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渋谷ハロウィン2018 観測報告

今回は「渋谷ハロウィン」を渋谷の街頭にて観測してきました。都内の他の街のハロウィンの観測も検討しましたが、「#(街の名称)ハロウィン」とインスタグラムのハッシュタグで検索しても圧倒的に「#渋谷ハロウィン」の数が多く、ハロウィンという現象を渋谷での定点観測として行うことにしました。

ハレの日としての楽しい側面もありながら、一部の暴徒化した輩たちのニュースが多く取り上げられ、「○人の逮捕者が出た」ような悲しい出来事が多く報じられたのは悲しい限りです。

ネガティブな報道を受け、渋谷区は声明も発表しました。

ハロウィーンにおいて、周囲に迷惑をかけることなく、健全に楽しんでいる方たちはきちんといらっしゃいます。また、日頃から真に渋谷の街を愛し、この街を誇れるようにする努力をしている方たちもたくさんいらっしゃいます。そういった方たちの努力や思いを踏みにじる一連の行為は、到底許せるものではありません。

特にこの部分、渋谷区でハロウィンへの対応を推進してきた人の想いを強烈に感じました。そういった想いのある人たちを裏切るネガティブな出来事が起きてしまったことは、とても憤りを感じますし、胸が痛みます。

今回の観測においては、1週間前の24日の夜から渋谷の街頭にて目視での観測を行いました。長時間の観測におけるそのほとんどおいて「普通の人たちが普通に楽しんでいた」ことを、まずはじめにお伝えしておきます。

本観測報告を通じ、「渋谷ハロウィン」のイマを理解する、その一助となれば幸いです。

24日(水)、25日(木)フライングハロウィン

街頭を目視で観測する限りにおいて、観測エリアにもよると思いますが、仮装・コスプレしている人があまりいない状況だったように思います。元々、センター街の水・木の夜は人が少ない印象がありますが、母数自体が少し少なかったようにも思います。撮影している人もあまり見受けられませんでした。

26日(金)プレハロウィン

金曜日の夜になると華金ということもあってか、22時以降、仮装・コスプレしている人がまばらに目につき始めるようになりました。とはいえ、普通の金曜日の延長として仕事終わりの飲食や遊びで渋谷を訪れる人も多く、「普通の服装でも恥ずかしくなく、仮装してても恥ずかしくない」という空気感が26日(金)を表すのにふさわしい言葉だったように思います。

27日(土)、28日(日)ハロウィンウィークエンド

ハロウィン直前の週末の2日間。
両日とも夕方から仮装・コスプレの人が増え始め、夜が更けていくにつれ加速度的に増えていきます。センター街~宇田川町エリアを中心に仮装をしていない方が少ない状況になるのがこの週末です。至るところで、記念撮影を行っていました。スマホでの撮影がもっとも多く、デジカメ派も一部見受けられました。インスタグラム、SNOW、スナチャ、B612など、アプリの利用の分布については気になる所です。

また、プリクラショップの出入りの光景も多く見受けられ、ハロウィン前後で「#プリント倶楽部」で検索してみると仮装・コスプレのプリ画像が多く観測されている状況と一致しているように思います。

終電タイミングで人の出入りが止まった後は、センター街奥のマクドナルド周辺から駅側のウェンディーズのエリアや宇田川交番・ちとせ会館前を中心に宴会化した人たちが流入・流出を繰り返します。一部の人を除いて、その場に残り続けたりはせず、街の巡回や、飲食店・カラオケ・クラブなどを挟みながら街の中を行ったり来たりしているように見受けられました。

また、過度の悪ふざけによって暴徒化した人たちが大きく取り上げられたのは、週末のこのタイミングでの出来事かと思います。以降、警察の方々によるオペレーションが、人を一箇所に溜めないよう押し流し続す方向に強化された印象があります。

29日(月)、30日(火)ハロウィン前夜祭

平日にも関わらず、人の動きは週末に近いものがあり、夜間のセンター街はほぼ仮装・コスプレの人が占めているような状況となりました。29日(月)の参加者数は週末には及ばない印象がありましたが、30日(火)の夜間は前夜祭的な盛り上がりの空気感が生まれていたように思います。

