見出し画像

『認知行動療法』とは?🍀「認知の歪み」を適切な行動へ🍀

『認知行動療法』=『認知療法』+『行動療法』

『認知行動療法』とは、物事の受け止め方(認知)を良くしていくことで、行動を変化させていこう、という治療法です。

『認知療法』とは
否定的な認知(マイナス思考)

より現実的でバランスの良い考え方(適応的思考)
に変えていくこと

『行動療法』とは
新たな行動パターンをとることで、問題解決能力を高めていくこと

『認知の歪み』は園や学校での不適応行動の引き金となります。
99点のテストを破いたり…
小さな失敗をこの世の終わりかというくらい荒れたり…
周囲から見れば、なぜそのような行動を取るのか理解できないことも、本人はそうするしかないのかもしれません。

今回は、そんな『認知の歪み』を理解し、適切な行動へ変えていく技法を以下の文献を参考に解説します✏︎

【参考文献】


『認知の歪み』を理解する

「認知」とは「物事の受け取り方」のことです
私たちは、日常生活で起こるいろいろな事象を自分なりに「認知」して「行動」しています。

この「認知」に歪みがあるため、不適応な行動をとってしまっていることがあります。

周囲は「不適応な行動」という結果にのみ目がいきガチですが、
「不適応な行動」を取る前の「認知」に着目することで、関わりのヒントが見えてくるかもしれません✨

例えば、
くじ引きで1等賞が当たった✨とき

「僕(私)はなんてついているんだ!次はどんな良いことが起こるかな!」
と認知する人もいれば、

「運を使い果たしてしまった…次はきっと良くないことが起きる…」
と認知する人もいるかもしれません。

極端な例ですが、同じ事象でも人によって受け止め方が異なります。
つまり「認知」は、その後の感情や行動に大きく影響を与えます。

このように物事の受け止め方が、極端だったり非現実的だったり、バランスの悪い認知のことを『認知の歪み』と言います。

認知の歪み』を理解

子どもの思考パターンを整理する

否定的な認知によってどのくらい苦しんでいるのか理解する

行動の理由をが見えくる✨


認知の歪み』10の具体例を紹介します

① 0ー100思考
物事を極端に○か×か、白か黒かという思考パターン
冒頭で説明した99点のテストを破く行動などが挙げられます。

② 一般化のしすぎ
何か一度でもトラブルがあると、その人や周囲の人たち、場所などに対して、過度に否定的に決めつけてしまう。

③ 結論の飛躍
根拠なく悲観的で否定的な未来を予測してしまう。
新しいことに挑戦する前から「絶対にできるわけがない」「上手くいくはずがない」などと決めつけてしまう。

④ 心のフィルター
わずかな良くない出来事にこだわって、その他の良い出来事は無視してしまうという思考パターン。

⑤ マイナス化思考
良い出来事を無視したり、悪い出来事にすり替えてしまったりする。
良い出来事が起こっても、それが頭に残りにくい
褒められた経験があるにも関わらず
「一度も褒められたことなんてない」
と言い張ることもある

⑥ 拡大解釈・過小評価
自分の失敗を課題に捉え・長所を過小評価する
他人の成功を過大評価し・他人の欠点を見過ごす

⑦ 感情的決めつけ
「こう感じるんだから、それは本当のことだ」
など自分の感情を事実証明の根拠のように考えてしまう。

⑧ すべき思考
「〜すべき」「〜すべきでない」と考えすぎてしまうこと
例えば、「授業中は静かにすべき」という観念にとらわれすぎ、話して良い場面でも周りの声が許せなかったり、自分が声を出すのを許せなかったりする。

⑨ レッテル貼り
一つのミスをしたことで完全にネガティブな自己イメージを創作してしまう。自分のことを『ゴミ』とか『役立たず』など極端な解釈をしレッテルを貼る

⑩ 個人化
良くない出来事を、自分に責任がない場合でも、自分の責任にしてしまう。
「自分のせいで親が疲れている」などと考えすぎてしまう。



自分の負の『感情』に気づく

『認知の歪み』を想像することができたら、本人が自分の負の感情に気づいてもらい、修正していくことが大切です。

「否定的」で「複雑」な負の感情を本人が認識するためには、支援者が言語化することが大切です。
『怒り』
『失望』
『不安』
『恥ずかしさ』
『怒りと不安が混ざった感情』など
言語化することで、具体的に自分の内面を見つめやすくなります。

