死者の日を体感したくてメキシコに行ったら、今を生きるよろこびを感じた話
「死ぬまでに、メキシコシティの死者の日パレードを観たい!」という私の強い希望のもと、2023年10月27日〜11月7日までの12日間、海外へ行ってきました!
「でもせっかく行くなら、もっと他にも満喫したいよね?」ということで、ぎっしり詰め込んだ旅程をつくり、飛行機7回、長距離バス3回と、もうほぼ移動しかしていないような盛りだくさんなプランで、メキシコ3都市(メキシコシティ、グアナファト、オアハカ)&キューバ、ロサンゼルス、トルコをめぐってきました。
今回は、メキシコで感じた、メキシコの人たちの今を生きるよろこびを感じて、人生を楽しんでいこうぜ!という陽気なマインドに触れていきたいと思います。
メキシコ3都市さっくり紹介
今回、私たちが巡った都市は、グアナファト、オアハカ、メキシコシティ。
人の暮らしについては後で触れるので、それぞれの都市の特徴を、さっくりと紹介しますね。
*グアナファト*
たくさんの銀が採掘できたことで栄えた街。山を切り拓いてつくられた街なので、長崎かそれ以上くらい坂が多い。さらには細い道もたくさんあって、Uber運転手の皆さん、そこ通れるん!?神なん??って運転技術の持ち主。
山を切り拓いて段々に建てられた、きれいな建造物が細い道に密集しているので、街を展望できる場所からみると、カラフルな街並みがとってもきれい。ユネスコ世界遺産にもなっている。
*オアハカ*
有名なディズニー映画、「リメンバー・ミー」の舞台になっている街。ローカルの皆さんも、この映画が大好きなのだそう。
死者の日の期間は、オフレンダ(日本の仏壇みたいなもの)が街中におかれて、家もお店も街も全部がマリーゴールドやガイコツの装飾がされて、街全体で死者の日をお祝いする。
伝統に基づいて、家族のお墓を思い思いの方法で彩るのもオアハカの特徴。家族でお墓を囲んで、語ったり、歌ったり、踊ったりする。(主旨は日本のお盆に似ているけど、雰囲気は全くちがって明るくてたのしい感じ)
*メキシコシティ*
メキシコの首都。交通の要となる都市で、高層ビルもあれば、スペイン植民地時代に建てられたヨーロッパ感満載の見事な建物たちがきれい。
メキシコって、麻薬と犯罪とマフィアの国じゃないの?
「メキシコに行くよ!」といろんな方にお話しすると、まず聞かれるのが治安や環境の問題。実際に行ってみて、観光で行くレベルの都市は基本的に安全だなと感じました。
日本にいると麻薬や犯罪やマフィアや…って、とにかく治安が悪い・不安定なイメージが強いメキシコ。
行ってみると全くそんな雰囲気はなく、特にメキシコシティに関しては地域清掃の方が街中にいて、街もきれい。治安大丈夫かな‥?と思うことは全然ありませんでした。
旅行先で話したローカルの方にも「治安ってどうなの?」と同じ質問をぶつけたところ、「私もそんな危ない場面に出くわしたことはないし、海外の人が『日本には忍者とサムライがいるんでしょ?』っていうのと同じような感覚だと思う」とのこと。
たしかに、海外の映画に日本が出るときって、日本の要素がさらに強調されて描写されているような気がする。お互いさまってことだなあ。
極めつけに、オットくんはおっちょこちょいなので、道端でスマホを落としたことに気づかないでいたら、通りすがったローカルの方に「あなた、スマホ落ちてるよ?」って拾って返してもらっていました。(親切すぎる)
すぐに踊り出しちゃう、ノンアルでも陽気さ100%のメキシコの人たち
加えて、メキシコは「路上飲酒禁止」の国。お酒が飲みたければ、お店か家で楽しむのがメキシコ流なので、"公園飲み"なんて概念は存在しません。
とはいえ、今回訪れたのがお祭り期間だったからか、地域柄ゆるかったのか、グアナファトだけは路上飲酒をしている人たちがいました。
ちなみに、メキシコシティは「路上飲酒禁止」がかなり厳格で、お祭り期間中はコンビニなどでの酒類販売を停止しているほど。
死者の日の期間だからか、銃を携帯している見回りの警官もたくさん居て、小さな喧嘩なども全く目にしませんでした。
逆に、路上でキス・ハグをしているカップルの数は異常に多い。とにかく熱い。さすがラテン系、全力で愛を伝えます。
また、アルコールが入っていようとなかろうと、いつでもどこでも歌い出す、演奏し始めるのもメキシコ流。
ストリートで弾き語りやバンド演奏をしている人たちも多いのですが、オーディエンスも全力でそこに乗っかりにいきます。この光景は、3都市すべてでみられたので、メキシコの人たちの心に刻まれている大切なカルチャーなんだなあと思いました。
自分の生活と歴史が地続きに感じられる街並み
