そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第3章 ラスン救済編 12】
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ー修道院 食堂ー
マサアキ グリル リリアル
HP 63 HP 53 HP 57
MP 0 MP 9 MP 0
LV.9 LV.7 LV.8
絶体絶命に見えたまさにその時、全力で突っ込んできた熊の額にこう…!
真正面から!鮮やかに!ブスッとな!
「「「そうなんですねー!!!」」」
ドカッ…!
【リリアルはマサアキの隣に勢いよく座った!】
…ん?
「あ、リリアアルさんです」
「リリアルさんがきました!」
「マサアキさん面白いですね。リリアルさん!」
「…楽しくおしゃべり出来たようで何よりです…皆さん…」
リリアルちょうど良かった!実際に見てたお前からも説明してくれよ!
俺の輝かしい功績とその勇姿の様をよ!
ジッ
【リリアルはマサアキの様子を窺っている!】
……?俺の顔に何かついてるか?
「………いえ別に…」
「…皆さん…確かにマサアキさんは凄い方ですよ…薬草40枚とか平気で口に入れたまま戦うのです…」
「え…?薬草」
「40…枚?」
おい、誰が珍妙な儀式の事を説明しろって言ったよ
「…マサアキさんの凄さを讃えるなら…やはりまずはここから伝えないとと思いまして…」
クッソダセェだろ、もっとカッコいい部分だけを盛りに盛って話してくれよ
さらにたくさん褒められて、最高にゾクゾクしたいんだから
「…こういうしょうもない見栄を平然と張ろうとしてしまう圧倒的な小市民っぷりも…マサアキさんの魅力の一つです…」
おい、もはや何も褒めてないだろが
「…あと私物に名前付けてて痛いです…」
いやそれはお前も同じだから、痛いから
(((そもそも珍妙な儀式って何でしょう……?)))
んだよ、お前邪魔しに来たのか?
俺の評価がマイナスになるような事ばっか言いやがって
「…いえ…化けの皮が剥がれた時に惨めな思いをしないように…等身大のマサアキさんを周知していた方がよろしいかと思いまして…」
余計なお世話だ
もっと俺を立てろ、立てられないならどっか行け
「…あ…いけません…すでに剥がれかけてます…皆さんこれが本当のマサアキさんですよ…とくとご覧ください…」
「あはは…私ご飯取ってきますね~…」
「あ~、私もお手洗いに…」
「私も外に出て、少し風に当たろうかなぁ、なんて…」
【シスター達は気まずそうにその場を退散した!】
あぁ…!ちょっ、どこ行くんだよ!待ってくれ!ハニー達!
「……気持ちわる…この短時間でどんな関係にまで登り詰めているのですか…」
ちっ、何だよお前!
せっかく気分良かったのに白けさせやがって!
「…まぁまぁまぁ…良かったではありませんか…あれほど質問責めにあっていたらまともな食事の時間もとれていないでしょう?…」
「…せっかくのおもてなしなのですから…もっと心身の充足にあてて下さい…」
「…ほらこれとか…美味しいですよ?…」
へっ!そのせっかくのうまい飯も無愛想なお前から勧められたらなぁ
ピキ
【リリアルの怒りが30上がった!】
「………そうですか…では何も食べなくて結構ですよ?…全部私がいただきます…」
は?いや、食わないとは言ってないだろ
「…だったら黙って食べればいいのに…言わなくていい一言を付け加えないと次のアクションに移れないのですか?…」
「…やだやだ…面倒臭い人…」
ピキ
【マサアキの怒りが50上がった!】
何だぁ?いやに喧嘩腰じゃねぇかよ、なぁリリアル
俺なんかしたか?どこに地雷があるかわからん女は扱いづらくて困るぜ
「…扱いづらくて申し訳ございません…ただ少しおだてられただけで有頂天になってしまう単細胞よりはマシだと思っています…」
誰が単細胞だコラッ!嫌なことばっかり言うなお前!マジで何しにきたわけ!?
……!はは〜ん……わかったぞ
お前、皆で盛り上がってる所に自分も混ざれなくて寂しかったんだな?
「……………はい?……」
全く、最初から言やぁいいのによ〜
声かけて誘って欲しかったんだろ?言ってみ?ん?
「……はぁ~~〜………」
「………なんか…もういいです…あなた色々ズレていて…何もかもどうでも良くなってしまいました…」
誰の何がズレてるって?
