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おまえに萎えない

おまえに萎えない

赤い月が出て裏返ってM字開脚をした
ルララ
くらくらしながら僕は君に挿入する
絶頂に達するのは誰だ
あの達磨の片目を塗ったのはあなた
愛とはつまり
刃物を持って追い回したい気持ちが
腐ってボトリと落ちた
愁嘆場を集めて流れる
オイル混じりの二級河川のことだ

ユンボに乗れ
焚き付けろ
決壊だ
サイレンで鼓膜破け

赤い月が出て電話片手に雨に濡れて
ルララ
そこにいるんでしょう?と唄った
行為済みブ

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弾丸沃野

弾丸沃野

もしとても悪い奴がいて途轍もない大きさの爆弾を作ったとしよう。地球が10回誕生しても間に合うか間に合わないかくらいの凄い威力の爆弾と仮定しよう。とても悪い奴は小学生の頃に実は私に虐めらていて、その精神的な苦痛を糧に悪い奴に成ったわけだ。まあたかが知れているよな、そういう理由がある悪なんてさ。まあ、兎にも角にも、悪い奴は爆弾の解除役に私を指名するわけよ。全世界は固唾を飲んで悪い奴の爆弾を解除できるか

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レモンの刺激は罪の工業地帯

レモンの刺激は罪の工業地帯

魚骨を咥えた蛭女が夜をまさぐり蛤の中で眠る火を点けられた奔馬が燃えながらモロコシ畑を横切って万国旗と豆電球で彩られ音楽隊の奏でる陽気な旋律を共に結婚式をしていた者たちに引火させる黒煙がのぼりそれを遠目で観察した脳科学者がさっとノートに計算式を記し駐在さんは裏門に立小便しながら昨日抱き損ねた錦鯉柄の女に心尽くしの邪念を送るあなたには正当な過去がない壊れかけた操り人形のように神仏に電気マッサージ器を当

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惑星がめくれる

惑星がめくれる

犬が吼える 惑星がまわる 少女が女性になる 花がしぼむ しぼんで落ちる 眼鏡がずり落ちる 毬藻がくだけて泡になる エンジンが火をふく 小鳥が飛ぶ 安全弁が閉まる 皮がめくれる 虎が潜む 醤油がこぼれる 柱が腐る 残響音が反響する 半狂乱が扉を叩く 電気ショックで椅子から転げ落ちる

犬が閉まる 惑星がめくれる 少女が火をふく 花がまわる しぼんで吼える 眼鏡がこぼれる 毬藻が扉を叩く エンジンが椅

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殺して欲しいよ

殺して欲しいよ

(加山雄三のボツになった歌にこういうものがある)

『殺して欲しいよ』

僕のカツラの中には
素敵な街がある
人々は朗らかで優しく
鳥は歌っている
電気もガスも無限に供給され
争いも税金もない
それでも僕はその街でも孤独だ
嘘がつけない世界の中じゃ
息もできない
僕はこの素晴らしい街をさえ
裏切って再び頭髪型の帽子を被る
僕は綺麗な街に唾を吐く
僕は綺麗な街にガソリンをかける
フェンダーギターに火

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髑髏

髑髏

蛸の夢を見た
恋人が大きな蛸に襲われて
犯されて殺される夢だ
私は楓の大木に手錠で括られて
冷たい焔を嘗めるが如く
じっとその様子を観察しながら
いつかこのことも思い出すだろうと
他人事に感じた
完全に
閉じられた
愛だった
蛸は髑髏を私の目の前にそっと置いて
会釈をして小田急電鉄に乗って行った
私は緩い手錠を自ら取って
髑髏を拾わずに京王線に飛び乗った

当然ながら
私は傍観罪で逮捕される

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