子どもの読書離れを解決するデザインのこれまでとこれから
こんにちは、Yondemyの笹沼です。
私たちYondemyは、深刻化する「子どもの読書離れ」という社会課題を解決するべく、読書教育のオンライン習い事「ヨンデミーオンライン」というサービスを提供し、Webアプリを通じて子どもの日々の読書をサポートしています。日本に前例のない「読書を習う」という文化を創るという挑戦によって、「日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける」というMissionを達成できる。そう信じています。
「読書を習う」という文化を創る。そのためには、デザインの力が不可欠です。
今回はこれらを伝えられればと思い、筆を取りました。時間のない方は要約のみお読みください。
現在Yondemyは1人目正社員デザイナーを全力で募集しております。少しでもご興味を持っていただけた方は、ぜひカジュアルにお話しさせていただければ幸いです!
Yondemyを初めて知ってくださった方へ
要約(時間がない方へ)
なぜ子どもの読書離れを解決するためにデザインの力が必要になるのか
そもそもなぜ今の子どもは本を読まなくなっているのか。それは、子どもたちにとって、読書がYouTubeやゲームに比べてとっつきづらい体験になっているからです。
YouTubeなら短時間で動画を見ることができ、再生されるままに受動的に楽しむことができます。しかし、読書は1冊を読むのに時間がかかりますし、自分の力で文字を追って読むのも子どもにとっては大変なことです。また、YouTubeは次から次へと好みの動画がレコメンドされますが、本は読み終わってみなければ面白いかどうかわかりませんし、1冊読んだら次の本を改めて自分で探す必要があります。ゲームであれば敵を倒すたびに経験値がもらえるというフィードバックがあり、常にレベルアップという目標によってモチベーションが維持されますが、本は誰からもどこからもフィードバックを受けることはなく、また目標と言えるものも特にないまま1人で黙々と進める必要があります。
子どもの読書離れを解決するために必要なこと。それは、子どもたちの読書体験全体を丸ごとアップデートすることです。子どもたちが強いられるわけではなく、自分からどんどん本を読みたいと思えるような読書体験を作ること。
本を読むその瞬間だけが「読書体験」ではありません。ここで「読書」ではなく「読書体験」という言葉を使うのには理由があります。Yondemyでは、本を読むその瞬間だけではなく、子どもと本が関わる全ての場面を読書体験として注目しています。それは例えば、本を選ぶとき、本を読もうか読むまいかと考えているとき、本について会話しているとき、ふとあんな本があったなと思い出すときなど。
これまでは個別の事象として捉えられてきた本との接点を一連の体験として捉え直す。そして、それら周辺のタッチポイントを含めて読書体験全体を1つ1つデザインしていく。それがヨンデミーオンラインというサービスであり、「読書を習う」という新しい文化であり、Yondemyのスタートアップとしての挑戦です。
そんな前例のない挑戦だからこそ、「デザインの力」が必要なんです。読書体験全体を線で捉えるとどんなUXを提供するべきなのか、そしてそのUXを実現するUIはどんなものなのか。全てを0から創り上げるそのプロセスに、「デザインの力」は不可欠です。
子どもが思わず読書に夢中になっていく、そんな体験が実現できたらどうでしょうか? 日本中の子どもたちが豊かな読書体験を通して、自然と「読書」という一生涯を支えてくれる力強い味方を手に入れる。新しいことを学びたいとき、新しい感情に触れたいとき、新しい世界を知りたいときなど、読書は子どもたちの将来の可能性を無限に広げます。
「日本中の子どもたちへ、豊かな読書体験を届ける」というMissionを達成するため、Yondemyは会社全体としてデザインに全力で投資していきたいと考えていますし、代表である私自身もガッツリコミットしています。
さて次は、そんな私たちがこれまでどのようにデザインと向き合ってきたのかについてです。
これまでYondemyはどのようにデザインに向き合ってきたのか
Yondemyでは創業期より、インターンとして参画していたデザイナーがUI/UXからクリエイティブまでを一手に担っており、またプレシリーズAの資金調達ではデザイン支援に強みを持つD4Vからの投資を受けてデザインを外部に相談できる環境も作ってきました。しかし、Yondemyのデザインに関する取り組みにおける最も大きな転換点は「教育デザインチーム」を発足したことにあります。候補者さんや他の起業家さんにはよく驚かれる特殊な仕組みですが、いわゆるUI/UXデザイナーは所属していないながらも、今やYondemyのデザインについて語る際には欠かせないコアな役割を担っているチームになっています。
教育デザインチームって何をしているの?
