかすれた 小さな泡を ぷくり ぷくりと 吐き出している 苦い ブラックコーヒーを 口に運

            〈相聞〉

            故郷から遠く離れ 冷たい濃紺の ブルーマリンを横断する 大陸から大陸へ あるいは 島伝いに 民族の 境界を東上し 人類を薫陶した 大きな文明を溯行する 花鳥風月を愛し 白楽天や杜甫を慕い 4000年を費やした 同族の愛憎の劇も 通過する ああ 愛しい人よ 心と心で 交通する わたしたちには 国家も思想も 無縁だ 暁闇の時を超え 出会った孤独な魂には 夜明けを告げる 優しい声が 堪える 罪を背負い 生まれてきた 文明の子供 じゃないが 人類の 聖痕を 苦悩

            〈9月になれば彼女は〉

            9月になれば彼女は 大好きな あのセレナーデを 弾くだろう 窓ガラスを 白い糸の ように流れる 雨の日も 9月になれば彼女は 名も知らぬ 大きな白い花束を 抱えて きみの部屋のドアを 叩くだろう 空の雲が ちぎれては 北へと 流されていく 風の日でも 9月になれば彼女は きみの耳元で 愛の言葉を囁くだろう 銀のネックレスが 冷える月光に 反射して 真闇の中で 輝く夜半も 9月になれば彼女は きみの心の中心に 住むように

            〈香 港〉2022.8.01

            8月は 太陽の王国だ 木々の影は濃く 浜辺の白い砂が 焼けている 風は 突然 香る港から 吹いてくる 冗談みたいに 円が下がって 名うての 金融都市の空に 無数の火の車が 廻る 名無しの海から 上がるのは 大きな魚の 死骸だけではない 新月の夜も 49階の中空テラスで 金銀の光をまとい 男勝りの女たちが ま闇の天涯の淵を 闊歩する 私らはさ 落ちないわけ 心と反対の位置に ダサい男たちの 口があるから 悪縁は切るだけよ それから ふいに 港から 悪い臭