全社1on1やってみた!
今回は、当社が人材・組織開発施策として行っている全社1on1について、ご紹介できればと思っております!
昨年末に人事制度に関する記事を公開して以来の2回目の記事となります。よろしければ初回の記事も是非ご覧ください。
全社1on1とは
「全社1on1」という言葉はSORABITOの社内用語ですが、端的に言うと、取締役含む全メンバーと人事とが1on1することです。
とはいえ、テーマなしでとりあえず1on1しましたというものではなく、目的や想定成果物を事前に設定してから実施したことや、1ヶ月という短期間で、プロジェクトのような形で実施したことが特徴と言えるかと思います。
実施の背景
これは人事に限らずあらゆる場面に言えることですが、問題解決のためにはまず現状(as is)を把握することが重要です。しかし、全社1on1を企画した2022年6月当時、私自身は入社半年足らずで、また下記の状況もあり、まずはSORABITOの人や組織を知るところから始めるべきという考えがありました。
コロナ禍ということもあって、ほとんどのメンバーがリモートワークをしており、オフィスで顔を合わせることが少ない
人事としてまずは採用に注力してきた中で、採用活動で接点のあるメンバー以外とのコミュニケーションの機会が十分に設けられていない
なお、全社1on1実施以前にも、新メンバーの入社後オンボーディングプロセスの中で定期的(入社初日、1ヶ月後、3ヶ月後)に1on1を実施しており、ひととなりや、SORABITOという組織をどのように捉えているかを深く知る有意義な機会だと思っていました。そうした取り組みを新メンバーだけに留めるのではなく、既存メンバーにまで広げていきたいという意図もありました。
もちろん組織診断ツールの利用も考えましたが、一度も会話したことのないメンバーもいる状況においては、アナログですがまずはメンバー一人一人と顔を合わせて話をする意義は大きいと考えたこと、また診断ツールで収集できる定量データよりも、バイネームの定性情報が有益だろうと考えたことから、全社1on1の実施を決断するに至りました。
企画にあたり参考にした記事
ある日、たまたま社内のあるメンバーから「こがねんさんのnote記事は、組織開発のTIPSとして参考になるよ」と紹介してもらいました。
早速全ての記事を読み込んでみたところ、1on1おじさんの記事を発見しまして、私が持つ課題感や、全社1on1実施の目的、アウトプットに非常に近いものを感じたため、全社1on1における質問内容や、実施後のアウトプットを考える際には、大変参考にさせて頂きました。
実際の企画
こちらも人事に限らない話ですが、私が人事施策を検討する上であらかじめ必ず行うのは、あるべき姿(to be)や施策の目的を明確にすることです。目的意識なしに走り始めてしまうと途中で道に迷うこともありますし、せっかく実施した施策の振り返りや評価をすることも難しくなるためです。
そこで、全社1on1においては、目的と想定成果物をそれぞれ以下のように設定しました。
目的
組織の中にいる、一人一人の「人」を知ること
見えない組織を可視化すること
想定成果物
組織のgood、bad
人材要件(ビジョンや事業計画達成のために、組織がメンバーに求める要素)の設計のための参考材料
こがねんさんの記事と照らし合わせると、ほぼほぼ同一であり、パクりと言われても否定しようのない中身ですが、それほど課題感が共通していたとも言えるかなと思います。
実施要領は以下の通りとしました。
実施時期
2022年7月
実施対象
経営陣を含む全メンバー
実施場所
オフィス会議室 or Google Meet
所要時間
約30分/人
質問内容
あなたはどんな方ですか?
あなたにとってSORABITOはどんな会社に見えていますか?