端的に言うと、ノーコードで仮説検証を回すUXリサーチ部隊になります。
責務は主に2つ、
などを担っています。代表である私がプロダクトマネジメントやUXデザイン全体を管掌しているため、教育デザインチームは代表直下で動いており、まさに前述の通り事業のコアであるヨンデミーオンラインが提供する体験の大枠を固めていく役割です。
教育デザインチームの強み、それはメンバー全員がユーザーインタビューとSQLによる分析を行うことができ、定性・定量の両面からUXリサーチを進めることができることです。実はメンバーは全員インターン生で、当然UXリサーチもデザインも全く知らない状態でのJoinでしたが、ユーザーインタビュー・SQLともにオンボーディングプログラムを用意しており、再現性高くUXリサーチのプロジェクトを回していけるようになっています。また、デザイナー以外のメンバーで構成された教育デザインチームがユーザーファーストでUXに向き合っているからこそ、YondemyではUXがデザイナーだけで完結するものではなく、社内全体の共通言語として深く浸透しています。
Yondemyのデザインプロセスはどう進むの?
アーリーフェーズのスタートアップとしては異例のUXリサーチ部隊がいる中で、Yondemyのデザイナーはどのようなプロセスの中でUI/UXに関わっているのか。直近リリースした、「保護者さん向けのレポート機能」を例に挙げてご紹介します。
先に大まかに言ってしまえば、プロダクトのコアとしてUXリサーチに基づくユーザー体験を定め、それをUIデザインへ落とし込んでいくという流れになります。
〈課題の発見〉
教育デザインチームが無料体験からの有料転換率向上を目標として、無料体験期間中の課題を探索するインタビューを実施。その結果、「なぜこの本がおすすめされたのか、またこれらの本を読むことが子どもにとってどうプラスになるのかがわからない」と感じた保護者はその後の「本を調達する・本を読む時間を作る」などのステップそれぞれでモチベーションが保てずにつまずきやすくなり、チャーンしてしまうというケースが発見された。
〈コンセプトベースの検証〉
教育デザインチームを中心にデザイナーを含め、解決策を議論する中で「入会してはじめてお子さんに本をお薦めする際に、その選定理由等を解説するレポートを保護者さんに提供する」という案が固まる。そこで、レポートに記載する情報を決めるため、そもそも保護者はどんな選書を期待しており、どんな情報があったら期待とフィットしているか判断できるのかということをタグラインベースで絞り込む。同時にデザイナーが作成したレポートの簡易版・プロトタイプを数種類見せながらヒアリングをするコンセプトテストを実施。インタビュー結果を分析し、レポートに盛り込むべき情報や「レポートを受け取る」という体験における理想のユーザーストーリーを定義した。
〈UIの制作・実装〉
定義された理想のユーザーストーリーや盛り込むべき情報などの仕様を、デザイナーが表現に落とし込んでいく形でUIを作成。このステップは、教育デザインチームからUXデザイン観点で、エンジニアチームからシステム観点でフィードバックを受けるなど、全社横断的にコミュニケーションを取りながら進行した。そのまま完成したUIをエンジニアチームが実装し、リリース。
〈リリース後検証〉
実際にリリースされた後に教育デザインチームが、レポートを受け取ったユーザーへのインタビューなどの定性調査や、レポートの開封率・読了率・その後のオンボーディングの各ステップの突破率などの定量調査を行い、理想のユーザーストーリーが実現されているか・それによってユーザーの課題は解決されているかなどを検証。その結果をもとに、教育デザインチームとデザイナーがアップデート案を議論。
このような形で、教育デザインチームはYondemyのデザインプロセスの全てのステップで重要な役割を果たし、デザイナーがより本質的なUXとUIの往復にフォーカスできる環境を作っています。
Yondemyが現在抱えるデザインに関する課題
現在Yondemyは、代表である私がUX全体を管掌しつつPdMとしての役割を担い、インターン生2名がUIデザインを担っているという体制でUI/UXデザインに取り組んでいます。
しかし、結論から言うと、クオリティもどんどん上げて、情緒的価値を生むUI/UXへと進化させたい一方で、全く手が足りていない状況です。冒頭で軽く触れた通り、Yondemyは1人目正社員デザイナーを募集しており、まずはUIデザインをリードしてくださる方を探しています。さらに今後組織がスケールしていく段階には、私自身経営に専念するため、UX全体を管掌する・ユーザーとの全てのタッチポイントを包括的にデザインするなどを徐々にお任せしていければと考えています。
では、実際のところYondemyは現時点でどのような課題を抱えているのか、また今後はデザインの力でどのようなチャレンジをしていきたいのかについて書いていきます。
