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本屋徘徊衝動買い

内容なんてこれっぽちも覚えていないけれど、本屋さんへ行って、私が小学生の頃好きだった絵本を見たい。

用事のあった日、帰りのバスで急に思い立ち疲れていて早く寝たかったけれどそうすることにした。

向かいの車線を通った幼稚園バスの中からこちらを向いている幼児と目が合う、手を振ってくれて可愛かった。
勿論振り返した。

幸せな気分のまま昼食を食べ、電車へ。

「そうかぁ、もう夏休みかぁ。」と、小学生くらいの子が平日の昼間にも多い事を不思議に思っては、思う度、思い出す。

いざ夏休みの工作やら読書感想文やら自由研究やらがなくなったら寂しく思うもんだな。
体感したい、あの面倒臭さの中もう一度。

書店の涼しい店内に入り、適当に辺りを眺める。

この日1番面白かったかもしれない。
スタッフルームから出てきた店員さんがとても溌剌とした方で。
良い笑顔と大きな声で「お客様!神様のビオトープですね!ご案内します!」と、一言。
近くに居たおばさまが「あ、はい。」と、静かに一言こぼして先を行く店員さんについていった。

神様のビオトープ

凪良ゆうさんの本だ。
ここは本屋さんだから知らなかったとしても別に変に思う人はいないし、恥じる必要もないし、私もくすくす笑ったりいじるつもりはない。

だけれど、いきなり耳に飛び込んできた文章のお陰でスケールがやけに壮大に思えて、ちょっと面白かった。
個人的にツボにハマってしまった。
「あの人は今からどんな神聖な場所に連れてかれるんだ…」とか思っちゃった。(本の前に案内されるだけです)

最近の悩みはゲラが治らないこと。

そうこう考えているうちに本屋さん数軒をうろちょろしたのだが、目当ての本は見つからず。
在庫も0冊だった。

他の気になっていた本たちもことごとく在庫0冊。

そんなことあるんだ、めずらしいな。

さて、帰りましょうか。と、なるはずもなく、週間ランキングを拝見。

芥川賞、直木賞で盛り上がった結果が見える。

この間来たときは「ハンチバッグ」の在庫がなくなり、入荷の目処が立っていなかったが今日は並んでいた。

初めて手にとって驚いた、軽い、薄い。
93ページ。

中を開くと上下に通常の2倍ほどの余白。
100ページって以内って相当短いのにそれでも賞を取れるほどの素晴らしい物語と実力って一体どんななのだとたまげた。
同時に、ページ数と物語の内容や展開は比例しないことも学んだ。

このページ数でどのように物語が展開されていくのか、すごく気になったがこの時は買わなかった。
何故なら私はケチなので。

文庫化待機か中古を探します〜泣

他には「正欲」,「君たちはどう生きるか」などがランキングにあり、そこはどう見ても納得の結果だった。
(文庫化&映画化決定,半映画化)

そうして新刊コーナーへ。
ほうほうほうほう、なるほどなるほど〜。
適当にフラフラ見る。

チラリと横へ視線を配ると検索機の台にやけにシンプルな張り紙が。

情報をお持ちの方はご連絡ください

何かあったのかと思いよく見てみれば「近畿地方のとある場所について」という書籍の発売告知ポスターだった。

なぁ〜んだ、びっくりした。

春先ごろ、「無理はしないでくださいね、めっちゃ面白いんですけど怖いから。本当無理はしないで。」と、優しい先輩にめちゃくちゃ念押しされながら勧められたからカクヨムで途中からだけどリアルタイムで読んだ。
本当に面白いホラー小説でした。

書籍化するんだ…買っちゃおうか迷っちゃうじゃないか!
8月30日発売だそうです。

嬉しくなって先輩に写真貼りつけて空リプ送った。

作者は背筋さんなのですが、何故か先輩は初見で「せすじ」を「はいきん」と読んでしまった。と言われてから爆笑しています。
本当に大好き。

その後も徘徊を続け、色々な出版社の「夏だ、祭りだ、読書だ〜」と言わんばかりの冊子広告を手に取り持ち帰った。

背表紙を眺めるだけの時間が続く。
「小さな恋のうた」
????????
私は親の影響で小さい頃からMONGOL800のCDを聴いていた。一枚だけだけど。
な、え、どういうこと?小説化してたの?と思い手に取る。
平田研也さんが小説化,映画化したらしい。
よくわからんけど曲を題材にして小説書いたんだな?多分。
気になる…けど今は気分じゃなかったのでまた今度。

一際目を引く表紙。
そういえば気になってたんだよな。
クリープハイプは一時期よく聴いていた。
尾崎世界観さんの「母影(おもかげ)」が文庫化したらしい。
彼の文章に触れたいと以前から思っていたけれど、どれを読もうか迷っていたのでこれはいい機会だ。
少し眩しい蛍光色の表紙と帯にやられて手に取る。

