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青春の後ろ姿#9 〜20代は、清志郎と、バイクと、文学以外に何もありませんでした〜漱石全集 全18巻➕月報1

 個人全集の始めは
『漱石全集』(岩波書店)

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 個人全集は十年単位で再刊されて、新資料が発見されるとそれもあわせて収録内容ばかりでなく、本文も含めて少しずつ変わるので、本当は最新のものが欲しいところです。

 漱石は本当におもしろいですよね。三角関係と不倫を描き続け、心のままに生きようとすると、世間では許されないタブーを犯してしまうことになる、それを、個に目覚めた近代人のエゴイズムと呼びました。

 『それから』と『行人』、『夢十夜』が好きです。エッセイの『硝子戸の中』も文字通り「中(うち)」の話が語られていて飽きません。ちなみに『夢十夜』はどれも甲乙つけ難く好きですが、なかでも第一夜と第三夜、第八夜が好きです。

 『こころ』は何度も現代文の授業で取り扱っていますが、生徒に解釈させるととても勉強になります。生徒たちは知識も乏しく論理性も稀薄ですけど、その感性たるや驚くばかりです。まさしく「読みは再生産」だと実感します。

 明治時代に書かれたのに、令和になっても「だよねえ」と思えることばかり。「きみ、恋愛は罪悪ですよ」と言った『こころ』の「先生」の言葉が沁みます。

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