Yondemyが現時点で抱えている最も大きなデザイン課題はUIデザインにあります。そこで、YondemyのUIデザインの現状について、量と質の両面から課題を書いていきます。
UIデザインにおける量的な課題
ヨンデミーオンラインはPMF目前という状況です。教育デザインチームのこれまでのリサーチの積み重ねにより、今のプロダクトの課題がどこにあるのか、また解決策はどのようなUXを実現することなのか、そしてそのUXを達成することでプロダクトがどのようなユーザーのニーズを満たしてどのようにグロースしていくのかが、かなり解像度高く描けるようになってきました。また、エンジニアチームは開発フローの改善や体制の強化によって出力が増強されており、リリーススピードが上がってきています。つまり、理想のユーザーストーリーをUIデザインに落とし込むことができれば、どんどんリリースしてPDCAを回すことでプロダクトを加速度的に改善し、一気にPMF・グロースに向かうことができるという状況です。
しかし、そのUIデザインが最大のボトルネックとなってしまっているんです。前述の通り、UIデザインは学業と並行のインターン生2名が担当しており、手数が全く足りていません……。ユーザーストーリーをUIに落とし込み、リリース後にユーザーから得たフィードバックからどんどん学びを蓄積し、さらにUI/UXに還元していくというサイクルを、一緒に楽しみながら高速で回してくださる方を全力で募集しております!
UIデザインにおける質的な課題
これまではリーンにUIをデザイン・実装していくことでUXの大枠の仮説検証を回し、学びを蓄積することが重要なフェーズでした。しかし今後、より多くのユーザーに届けていくというフェーズにおいて、例えばオンボーディングの改善など、より直感的に理解できるUIへとブラッシュアップが求められるようになってきました。
子どもが触れるアプリであるため、文字をできるだけ使わずに情報を伝えていく、またより情緒に訴えかけるスタイリングを意識していく必要があります。しかし、オンライン読書教育アプリには前例がなく、お手本にできる事例等がかなり少ないため、0からUIデザインを模索していくチャレンジになります。UIデザインの難易度は高いですが、逆に言えばUIデザインのクオリティによってプロダクトの提供価値が何倍にもなりうるということでもあります。
子どもならではの感覚を探りながら実現したいUXに導くことのできるUIを0からデザインするプロセスを楽しんでいただける方を全力で募集しております!
UIデザインをリードできる存在が必要
UIデザインに関して質と量の両方に大きな課題がある今、Yondemyに必要なのはUIデザインをリードしていくことができる存在です。創業期からインターン生がUIデザインを引っ張ってきましたが、いよいよ1人目の正社員UI/UXデザイナーとしてジョインしてくださる方を本気で探しています。
自分が作ったUIデザインがどんどんリリースされ、実際に子どもたちの読書状況や成長に対してインパクトを与えていく様子を体感することができる、また今後の日本の読書教育の礎となるデファクトスタンダードを作り込んでいくことができるという点で、デザイナーとして最大限に貢献できるポジションです。さらに、スタートアップとしても、PMF目前という状況の中で教育デザインやエンジニアチームを筆頭に社内全体と関わりながらデザインプロセスの中心・柱として、プロダクトのグロースや組織のスケールを経験していくことができるという点でも魅力あふれる面白いポジションではないかと思います。
もちろん、まずは副業/業務委託でお手伝いいただくような形でも大歓迎です!また、今すぐには副業も転職も考えていないという場合でも、興味を持っていただけましたら是非一度カジュアルにお話しさせていただければ嬉しいです。
Yondemyがこれからチャレンジしていくこと
ここまでお話しした通り、すでにYondemyにはデザイン課題がたくさんあります。しかし、読書を習うという文化を創るために必要なことを考えると、今後はより一層デザインの力でチャレンジしていきたいことが山積みになっていることを感じています。短期的には上述のようなUIデザイン課題に取り組みつつ、将来的には以下のような課題にも共にチャレンジしていければ嬉しいです。大きく3点に分けて書きます。
中長期に子どものモチベーションを維持し続ける仕組みづくり
子ども向けの教育サービスが、いわゆる大人向けの一般サービスと大きく違う点として、「子どもが利用するうちに成長していく(または成長が加速するようにサポートする)ため、成長段階によって提供したい体験が変わること、そして同じ体験を提供しても感じ方が変わること」が挙げられます。
