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そもそも魔王って倒さなきゃ駄目なのか?【第一章 旅立ち編 4】

前話はこちら↓

ードミリア 養鶏所ー



すんませーん、卵貰いに来ました

「あれ?あれれ?これはこれは勇者マサアキじゃないか!!珍しいな君が来るのは!何々!?僕ちゃんの最近のマイブームでも聞きにきたの?それとも最近ハマっていること?君になら何でも教えちゃうよ!」


いやいいです。卵だけ下さい

「分かる!!分かるよ~君もようやくうちの卵の良さが分かってきたか~秘訣はね…なんと言ってもエサなんだ!やっぱり良質な卵を産ませるにはそれなりのエサが必要で────」


あ~

「あとね、運動させる事も忘れずにね!卵っていうのは産み手の健康状態に直接関わってくるからただ何となく産ませるだけじゃ駄目なんだよ。今日は日が昇る前に起きて一緒に追いかけっこしたんだ。それから────」


へ~


ー20分後ー


「そこでね、僕ちゃんはその仮面の男に言ってやったのさ、お前が僕ちゃんの母さんを…ッ!!ってこれ昨日見た夢の話ね。そうそう確かマントもしてたような、でそのマスクを被った男は鬼の形相でって言ってもマスク被ってるから実際表情は全然分かんないんだけども、あれ仮面だっけ?どっちでもいいや夢の話だし、それでそのシュノーケルをした男はなんかモゴモゴしながらそうだ実は俺がお前の母さんだ!って言ってきたからお帰りなさい母さん…ってハグして迎えてあげたんだけどこれ何の話!?決めてくれる!?」

良い話です


ーさらに20分後ー

「それじゃね勇者マサアキ、お父さんお母さんによろしくね~」


【マサアキは卵を手に入れた!】


マサアキ
HP 9
MP 0
LV. 1


やれやれ…くたびれたな


卵を貰うのにこれだけ苦労するとは、思わず手が出そうになった


だが目的の物は手に入った。あとはもう真っ直ぐ帰ろう


ードミリア 村道ー

本日のミッションは無事にクリアした

しかしだからと言って安堵あんどしている余裕は俺にはない

村には厄介事が溢れかえっているからだ

「まいったなぁ…馬車が壊れちまっただ。誰かこの積み荷を隣町まで届けてくれる人はいねぇべが、20R(ルーク)で」

あの、俺でいいなら
無視をする  ◀︎            


「お腹減ったよ~お腹減ったよ~誰かクックバードのお肉食べさせて、お腹減って動けないよ~20Rあげるから~」

クックバード
大丈夫かい?これを食べなよ
無視をする ◀︎


このように村には日夜、依頼を請け負ってくれる者を探し報酬を片手にうろうろしている人達がいる

内容によっては見返りの良い物もあったりするが、それらの多くは旅人や冒険者向けであり、俺のように普通に暮らしている奴からするとあまり意味がない物であることが多いんだ


だから俺にとっては正直面倒事でしかない

けど今日はまだいいな、仮に選択をあやまってもなんとかなりそうだから

たまにあるんだよ。俺にどうしろと?というイベントが


「おじいちゃん!!おじいちゃん!!」

「うぅ…わしゃあもうダメじゃ、迷惑かけたのう…」

「何言ってるの!?頑張って!!どうしよう…こんなときにここから海を越えた遥か南西にある猛々たけだけしい炎に囲まれた迷ったら一生出てこれない死の迷宮といわれる洞窟、その一番奥に居ると言われる幻の古竜こりゅうの爪から作られる秘薬さえあれば、誰か倒しに行ってくれる人はいないかしら、50Rで」

そのお使い、俺が引き受けますよ
無視をする  ◀︎


やっす。おじいちゃん助ける気あんのかよ



「キャアァァァァ!!」

「ぐっへっへぐっへっへ…!逃げないでおくれよお嬢ちゃんかわいいなぁもう、ぐっへっへ…!」


「やめて…!!来ないで気持ち悪い!だ、誰か助けて!」

ふぅ…それにしても多いな今日は

やめろ、この変態!
無視をする  ◀︎


ザッ!
【マサアキは村人にまわりこまれた!】


………はい?