31日(水)ハロウィン本番

週末もかなり多くの人が集まった印象がありましたが、当日の混雑ぶりは半端ではなく、22時のハチ公前も満員電車級の混雑となっており、警察による動線管理も行われていました。

前日までと街の態勢として大きく違うのは、109前を中心とした道玄坂やドン・キホーテ前のエリアが歩行者天国となったことです。ある程度余裕のある状況で撮影を行うことができる環境があるのは、平和的に楽しみたい人たちにとってはよい環境だったのではないでしょうか。

また、定量ではない感覚値ではありますが、凝った造形の仮装・コスプレが多かったのもやはりこの当日だったように思います。

盛り上がるタイミングは当日なのか週末なのか論

渋谷ハロウィンへの参加を検討する多くの人にとっての悩みの1つとして「ハロウィンは平日であっても10月31日の当日に盛り上がるのだろうか。それとも直前の土日に盛り上がるのだろうか」という悩みがあります。

本観測では、「平日の10月31日の方が、直前の週末より盛り上がる」ことが結論になりますが、もし10月31日が週末であった時、どのような盛り上がりになるかは別途の検証が必要です。

もちろん、自治体や商店街、警察がどうこのハロウィンを受け入れるか、規制するかという動きも影響が大きいと思うので、そこも変数に加えて考える必要があります。

ハロウィンが持つ記念日性と非記念日性

元旦、クリスマスイヴ、母の日など、○○の日と明確にタイミングを指定した記念日は、当日にこそ行うべき行動様式を持っています。ハロウィンが10月31日にもっとも盛り上がる背景として、「記念日とはその日に盛り上がるべきもの」という文化的背景があることが考えられます。

一方、一定期間盛り上がりが継続するような類似の現象は他になく、記念日という一日に山が集中する盛り上がり方だけでは説明がつかない特徴を持ちます。

「渋谷ハロウィン」はイベントではなく現象である

「渋谷ハロウィン」には、主催者というものがいません。2011、12年頃から渋谷に仮装する人が現れ始めたように思いますが、主催者不在のまま生活者が群集として育ててきたものになります。

企業や自治体、商店街のハロウィンへの参画・関与は、決して主語ではなく「ハロウィンを楽しみたい人々」への対応にすぎません。渋谷で「ハロウィンイベント」のようなものをどこかのお店やクラブが行っていたとしても、それは渋谷ハロウィンを活かした商売をしているだけで、渋谷ハロウィン自体を仕掛けている訳ではありません。

「渋谷ハロウィン」は、企業や特定の施設だけでなく、生活者の中にですら「誰」という首謀者は存在せず、人々の中のふんわりとした「渋谷ハロウィン」が育ち、具現化しものなのです。

対照的に、「池袋ハロウィン」はサンシャインシティを会場として実施される実行委員会が主催のコスプレイベントですし、「川崎ハロウィン」はラ・チッタデッラで行われる施設側が主催の催事です。比べてみると、特定の催事に依存していない渋谷ハロウィンの特殊性が顕在化してきます。

渋谷ハロウィンに対して「ハロウィンをやめろ!」という批判は、少しピントがずれているかもしれません。 渋谷ハロウィンは、主催のいるイベントではなく、人々が織り成す現象なのです。

祈り|アフターハロウィン

「渋谷ハロウィン」という現象が育ってきた背景には、おそらく今の時代ならではの時代背景的なものがきっとあって、生活者にそれを求めている人、必要としている人がいる人がきっといて、必然として「渋谷ハロウィン」という現象が発生したのだろうと考えます。

本観測のみでは、起源の考察にまで手を伸ばせる論拠を持ちませんが、本観測を通じてたくさんの人々が平和に楽しんでいる景色をみることができました。

最後に、ほんの一部ではありますが本観測で出会った素敵な人たちのハロウィンフォトを紹介し、ハロウィンという文化がより一層みんなをハッピーにする文化になってほしいと願う、その祈りに代えさせていただきます。


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