むかし、スペイン領だったメキシコ。占領したスペイン人たちが16世紀ごろにつくった都市が、今のメキシコシティの基礎になっています。
その中でも特に「メキシコシティ歴史地区」と呼ばれる地域は、当時の建造物が残されていて、世界遺産にも登録されている場所。
その中でも特にメキシコシティの中心部「ソカロ広場」に続く通りには、当時のままの建物が並んでいます。その様子だけでもきれいなのに、今も現役バリバリで建物が使われていることにさらにびっくり。
この建物以外にも、飲食店や有名アパレルのテナントが入った建物がたくさんあって、「歴史的に大切な建物で、世界遺産にもなっている地域なのに、今も人の営みがされていて建物が生きている‥‥!」という驚きが強かったです。
というのも、日本で世界遺産や歴史的に大切な建物や場所となると、すごくすごく大切に扱われている印象があります。
日本のように大切に守って未来に遺産をつないでいくことも、ひとつの方法だと思う一方で、メキシコのように歴史を感じられるものが今の生活に溶け込み、生き続けていることもまた、すてきな遺産の伝承方法だなと感じました。
どちらが良い・悪いではないけれど、東京に住む私にとって、日本の歴史的な場所は「訪問先」ではあっても「生活の一部」ではなくて。
日本史の授業で習った歴史の先に、今の私たちが生きているという実感も、正直あまりできていません。でも、メキシコ的に日常から歴史に触れる機会があれば、否が応でも歴史と自分とのつながりを意識する瞬間って増えるだろうなと感じました。
みずからの人生を楽しく生きるマインドを持った陽気な人たちの国、メキシコ
メキシコ滞在を通して、最も強く感じたこと。
それはメキシコの人たちは、自分で自分の人生をよい方向にコントロールできることを、体感として知っていて実践しているんだなということでした。
死者の日のガイコツメイク(カトリーナメイク)は、子どもや若い人だけのものじゃなくて、おじいちゃんもおばあちゃんも、老若男女みんながやって、それぞれに楽しむ。
お祭りの日は一家でメイクをしてレストランで食事をしたり、そのままお墓参りに行ったりもするそうです。
自分の行動や容姿や言動が、誰にどう思われるかとか、周りの目は関係なくて、大事なのは自分がどうしたいのか。どうすれば、自分がその場を心地よく楽しめるのか。
自分が楽しみたいから、メイクをするし、外国人にも気さくに話しかけるし、ストリートミュージシャンの演奏にノリノリで踊り出すし、いつでもどこでも恋人とラブラブだし、死者の日パレードを見ていて「VIVA Mexico!(メキシコ万歳!)」って叫ぶ。
パレードの出演者も、老若男女がたくさんいて、おじいちゃんおばあちゃんのチームや障がいを持った人のチーム、LGBTQなどの特性を持った方、ベビーカーに赤ちゃんを座らせて参加している家族もいて、すごく多様で寛容。
そしてパレードの出演者も観客もみんな、今、自分が生きているよろこびを、思い思いの方法で表現しているように感じました。
「何事も受け身でいるんじゃなくて、むしろ前のめりに突っ込んで、全力で楽しむ気持ちを持ってすすむと、どんどん楽しくなってくるから、やってみ?」って、みんなが教えてくれているような気持ちになったメキシコ滞在。
今を生きる私たちは、どう在りたいのか
メキシコに行く前情報として、"メキシコの人たちにとって、「死」や「ガイコツ」は怖いものや恐るべきもの、悲しいものではない"という死生観を調べていきました。
メキシコ的な死への考え方は、頭ではわかる気がするけど腹落ちはしない感じのままメキシコを訪れましたが、実際にメキシコで死者の日に参加してみて「死」への捉え方が拡がったように思います。
メキシコ最大のお祭りともいわれる、死者を偲びながら賑やかに楽しむ「死者の日」に参加してみて。
ネガティブやポジティブといったジャッジをすることなく「死」を身近に感じながらも、今ある自分の「生」をどう生きていくのか、自分はどんな人間で在りたいのかを見つめ直すきっかけになったなと感じました。
死を身近に感じるからこそ、現世に生きている今をどう楽しもうか。
今より先のことはわからないから、今をどう充実させて、しあわせに過ごそうか。
あらためて、自分に問いかけていきたいなと思います。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
2024年は、アフリカのサバンナに暮らす野生動物たちに会いにいく旅を企てていますので、お楽しみに。
<2023年11月のキューバ(ハバナ)滞在記>
いつも読んでいただきありがとうございます🙌 いただいたサポートは、本や有料noteの購入にあてます!