「…全部です全部…!…オールズレ男…ズレキング!…」
誰がズレキングだ!聞いたことねぇ悪口でまくし立てんな!
「………もうイヤです…この人も…この人に感情をかき乱されている自分にもむかっ腹が立ってきました…」
「…すごく悔しい…誰か私を助けて下さい…」
安心しろ、次また同じ状況になったら今度は混ぜてやる
お前を仲間外れにはしねーよ
「…話しかけないでください…ズレ菌が移ります…」
ズレ菌が移るって何だ!
どういう意味なんだよさっきから!?
「…ちょっともう本当にうるさいです!…私だって分かりませんよ…!…」
はぁぁぁ!?もう何言ってんのお前!?
ギャイギャイ!
【リリアルとマサアキは激しい言い争いをしている!】
「いや〜二人を見てると初々しくていいっすね〜…」
「マサアキさんがリリアルさんにだけしか向けない表情もあることに、リリアルさんはいつ気付くんすかねぇ。いやはや、尊い尊い」
「むお!?リリレーヒャンろマハアヒへんはひへんほは?」
「グリル君…呑気でいいっすねあなたは、ここぞとばかりに口いっぱいに食べ物詰め込んで」
「……んぐっ!……おいらとめてくるか?仲良しにしてくる!?」
「いいんすよ、あの二人はあれで」
「仲良しだから、ああしてるんす」
「そうなのか?よく分かんないけど、仲良しならいいか〜」
「まぁグリル君には、まだ少し難しいかもしれないっすね」
ゴゴゴゴ…
【マザーのストレスが上昇している!】
「……………フシュー!…フシュー!…」
「……え…えーと?マ、マザーさん?」
「どうしたすか?そんな空っぽになった器を穴が開きそうな位見つめて……」
ビキビキ…!
【器にはヒビが入っている!】
(石の器にヒビが……)
「ね、ねぇ…あなたウマオさんと言ったわねん!?」
「あ、は、はいっす!」
「いい、今の話は本当なのん…?」
「あ〜……ん?今の話というのは……ぐえぇぇ!?」
ガッ!
【マザーはウマオの首を絞め上げた!】
「だからぁ!リリちゃんとマサアキさんの事よん!!」
「仲良し!?尊い!?二人を見てると初々しい!?一体全体二人はどういう関係なのん!?ここからの返答には気をつけた方がいいわよ!」
「ぐるじ…!死ぐっす…死ぐっす…!」
「リリちゃんはね!確かに私と似て美の神に愛されているほどに可愛いわよん!?だけどね!?」
「あの子は今をときめく17歳!10代なのよん!?10代なんて私から見ればまだまだ赤ん坊も同然!今は何もかもが未熟なあの子を、親である私が手取り足取りしっかり導いてあげるべきお年頃でしょう!?」
「だから男の子との交際なんて早すぎると思うの私!わかる!?」
ギリギリ…!
「…とりあえ…はな…じて…!」
「うはは!ウマオもブクブク言ってる!カニだ!」
「小僧!あなたも何か知っているなら私に教えなさい!!リリちゃんとマサアキさんの間にどんな事があったのかを!」
「え?マサアキがリリねーちゃんにしたこと?う~ん…」
「あ、泣かしたな~そういえば」
「な…な…な…!?」
「泣かせたですってん!?」
「うん、二回くらい」
「それも、二回も!?」
ギリギリギリ…!!
「……………」
「何でもいいけど、ウマオそろそろヤバイぞ~おっちゃん?」
「やはり!私が最初に睨んだ通りあの人は危険な男なのね!?こうしちゃいられないわん!!リリちゃんが危ない!!」
バッ…!!
【マザーはウマオを解放した!】
「………う!…ゴホゴホ…!」
「大丈夫か?ウマオ~」
「ずいまぜん……お水を持って来てもらっていいですかグリル君……」
「お?水か?いいぞ〜ちょっと待ってろ」
【グリルは辺りの様子を調べた!】
チャポン…
「うーん、なんだかいっぱい飲むやつあって分かんないなー」
「ま〜とりあえず全部テーブルにもってけばいいか、どれかは水だろ!」
【グリルは大量の水とお酒を手に入れた!】
グビッ!
【ウマオは水を一口飲んだ!】
「……ふぅ、助かったっすグリル君、ようやく落ち着いた」
「お花畑がかなり鮮明に見えましてね、正直もう駄目かと…あの人どんだけ馬鹿力なんすか…」
「おっちゃん背ぇでかいからな~。でもウマオ高い高いされてるみたいでちょっと楽しそうだったぞ?」
「危うく本当に他界他界する所だったっすよ…」
「それで、マザーさんは?」
「おっちゃんならマサアキの方に──」
ぐえぇぇぇぇぇ!?
