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ストーカー

実家の借金返済と一人暮らしの生活費を稼ぐため、昼夜と必死で働いていたある日、いつものように出勤すると、ママから突然、今日から働かせる事は出来なくなったから、お給料を持って帰りな!と言われ、年齢がバレたのかなぁと思い、アパートへ戻った。
次の日、昼間のバイトに行っても同じ事を言われて、辞めさせられた。
不思議に思いながらも、すぐに新しい仕事を見つけて出勤すると、バイト先オーナーから、さっき男の人から電話で結婚するから、あたしを辞めさせろ!と酷い口調で言われたと教えられた。
あたしは、誰だかもわからないし、結婚の予定もないと説明したけど、このままあたしを雇うと嫌がらせされそうだから雇えないと帰されてしまった。
また、ヤクザお父さんがあらゆる所に手を回しているんじゃないか?とも思ったが、連絡はしなかった。
頑張りたいのに何かに邪魔されて思うように進めない苛立ちと、収入源をなくした絶望感でおかしくなりそうだった。

そんな時、最初のバイト先のお客さんだったヨシ君に偶然会った。
事情を説明し、何か仕事紹介してくれませんか?って話をすると、誰かに狙われてるのかも知れないし、危ないから、少しの間家賃などを払ってあげるから、アパートから、あまり出ないようにして、必要な物は届けてあげるからと言われた。

絶望感や不安感で潰れそうだった所に、優しく手を差し伸べられたような感覚に、この人は神様?くらい思ってしまい、提案に甘えてしまった。

ヨシは献身的にゴミ捨てや買い物もしてくれて、あたしが外にに出さないですむように動いてくれ、アパートにも入り浸るようになり、付き合うようになった。
そして、その後すぐにヨシが自分の正体を明かした。

本当は、自分がバイト先に電話をしていたんだ、あたしを外に出さない、誰にも合わせないよと。

あたしは、混乱して意味がわからなかった。

ある日、ヨシが仕事に行ってるはずの時間にアパートの向かいにあるコンビニにタバコを買いに行くと、ヨシが車で現れた。
怖くなり、咄嗟に逃げてアパートの鍵を閉めるとヨシはドアが凹むほどドアを叩き続け、近所の人に警察を呼ばれ連れて行かれた。

またある日は、家の電話で友達と話していると、誰と話しているんだ?と突然帰ってきたりもした。

目の前には居なくても、どこかで見張っているんだと思い、家から出られなくなっていた。

それでもヨシと一緒なら外に食事に行く事も出来た。
しかし、あたしが何気なく見てしまった見知らぬ人にでさえ、お前はあたしの知合いか?と、因縁をつけに行ってしまうので、自分の視線にさえ気を使わないといけなかった。


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