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弾丸沃野

もしとても悪い奴がいて途轍もない大きさの爆弾を作ったとしよう。地球が10回誕生しても間に合うか間に合わないかくらいの凄い威力の爆弾と仮定しよう。とても悪い奴は小学生の頃に実は私に虐めらていて、その精神的な苦痛を糧に悪い奴に成ったわけだ。まあたかが知れているよな、そういう理由がある悪なんてさ。まあ、兎にも角にも、悪い奴は爆弾の解除役に私を指名するわけよ。全世界は固唾を飲んで悪い奴の爆弾を解除できるかもしれない唯一無二の私の高潔な精神ってやつを見守るわけさ。なんせ爆弾は私以外には解除できないってんだから。必死にもなる。金とか高級な料理とか税金の免除とか女とか場合によっては男とかの特別待遇を私は受けれることになる。寝るベッドも腰が痛くなりにくいのになるし、もう至れり尽せりでさ。お願いします!爆弾を解除してください!ってみんなの顔に書いてある。書いてはあるけど面と向かってはその辺のことは大きな声では言えない空気を作ったのは爆弾解除の話は聞きたくないって宣言した私なんだろうね。部屋の温度も適温で、雨が降っても傘を差す必要がないし指を差せば直ぐに女たちは真っ裸になって目がハートになってるわけ。色々な女性を試してみたよそら。お互いに命がかかっているからさ。そのうち飽きて美少年にも挑戦したね。これももう飽きたから背広組の偉いおじさんのケツまで掘ってみた。彼ったらさ嬉し泣きしてさ、小生光栄の至りでございますとか言いながらきったねえケツを突き出してきたときは流石に私も苦笑よ。しかも一番具合はよかったな。ハハハ。何年もそうやってのらくらやってるとね。麻痺してくるもんでさ。危機感ってやつが。ゴッソリ、抜け落ちる。まったく爆発しない爆弾を前に全人類は痺れを切らすんだ。なんだよもうって。で、私に矛先が向かうのよ。おまえやる気ねえぞって。はよォ!しなはれってやや怒鳴るようになった。もうね、そうなると歯止めが効かなくなるのが人間性ってやつなの。孫悟空じゃないけど、私は連中の虜になった。あらゆる足枷がついた。首にも爆弾がついた。脅迫だ。早くやれ!とビンタする。爆弾を製造した悪い奴はうんともすんとも言わねえのこれが。日に日に爆弾内部から聞こえてくる不気味なチッチッチも大きくなってくる。で、私も強引に爆弾の前に連れて来られた。それが本日現在今この状況ってわけさ。男はそう言って笑った。僕は聞いた。これはクイズですか?男は手をひらひらさせて言う。いや、違う。切実に聞いてもらいたかっただけさ。男は爆弾の解除装置に手をかけて言った。君にだけ打ち明けると、悪い奴は私なんだ。いや違ったな。私と君だ。いつのまにか男は消えて僕は爆弾の解除装置に手をかけている。なるほどこういう系のアレか。参ったな。トホホ。

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