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ゲームの現象学

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『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』~ゲームの現象学~その3

ハイデガーは『存在と時間』の中で、いわば私が高校生の頃「余りにもゲームに没頭してしまい、自分が誰だか忘れてしまった」と言う経験と良く似た構造が現実社会の人間にも存在すると指摘している。この現象をハイデガーは「頽落」(Verfallen)と名付けた。
どう言うことかと言うと、例えば「学生」と言う身分は一種の虚構であり、そういった存在が実在するわけではないが、
当人が学生であることに熱中する余り、その

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『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』 ~ゲームの現象学~その2

「ゲームは楽しいのに何故現実はつまらないのか」その疑問にある程度答えていた先人にM・ハイデガーと言う人が居る。彼の主著に『存在と時間』と言う有名な本があるのだが、私は若い頃この本が全く理解できなかった。難解で有名な哲学書の代表のような書物なのだが、ハイデガーがこの本を書いた37歳の時に、その内容が一気に理解できるように成った。この本は「現象学」と言う方法を使った「存在論」の著作なのだが、現象学と言

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『ゲームは楽しいのに、なぜ現実は糞つまらないのか』~ゲームの現象学~その1

コンピューターゲームをしていると、時間があっという間に過ぎていく。5時間、6時間など当たり前、家族が文句を言わなければ1日2日、眠らずにゲームが出来る、と言うような人はいまや珍しくも無いかもしれない。かく言う著者も高校生の頃まではかなりのゲーマーで、余りにもゲームにのめり込み過ぎて、自分が誰だから分からなくなってしまう「急性認知症」のような症状が出るまでゲームをしていた事があった。しかし、余りにも

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