オリオン座の角の1つ星の話

「オリオン座の星の1つが爆発したらしいよ。
1番有名なあの均一に並ぶ3つの星じゃなくて角のやつ。」

誰だか忘れたけどそんなことを教えてくれた人がいた。
誰だか忘れたけれど、そう教えてくれたのがこの人であって欲しいなって思う人がいる。

「まぁ、空を見上げたとき、それがわかるのは数千年後の話なんだけどね笑」

なんて、彼は付け足した。

あぁ、そうか。

私はその時、星が遠い世界にあることを始めて実感した。

生活の中でそんなことを考えることはほとんどないけれど、
そうだ。星は果てし無く遠いところにあるんだった。

子供の頃、 “目に見えるものだけが全てじゃない。目に見えなくてもちゃんとあるんだよ”って大人はよくそう教えてくれた。

魔法だったり、妖精だったり、サンタだったり、、、

大人になるに連れて(というより人が私を大人と呼ぶに連れて)、それは恋愛だったり、人情だったり、もっと難しいものになっていった気がする。

私は、それを信じてる。

馬鹿らしいと思うかもしれないけれど、私は妖精が居ることを信じて疑ったことがないし。

だから彼ら大人たちが教えてくれたことは、本当だ。

ただ、彼の言葉を聞いて

“あると疑いもしないものでも本当はないものがある”ことに気づかされた。

未来だったり、楽しみにしていたプリンだったり(今日、食べようととっておいたのに母親に食べられていた。)、オリオン座の角の星の1つだったり。

何億光年も離れた今はない小さなそれに、何億光年も離れた小さな星を研究する学者が気がつき、そして誰だか思い出せない彼の言葉によって私は知った。

なんて遠回りだろう。

遠回りだけれど、これしか私が気がつく方法はなかったんじゃないかとも思う。

私が子供だった頃、 “遠回りのようにみえるけどそれが1番の近道ってことがあるんだよ”と、大人はよくそう教えてくれたから。

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