「…お母様?…どうしたというのですお母様…喉元から手を離してあげてください…」
「リリちゃんは安心してねん?私がきっと守るから!」
「…何の事でしょう?…まずいです…またお母様に変なブーストが掛かっています…」
「苦しい!?でも女の子が泣くときはね?もっともっと苦しいのん!あなたにはその10倍の苦しみを味わわせてあげる!!楽に死ねると思わないでねん!」
言ってる意味がまるでわかんねぇ…!
助けて!誰か助けて!!
ガチャン…
【救護室の扉が開かれた!】
「マザー、急務で依頼を請け負ってくれる傭兵の手配が済みましたよ〜」
「ただ、その事で一つ相談が………って、ギャアァァァ!!」
「…あ…ノエラちゃんいい所に…お母様を止めてください…」
ギチギチ
「2倍…4倍……7倍…ふふん、まだまだ上がるわよん?」
チーン…
【マサアキは力尽きている!】
……………
「何ですこの状況!?どういう事ですかマザー!」
「あぁノエラちゃんおかえり……男は皆生きているだけで罪だと思わない?」
「少し間を空けただけで人間こんな真っ黒に染まるものなのですか!?」
バン!
【マザーは土下座している!】
「ごめんなさい!また私の早とちりだったようで!」
毎回土下座で謝ればそれでいいのかよ
普通、落ちるまで首絞めるか?加減のコントローラー壊れてんだろあんた
「私からも再度謝罪致します。度々申し訳ありません」
「マザーは考えるよりも先に体が動いてしまうタイプなもので」
知るか、だったら鎖にでも繋いどけ、殆ど猛獣じゃねぇか
体が動く度に襲われたら、たまったもんじゃねぇんだよ。こっちだって
「うぅ…リリちゃんの事となるとつい見境がなくなってしまうのん…悪い癖ね」
「…そんなに気を落とさないでくださいお母様…おかげで私は少しだけ気分が晴れたので結果オーライです…」
オーライなワケあるか、おめーは黙ってろ
「それよりノエラちゃん、あなた何か相談がどうとか言ってなかったかしらん?」
「あ、そうですマザー。少々依頼の件でお話が───」
「───ふむ、なるほどねん」
「現物報酬では請け負ってくれる相手先が思いの外少なかった……と」
「はい、美麗品であることは執拗に伝えたのですが、むしろ伝えれば伝えるほど金銭に余裕のないこちらの背景が明白になってしまったようで、有名なギルドや傭兵団からは他を当たって欲しいと断られてしまいました」
「それならば一度換金してから…とも考えましたが、馬車もないこの村では一番近い街に行くまでに時間もかかり過ぎてしまいます。その間にバミラ達が来たら元も子もありません」
「そうねん、村の被害をこれ以上広げるわけには行かないわん。それに次に来る時までにと言っていた例の若い男性の件」
「これに対するあても未だにないわん。用意していない事が知れたら一体どんな目に遭わされるか…」
「はい、なのでそんな中でも、火急かつ現物報酬でも構わないという条件で引き受けてくれる者をどうにか探し当てたのですが、どれもこれといった実績のないフリーでやっている傭兵もどきのような輩ばかりで」
「このマギアの結晶に見合う働きをしてくれるかどうか…」
「ふむ、それでノエラちゃんは結局どうしたのん?」
「複数に依頼を出してバミラとルーボを討伐した人に報酬を払う、競合形式にしました。討伐を終えた人がラスンへ報告に来るはずです」
「これがおそらく今取れる最良の策、あとは上手くいくことを祈るばかりです」
「わかったわん。ご苦労様ノエラちゃん、ご飯まだでしょう?あなたも食べて一息つきなさい」
「はい、失礼します」
「……はぁ……十分な対価はあるのに、まさか交渉のテーブルにすら着かせてもらえないとはねん…」
(……っ!いけないいけない!私がこんな暗い顔をしていたら、皆に不安が伝染してしまうわん!しっかりしなさいマザー!)
パンパン…!
【マザーは自分の両頬を叩いた!】
「何か、飲み物……!」
【マザーは近くにある飲み物を適当に手に入れた!】
グビ…!
【マザーはお酒を一気に飲み干した!】
〜To be continued〜
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