実施対象に経営陣を含むかどうかという論点がありましたが、各経営メンバーが人や組織について何を考えているのか、お互いに本音を話す機会があまりなさそうという推測もあり、経営陣も対象とすることにしました。
所要時間は、1人あたり30分としましたが、一方で、時間を超えて話をしたいメンバーもいるだろうと考え、更に30分のパッファを設けておきました。
質問内容は、こがねんさんの記事そのままです。こがねんさんとは一切面識ございませんが、この場を借りて御礼申し上げます。
全社1on1を実施する上での特殊なルール
今回全社1on1を実施する上で、通常の1on1にはない、ある特殊なルールを採用しました。そのルールとは、全社1on1でメンバーが話してくれたことは原則経営陣に共有するということです。
人事を長らく経験してきましたが、1on1含む個人面談でヒアリングした内容はその場限りとするのが一般的であり、だからこそ面談当事者も本音を話してくれるというメリットがあります。一方で、ヒアリングを通じて認識した課題感は、経営陣も知りたい内容であるということを理解していました。
経営陣に共有するとなると、なかなか腹を割って話をすることができないかもしれないという懸念もありましたが、SORABITOのメンバーはMVVのValueの1つであるOpenに共感してジョインしてくれた方ですので、比較的本音ベースで話をしてくれるのではと考え、あえてこのルールを設定しました。
一方で、経営陣には共有して欲しくないが、人事には話しておきたいことがあったら、例外的に人事内に留めるので、そういったテーマも遠慮なく話してほしいとも伝えました。
実施してみて
とはいえ、当初は本音で話してくれるかどうかが心配だったのですが、実施してみてそれが杞憂だったことが分かりました。一点の曇りもなく、全てを話し切ってくれたかどうかはさておき、SORABITOという組織に対する考えや想いを、各々の言葉で、比較的正直に話をしてくれたように感じました。
この背景には、社員側の価値観・マインドと、聞き手の1on1に臨むスタンスの両方がうまく作用したことがあったのではないかと思います。メンバーからどう映ったかは分かりませんが、色眼鏡かけることなく、情報をフェアに扱うという姿勢を貫いて面談にあたるよう心がけました。
所要時間については30分かからないメンバーもいれば、1時間経過しても話し足りないというメンバーもいましたので、後ろの30分を空けておいたことも正解だったと思います。一方で、際限なく話し続けてしまうとMTGの生産性を下げる可能性がありますので、1時間を一つの区切りとするようにしました。
ヒアリング内容を経営陣に共有したところ、非常に気づきのあるコンテンツとなっていたようで、すぐに取り掛かることができるものについては、迅速に改善に動いていたように思います。経営陣に多くの気づきと行動変容をもたらすことができたということが、全社1on1の1番の成果だと個人的には考えています。
副次的効果と反省
全社1on1を実施してみて、企画当初は想定していなかった副次的効果もありました。それは、各メンバーのコンディションが把握できるということです。組織に関する質問への回答内容には、必然的に組織に対する思いが含まれることになるため、現状会社に対してポジティブな印象とネガティブな印象のどちらを持っているのかは、思いの外明確に分かりました。
コンディションがあまり良くないことが判明した場合、早期に人事もしくは経営陣にてフォローアップするという対応を取りました。
一方で、初回の全社1on1で最も反省した点は、1on1を1日に詰め込みすぎたことです。組織に関する話題は自然と抽象的な内容が多くなるため、きちんと意図を読み取る努力なしには、経営陣に誤ったメッセージを伝達することになりかねません。真剣に話を聞き、かつその内容を極力そのまま文字に落とすとなると、1人分の1on1実施するだけで相当な工数と疲労感となります。
実施後にヒアリング内容を整理することも考えると、1日5件はさすがにやりすぎでした。最大でも3件程度に留めるのが適切かと思います。
全社1on1のデメリット
言うまでもないことですが、組織診断ツールによる調査と比較すると、全社1on1には明確にデメリットが存在します。それは、とにかく工数が多くかかることです。対象者が40人いる場合、面談の実施だけで面談数40回×面談参加者2人/回×0.5h=40hが最低でもかかります。
そのため、とりあえず1on1設定して話を聞いてみようという軽いノリで始めるのではなく、膨大な工数に見合う目的やアウトプットをあらかじめ設定し、実施後に目的を達成したか、想定していたアウトプットが得られたかを振り返ることも大事です。
全社1on1を実施する上での留意点
最後に、全社1on1を実施する上での留意点をお伝えします。それは、人は何か課題を相手に伝えると、それを解決してくれることを一定程度期待するということです。
全社1on1を実施する中で、必ず組織上の課題をヒアリングすることになります。それを放置すると、「色々話をしたのに、解決に動いてくれない」という不満や、1on1施策そのものに対する不信感につながります。
ヒアリングした課題や提案はないがしろにせず、丁寧かつ迅速に検討し、対応することは非常に重要です。
発見した課題と対策、その効果
発見した課題(組織のbad)については、ヒアリングしたもの全141件を列挙した上で、「解決すべきか」「解決できるか」を確認し、両方とも該当する場合には解決策を練って実行するということを地道に取り組みました。
一つ事例を挙げると、経営陣、特に青木と博多の役割が十分に明示されておらず、かつ決裁フローやレポートラインが不明瞭であり、現場としてはどう動けばいいのか分からず困るという課題感が、複数の社長室メンバーから寄せられました。
解決すべきことは明白であったため、2人の役割、権限、職務分掌、業務への具体的な関わり方の整理を、青木・博多自身を含む関係者一丸となって前向きに進めました。その結果、代表変更を行うという意思決定までなされたのです。
上記の対応により、メンバーがスムーズに業務を進められるようになったことはもちろん、青木・博多も自らの役割が更に明確になったことにより動きやすくなり、関連会議体の効率的運営にもつながるという効果がありました。
2回目の全社1on1やってみた
2023年2月には、人事の間﨑(まざき)とともに2回目の全社1on1を実施しました。改めて目的を想定成果物を設定した上で実施した結果、新たに得られた気付きなどがありました。そちらはまた別記事にて、ご紹介させて頂ければと思います。
SORABITOが求める人材とは
スタートアップであるSORABITOは、まだまだ未整備な点も多く、事業・組織の両面で解決すべき課題が数多く存在します。そうした環境をむしろ前向きに捉えつつ、全体最適で物事を考え、解決に向けて提案し、更には自ら動くことのできる方を求めています。
自身のミッションに留まらない幅広い活躍をしたい方にはぴったりの会社ですので、「自分そうかも!」と思う方は是非ご応募ください!