「いい加減にして!!私はあなたなんかに1ミリの興味もないの!虚空こくうへ消えて!」

「お嬢ちゃん分かってないね~気がある相手に程そう言ってしまうものなんだよ」


「何なのこの人!どうしようもない!」

え…何なのこの人達、俺を挟んで言い争いしないでくれる?

無視したよな?

ザッ…!
【マサアキは村人にまわりこまれた!】


何だよ!


「お嬢ちゃんの熱烈なアプローチで全身に衝撃が走っちゃっておじさんもう立ってるのがやっとなんだ。そろそろ観念してくれるかい?」

「何度言ったら分かるの!?私はあなたの背中に虫がついていたからとってあげるのにドロップキックしただけ!好意ゆえのドロップキックじゃないのよ!」

なんて話で揉めてんだよ。ほぼあんたが原因じゃねぇか

「わしの生まれ故郷では背中にドロップキックは求婚を意味するのだよ。わかるかい?君がしたことはれっきとしたプロポーズなのだ」


どんな文化だ。分かるわけねぇだろ

やめないか!この変態め!
無視をする  ◀︎


ザッ…!
【マサアキは村人にまわりこまれた!】


「お嬢ちゃん、家族になろう…!」


「いや…!!誰か助けて!!」

誰か俺を助けろ!!



「お嬢ちゃんも諦めが悪いね~叫んだ所で誰も助けになど来てくれないのに、その必死さがそそるわ。ぐへへへ…」

「いいえ!信じていれば必ず助けに来てくれる!!私だけの勇者様が…!」


「そう!白馬に乗った超絶怒涛ちょうぜつどとうのイケメン勇者様が…!!」

来ねぇよ。今居るのは卵持った気怠けだるい顔の勇者様だけだ


にしても抜け出せねぇ。いっそ助けちまうか?

これ以上長引くのはめんどくせぇし

けど俺におっさんをどうにかできんのか?

いい加減にしろ、変態!!  ◀︎
いい加減にしろ、小娘!!

あぁ…ついに選択肢もイライラしてる



「おぉう!?なんだこのモヤシは?邪魔立てするなら許さんぞ!怪我しないうちにどこか行け!」

いや、なんか知らんけどお前らが逃がしてくれないんだろうが

「え…あなた誰?私を助けてくれるの?やだ…嘘…思ってたのと全然違う…」

悪かったな

とりあえずおじさん、この人困ってるみたいだしこれで手打ちってことじゃ駄目か?

【マサアキはおっさんに卵を一つ渡した!】

「駄目に決まってるだろう!舐めてるのかモヤシが!」

「ちがくて聞いてくれよ。おじさん余所者よそものか?ここドミリアでは卵の受け渡しは和平の尊重とされててさ。ほら、ちょっとしたことで壊れる人間関係みたいに卵はもろく割れやすいだろ?それを信頼できる相手に託すってことで、どんないざこざがあってもこれ一つで大概は丸く収まるんだよ。俺の村の伝統を重んじるってことでどうにか…な?」

「アホか貴様!誰がそんな話を信じるか!!大ぼら吹いてんじゃねぇぞ!!」


駄目か…まぁ確かに大ぼらなんだけどあんたに言われたくねぇ


やっぱり黙らせるには力ずくしかないか

でも力ずくってどうやって?腕相撲とかしてくれんのかな?

「あなた私を助けてくれるのなら良いことを教えてあげる!あの人の弱点は背中よ!思い切り飛び蹴りしてご覧なさい」

お前俺とおっさんくっつけてなんのがれるつもりか?許さねぇぞ


「うぉぉぉぉぉぉ!!このモヤシ!!貴様何わしのお嬢ちゃんと仲良くお喋りをしている!!ぶっ飛ばすぞモヤシが!!」


さっきからモヤシモヤシ言わないでくんない?



「もう怒ったぞ!!覚悟しろ!!」



うお!?


エンカウント発生!



~To be continued~

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