また、負の感情がわき上がった時の身体症状
『心臓がドキドキする』
『頭が真っ白になる』
『体がカーっと熱くなる』
『全身が固まる』
なども、言語化することで、自分の感情や身体症状を客観的に見ることができるようになります。



望ましくない『行動』→望ましい『行動』

『望ましくない行動』(不適応行動)はパターン化していることがほとんどです。そのパターンに子どもも周囲の大人も苦しんでいます。

これまでの悪循環

『認知の歪み』
 ↓
『負の感情』
 ↓
『望ましくない行動』

を断ち切り、『望ましい行動』を取れるようにすることが、認知行動療法の目的地です。

園や学校でできる、具体的な技法をいくつか紹介します。

① 行動の原因を明確に
子どもが不適応行動をとってしまうのは、何らかのきっかけや原因があるはずです。
その原因の解釈が間違っていたり、歪んでいたりする(認知の歪みがある)ことが多いです。


友達を叩いてしまった…
理由を聞くと

『僕の行動を見て笑ったから』

叩かれた子に聞くと

『他の友達と楽しく話していただけ』

このような認知の歪みがトラブルになっていることが多いです。
このように、誰のどんな行動のせいで、友達を叩いてしまったのか
という原因を大人と子どもが協働作業で見つけていく過程が、行動改善には大切です。

② 選択の余地を検討
『認知の歪み』に気づき、不適応な行動が起きそうなとき、適切な行動の選択肢を提示することで、不適応行動を減らします。

パターン化している不適応行動を変容させていくことが大切です🍀


勝負事に負けた(負けそう)

泣き叫んで、周囲の友達を困らせる

というパターンを

勝負事に負けた(負けそう)

・深呼吸
・6秒数える
・「もう一回勝負しよう!」と友達に頼む
・悔しい気持ちを、近くの大人や別の友達に話す

など、いくつか社会的に許される行動の選択肢を提示し、どの行動ならできそうか、相談・実践し、成功体験を積むことが重要です✨

③ ポジティブ・トーク
否定的な感情にとらわれると、自分自身の良さに気づかなかったり、過小評価してしまったりします。
近くの大人が普段の関わりの中でポジティブな会話を通して『自分自身のよさや長所』に気づかせることが大切です🍀

④ 他の子どもの協力を引き出す
不適応行動を示している子の得意な面、良い面を、クラスの友達に認めてもらえるような機会を作り出します。 
自信を高め、クラスの役に立ちたいという気持ちを育てることが大切です💪

⑤即時のフィードバック
子どもが成功したとき、適応的な行動がとれたときに、瞬時に認める言葉をかけると効果的です✨
また、どこが良かったのか分かりやすく具体的に伝えることで効果がアップします🔥

⑥暴露療法
「嫌な(苦手な)ものでも少しずつ慣れる」ということです。
苦手な物、人、場面などにスモールステップで少しずつ慣れていくことを目指します。

「苦手に慣れる」ことを通して、「どんな苦手なことにでも必要に応じて何とか付き合うことができる」というセルフコントロール力を高めることも重要です🍀


まとめ

『望ましくない行動』(不適応行動)はどうしても目立ちます
その行動を直すよう指導しても、なかなか改善されないことがあります。

そのような時は、

行動する前の本人の『負の感情』に気づく

『負の感情』を抱く理由(認知の歪み)を理解する

ことで、関わり方のヒントが見えてくると思います。

他人の感情や認知を完全に理解することは不可能かもしれませんが、理解しようとする姿勢が大切です。
その姿勢が本人との信頼関係に繋がり、行動の改善に繋がると考えています✨



最後までお読みいただき、ありがとうございました✨

いつも、記事を読んでくださり本当にありがとうございます。
スキ・フォローとても励みになっています🍀

この記事を読まれた方が、
少しでも『認知行動療法』について理解を深めていただき、少しでもお役に立てれば嬉しいです🌈

今後もできる限り有益な記事を書いていきますので、よろしくお願いします✨

より詳しく学びたい方は、ぜひ以下の文献を手に取りお読みいただけると嬉しいです。
具体的なケースや、園や学校でできることなど詳しく紹介されていますので、とても参考にしていただけると思います✨

【参考文献】


この記事が参加している募集

#とは

57,759件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?