孕石狆兵

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おまえに萎えない

赤い月が出て裏返ってM字開脚をした ルララ くらくらしながら僕は君に挿入する 絶頂に達するのは誰だ あの達磨の片目を塗ったのはあなた 愛とはつまり 刃物を持って追い回したい気持ちが 腐ってボトリと落ちた 愁嘆場を集めて流れる オイル混じりの二級河川のことだ ユンボに乗れ 焚き付けろ 決壊だ サイレンで鼓膜破け 赤い月が出て電話片手に雨に濡れて ルララ そこにいるんでしょう?と唄った 行為済みブラジャーをつける手が震えて あの達磨の片目を塗ったのはあなた 愛とつまり 子豚の

    • 弾丸沃野

      もしとても悪い奴がいて途轍もない大きさの爆弾を作ったとしよう。地球が10回誕生しても間に合うか間に合わないかくらいの凄い威力の爆弾と仮定しよう。とても悪い奴は小学生の頃に実は私に虐めらていて、その精神的な苦痛を糧に悪い奴に成ったわけだ。まあたかが知れているよな、そういう理由がある悪なんてさ。まあ、兎にも角にも、悪い奴は爆弾の解除役に私を指名するわけよ。全世界は固唾を飲んで悪い奴の爆弾を解除できるかもしれない唯一無二の私の高潔な精神ってやつを見守るわけさ。なんせ爆弾は私以外には

      • あ!蟹だ!

        若かった。若いから射精と女体の幻影に囚われていた。とてつもなく愚かだった。私は高校生だった。私はまだ半人前だから道を誤ったのではなくそもそも生まれた時から何もかもしっくりきていなかったのである。これは罪の告白ではない。単なるフィクションだ。 高校1年生で既に私は童貞じゃなかった。理由は色々あるだろうが、一番は私がかわいいからで付随して理由づけるなら私が極悪人だからだ。大学生の塾の講師だった人と春先に懇ろになって秋の終わりに別れた。先生には将来を約束した彼氏がいて、彼に我々は

        • レモンの刺激は罪の工業地帯

          魚骨を咥えた蛭女が夜をまさぐり蛤の中で眠る火を点けられた奔馬が燃えながらモロコシ畑を横切って万国旗と豆電球で彩られ音楽隊の奏でる陽気な旋律を共に結婚式をしていた者たちに引火させる黒煙がのぼりそれを遠目で観察した脳科学者がさっとノートに計算式を記し駐在さんは裏門に立小便しながら昨日抱き損ねた錦鯉柄の女に心尽くしの邪念を送るあなたには正当な過去がない壊れかけた操り人形のように神仏に電気マッサージ器を当てられあゝ立派なものだ計算式通りに脳をまさぐり是非もなく可も不可もなくあゝ犬市猫

        おまえに萎えない

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        • 実験室
          6本
        • スーのパーのカー
          14本
        • 泥濘紳士
          23本
        • 花の愚行録
          9本
        • 僕のお嫁さん
          3本
        • ask
          85本

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          髑髏ヶ崎館

          子供の頃によく世界征服が夢だという子供を見かけた。大人になってから世界征服を夢見ている大人の人に会ったことはないから世界征服は子供だけが夢想する病に違いない。私は彼ら世界征服者が憎かった。大人げないというよりは子供同士なので許していただきたいところだが私は征服者たちを見つける度にナチ狩りのように彼らの首根っこを掴んで離さない悪癖がいつ間にか身に付いていた。世界征服を君はしたいらしいがそもそも世界とはどこからどこまでの話だい?と狂犬のように食ってかかるのである。ま、大抵の征服者

          髑髏ヶ崎館

          古書は病を悪化させ新本は病を産み落とす

          古いカメラを引っ張り出してきてデータを抽出してみると元彼女の写真が出てきてそれを私のいないところで見た妻が夫に女装の趣味があるとは知らなかったと思うほどに私と元彼女の顔は似ているらしい。だとするとかつて私は私自身と裸で抱き合い愛し合っていたわけでそれはとても幸福なことではないかと思う。妻は夫である私とは見た目は全く似ていない。本人も知らない双生児は至る所に居る。あらゆる場所。あらゆる空間。あらゆる辻。あらゆる角に。 思えばここ最近古書店で本を探すことをしていない。私は古書と

          古書は病を悪化させ新本は病を産み落とす

          惑星がめくれる

          犬が吼える 惑星がまわる 少女が女性になる 花がしぼむ しぼんで落ちる 眼鏡がずり落ちる 毬藻がくだけて泡になる エンジンが火をふく 小鳥が飛ぶ 安全弁が閉まる 皮がめくれる 虎が潜む 醤油がこぼれる 柱が腐る 残響音が反響する 半狂乱が扉を叩く 電気ショックで椅子から転げ落ちる 犬が閉まる 惑星がめくれる 少女が火をふく 花がまわる しぼんで吼える 眼鏡がこぼれる 毬藻が扉を叩く エンジンが椅子から転げ落ちる 小鳥がずり落ちる 安全弁がしぼむ 皮が飛ぶ 虎が落ちる 醤油が

          惑星がめくれる

          殺して欲しいよ

          (加山雄三のボツになった歌にこういうものがある) 『殺して欲しいよ』 僕のカツラの中には 素敵な街がある 人々は朗らかで優しく 鳥は歌っている 電気もガスも無限に供給され 争いも税金もない それでも僕はその街でも孤独だ 嘘がつけない世界の中じゃ 息もできない 僕はこの素晴らしい街をさえ 裏切って再び頭髪型の帽子を被る 僕は綺麗な街に唾を吐く 僕は綺麗な街にガソリンをかける フェンダーギターに火をつけて投げるのさ 殺して欲しいよ やがて君の笑顔が憎くなる未來から 永久にお