そばに最果タヒさんの文庫本。
読書がしづらい時期に詩集は消化しやすいのではと考えていた。
ひとつ、薄くて安い「グッドモーニング」を手にとってみた。

読書の夏(という表現でいいのだろうか)で開催されるフェアでは、やはり毎年新潮文庫が盛り上がっている気がする。
今年の特別カバー本はこの子達か〜と、眺めながら先ほど取った冊子に目をやる。
サガンの「悲しみよ こんにちは」が新潮文庫ベストセラーの10位にランクインしていた。

そういえば前々から欲しかったけど、毎回在庫検索をかけてもないんだよな。

と思いながらもダメ元でかけてみる。

あるやん。

1冊だけあった。
目を疑ったがすかさず本棚へ向かい入手。
これは買えってことだろ、どうみても。とか思いながら上機嫌。

3冊の中で唯一目に優しい色の表紙をしている。

今私は彼女がこの処女作を書き上げた時と同じ18歳の年代、同じだけ生きてきた中で彼女はどんな事を考えてどんな話を展開したのか気になっていた。
これから読むのが楽しみだ。
きっと凄さに圧倒され毎度の如く自信喪失するのだろうが。

翻訳された文章でしか読めないのが残念だ。
世界中の様々な言語の文章が、そのまま読めればいいのにと思ってしまう。

衝動買い、といっても悩むのに3時間は費やした。
けれど、私は普段最低でも3日は悩む人間だ。
それなら衝動買いということになるだろう?

やっべー、めっちゃいきなりお金一気に使っちゃうやんすごー、とか思って心臓がバクバクした。

レジにて。

あー、やっぱり市川沙央さんのハンチバッグ買っときゃよかったかなぁ。

以前読書家の知人が本屋さんへ来て話した、「本屋って、この本高いから読みたいけどやめとこ〜と思って違うの数冊選んでたら気がつけばそいつの合計金額超えてるよね。」と共感し合った。

この現象が今日も起きてしまったよ、と思い出し1人温かな気持ちになりながらお会計。

店員さんがすごく丁寧な方でゆっくり優しく語りかけてくれる。

「ブックカバーはどうされますか〜?」
「わかりました〜」

全ての語尾に「〜」がついていて、本当に和やかで柔らかい印象だ。

知人にもらった図書カードを使い切った。
処分するかは聞かれなかった。したくなかったので少し嬉しい。

レジの後ろの棚の方へ行った。
図書カードを使ったので精算に時間がかかっているのかな。

と、思いきや本を輪ゴムで止め始めた。

ブックカバーいらんっていったんだけど、それでかな?
え、でも、本に直で輪ゴム止めるんですか?
ちょっと許せないかも…親切心なのかな、でも、やめてくれ〜い。

カウンターに戻ってきた本たちの上にはプラスチックの細長いカード。

あ〜〜〜、なるほど!泣

私は意図せず3冊とも新潮文庫を買っていた。
なのでキュンタくん(新潮文庫のオリジナルキャラクター)のしおりが自動的に3枚ついてきたのだ。

あれ、でも、100冊に選ばれている本買ってない気がする…。
あれって100冊に該当していなくてももらえるんですかね…?
どうせならあと一冊買ってコンプリートすりゃよかった。
ランダムならあと1枚だけ今度入手とか難しいしなぁ〜
店員さん、被りがないように1枚ずつ取ってくれてたのか…

いろんな思いが駆け巡る中帰宅。

普通この年齢ならしおりいりますか?って聞かないか…?
高校生なら大人じゃないしまだ聞かないか…
大人でもそういうの聞かずに無差別に渡してんのかな?
もしや私が小さいから一生懸命読書感想文書こうとしてる小学生と思われてた?サービス精神?

と、店員さんの口調からしても思い、同じようなことを母に言われ、おぉ〜ん泣、嬉しいよな悲しいよな。

けど、無愛想に対応されるよりかはよっぽどいいね!

あと、しおり足りなかったから助かる〜!
今年の新潮文庫のしおりは使いやすい形をしているし、どれも私好みのイラストで可愛いし、いいな。

帰ってから、新潮文庫,角川文庫,集英社,岩波文庫などの持ち帰った冊子を見ていたが、個人的にはざっくりとしたジャンル分けと書名,一文の抜粋,あらすじ,本の表紙がそれぞれ縦に並べられていた新潮文庫が1番見やすかった。
冊子は無料なのでぜひ1つ手にとってパラパラとめくってみてみて欲しい。

(ここまで新潮文庫の回し者やファンみたいになっているけれど、出版社にはこだわりがないし、なんならキュンタくんのしおり初めてもらったレベルです。マジです。)

いつかの充実した1日の後半でした。


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