これまではヨンデミーオンラインでは本を読まない/苦手な子が本を読むようになる、いわば子どもたちの読書体験へのオンボーディングに注力してきました。そこに一定の成果が出てきた今、読書に抵抗がなくなってきた/慣れてきた子がモチベーション高く取り組み続けられる持続的な体験設計が必要になります。
それは既存のスタンプがもらえる・バッジがもらえる・ヨンデミー先生から褒めてもらえるなどの短期的な報酬・外発的動機付けだけではなく、中長期で内発的動機を生む本質的なゲーミフィケーションを実装していくということです。また、ただ本を読んで終わりではなく、その先に本を介した子ども同士の交流があることによって読書体験の厚みを増し、かつ飽きない変化が常に生まれるようにしていく、そんなコミュニティの用意も必要になるでしょう。
これらはもちろんUXの大枠としての設計も大事ですが、このような全く新しい体験を子どもが直感的に理解し、自然と楽しめるように導くUIも非常に重要になります。UI・UXの両輪で仮説検証をリーンにスピード感持って進めていきたいと考えています。
保護者UI/UXの0→1フェーズ
これまでは特に子どもUI/UXにフォーカスしてプロダクトの改善を進めてきました。それは「子どもが読書に夢中になっていく」という変化が最も根本的な体験だったからです。しかし、今後より多くの保護者に届け、より長く価値を感じ続けてもらうためには、子どもUI/UXだけではなく保護者UI/UXも改善していき、保護者さまにも納得していただいた状態で家庭にとって必要不可欠なサービスになっていく必要があります。
例えばオンライン上の体験としては、保護者サイトで子どもがどのように成長しているのかの可視化される、これからどのように成長していくのかのロードマップを知り期待を得ることができるなどが考えられます。また、オフラインでの体験として、親子で本を起点とした会話で盛り上がるというシーンをどのように増やすなど、読書が親子の生活全体の中心に入り込んでいくにはどうすればいいのかということを考えていく必要もあります。
子どもと保護者、オンラインとオフラインなど、考慮すべき要素が多く、UX設計が複雑になってしまう部分ではありますが、だからこそチャレンジングな課題になっていきます。さらに、子どもアプリ、保護者サイト、LINE、図書館サイトやECサイトなど、タッチポイントが増えて複雑化する中で、いかに直感的な使いやすさを保っていくかという点がUI設計におけるチャレンジになっていきます。このチャレンジを乗り越え「家庭全体」に豊かな体験を届けられるようになって初めて、「読書」が習い事の選択肢として当たり前の1つとして、水泳やピアノ、そろばんに並んでいく用意が完成すると考えています。
デザインの力を最大化する社内の仕組みづくり
現在UIやUXの全体像を示す図などがなく、UI/UXについて議論をする際に特定のメンバーの理解・知見への依存性が非常に高い状態です。今後プロダクト開発に関わるメンバーが増えていくこと、そして「デザイン」が社内全員の共通言語としてワークすることを目指したいことを考えると、議論の土台になるようなUI/UXの整理が必要です。
また、UI・UXともに、ユーザーとのタッチポイント全体を整理することができておらず、現状は各PJ・施策ごとに実現したいUX・理想のユーザーストーリーを設定し、それを実現するUIを作成していくという形で部分最適なアプローチを取っています。UI・UX全体を包括的に整理し、全体最適を意識した改善が行われるようにするためには、仕組みによる解決が必要です。
Yondemyが日本の、そして世界の読書教育をリードしていける会社となっていくために、ともに組織・プロセスをデザインしていくことにも挑戦していければ幸いです。
最後に
大変長いnoteとなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
改めまして、Yondemyは1人目正社員UI/UXデザイナーを全力募集中です!
まずは副業/業務委託でお手伝いいただくような形でも大歓迎です!
UI/UXデザイナーの方は、今すぐには副業も転職も考えていないという場合でも、興味を持っていただけましたら是非一度カジュアルにお話しさせていただければ嬉しいです。UI/UXデザイナーではない方は、SNS等で拡散していただく、またはお知り合いのUI/UXデザイナーの方へシェアしていただけますと大変幸いです。(図々しいお願いとなり恐縮ですが、何卒ご協力ください……。)
こちらが採用ページとなっております。
「デザインの力」によって「読書を習う」という全く新しい文化を創る、そして子どもの読書離れという社会課題の解決・「日本中の子どもたちへ豊かな読書体験を届ける」というMissionの達成するため、ともに挑戦していける方と出会えることを心より楽しみにしております!
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