          殺して欲しいよ

          髑髏

          蛸の夢を見た 恋人が大きな蛸に襲われて 犯されて殺される夢だ 私は楓の大木に手錠で括られて 冷たい焔を嘗めるが如く じっとその様子を観察しながら いつかこのことも思い出すだろうと 他人事に感じた 完全に 閉じられた 愛だった 蛸は髑髏を私の目の前にそっと置いて 会釈をして小田急電鉄に乗って行った 私は緩い手錠を自ら取って 髑髏を拾わずに京王線に飛び乗った 当然ながら 私は傍観罪で逮捕される 神は笑いながら罰をくだされる 腹を抱えて私のことを指差しながら 私は仕方なしに蒼ざ

          ポイズンベリー

          実父は面白い男だった。しかし面白さにも種類があって身内には居てもらっては困るタイプの面白い男なのだった。崎陽軒のシュウマイ弁当に入っている杏とよく似ている実母となぜ一緒になったのかわからないほどの好男子で作家の町田康と見た目だけで言えば生き写しである。実父はお調子者というか剽軽者で美男子、実母はシウマイ弁当の杏の漬物では当然家庭は崩壊する運命である。実父は違法賭博に手を染めて多額の借金をこしらえてどこかの愛人宅へ飛んだ。私と母は借金取りから逃げるために貧乏長屋から出て安アパー

          ポイズンベリー

          想像ノ王國

          おそらくだが私のドッペルゲンガーがいる。しかも割と近所に住んでいる。そんな予感はずっとしていたのであるが、ある日近所のカフェで本を読み耽りながらラテを啜っていたところ、急に女性に話しかけられた。あの、すみません、この前もそこで漫画本を山積みにして読んでいらっしゃいましたよね?と女性は言う。お気を悪くしたらごめんなさい、古谷実、あたしも大好きなのでつい話しかけてしまいました。私はゆっくりと女性の方を向いて、貴女のようなスパークルな娘さんが古谷実を好きなことはあまり公言しない方が

          想像ノ王國

          四畳半奇想散策夢見式

          目が覚めると先程まで一緒に寝ていたはずの愛妾が大きな烏賊に喰われていた/僕はそれを眺めながら煙草に火を点けた/愛妾は烏賊に喰われながら足をバタバタさせている/何にそんなにというくらいに烏賊は怒っていた/愛妾はしぶとく抵抗している/宇宙の広さを想えば烏賊もがんばれだし愛妾もがんばれだった/砂粒のような男と女と烏賊/煙草を喫み終えた僕は愛妾の両足を掴んでからズルっと引っ張る/烏賊の墨毒の影響だろうか/愛妾の下半身は女で上半身は海老に成っていた/可哀想に愛妾が散々暴れたせいで烏賊は

          四畳半奇想散策夢見式

          バーリーゾーゴーン

          信じられないと彼女は言った。信じる信じないというそんな退屈なジャンルに分類できる話じゃないんだよこれは、と私は言った。逆上した彼女は部屋の物を投げてよこす。かわいいぬいぐるみが宙を舞ってガラス戸に当たってかわいくない音を出す。私は小学生の時にやったドッジボールを思い出す。私はすれすれでドッジボールを避けるのが得意な少年だった。私は大きな熊のぬいぐるみを投げようとする彼女の細い手首を掴んだ。物に当たるのはよせ。見苦しい。彼女は痛い、離して、穢らわしい、この獣が!と叫んだ。私は掴

          バーリーゾーゴーン

          デクノポリス

          ① 都市部に住んでいると不思議と人が何かの部品に見えるようになってくる。巨大な迷路に迷い込んだ部品人間たちの末路を目に痛いくらいのスピードで見てきた身としては不条理が不条理でなくなる瞬間さえ訪れがちだ。管理官は私をグレイと呼んだ。これはコードネームなのではない。私には管理官のオフィスに行くと必ず管理室のあるビルヂングの155階から粉塵で霞む地上を斜めに見下ろす癖がありその様子が大昔に活躍した愚霊というバンドのヴォーカルに似ているためグレイと呼び始めたのだという。しばしば管理

          デクノポリス

          雷魚

          大変不思議なことではあるが結婚したので義理の姉ができた。義理の姉の駒子はエキセントリックな人間で初めて会った時に特に何を話すでもなく、こ洒落たレストランで私と妹である妻の向かいに座りながらスマートフォンを一心不乱に弄り倒しこちらを見ずにどうぞ好きな話をしてくださいこちらは課金してゲームに忙しいのですが話はちゃんと聞いていますので大丈夫です、と言い放って本当にずっとガチャを回し続けていた。思えば駅で一目見た瞬間から、私は駒子が苦手だと察していた。駒子は背骨が半分ないみたいな人間

          悦びは2倍になり憎しみは4倍排泄物処理費用は6倍に跳ね上がる

          死にたいです、と彼女は言った。なら殺してあげます、と僕は言った。教えてもらった246沿いのやや古めかしい中層アパートメントに行くと酸素ボンベの残量が残り数分の潜水夫のような深刻な顔が扉の向こうに現れる。僕は買い物袋を見せて中に入れてくださいと頼む。彼女はちょっと考えてからどうぞと言って扉のチェーンを外して僕を中に引き入れる。2002年4月6日の世田谷は薄曇りの時折小雨の散らつく憂鬱な朝を迎えていた。僕がドンキホーテで買ってきた買い物袋の中身を彼女は漁る。Eメールで指定された化

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