差別化戦略でコロナ禍でも成長を遂げた英会話スクールの集客術とは?
1977年よりネイティブ講師による“直接教授法”を採用する「シェーン英会話」を全国で展開する株式会社シェーンコーポレーション。ソウルドアウトとは2014年から約8年間、二人三脚でデジタルマーケティングに取り組みを続けてきました。
コロナ禍では外出自粛の影響もあり、多くの英会話スクールが打撃を受けました。しかしそんな中、シェーンコーポレーション社では前年を上回る成長を遂げてきたとか。
同社の成長理由をお伺いすべく、デジタルマーケティング領域の責任者である久保 慎太朗さんに、編集長のみやたけ(@udon_miyatake)が営業担当の木下とともにお話を伺ってきました!
全国186校の英会話スクール。ネイティブ講師による質の高いレッスンが特徴
─── はじめに、シェーンコーポレーションさんの事業内容を教えてください。
久保:シェーンコーポレーション(※以下、シェーン)は、首都圏を中心に全国186校の英会話スクールの運営をしています。
英会話スクールには、大人向けと子ども向けの教室があります。生徒さんは、コロナ禍以前は大人が多かったのがコロナ禍で逆転し、今は子どもの割合が増えています。
大人が減った理由としては、対面での接触を避けるため、オンライン英会話を始める人が増えていることだと考えています。実際にコロナ禍では、対面で行なう大人向けの英会話スクールは次々と閉校してしまう動きがありました。一方、子どもの場合は、コロナ禍にあってもオンラインよりオフラインの方が選ばれていますね。シェーンでは生徒数が徐々に増えています。
─── コロナ禍ではユーザー層の変化があったんですね。子どもの英会話スクールにはどのような特徴があるのでしょうか。
久保:子どもが五感を通して英語を学び、身につけられる指導を行なっています。創業以来、シェーンは子どもたちに、英語とその背景にあるものを理解し、自分の気持ちや考えを自分自身の言葉で的確に伝える能力を身につけてほしいと考えているからです。
また、レッスンはネイティブ講師によって日本語を介さずに行なう“直接教授法”を採用しています。講師は指導資格を保有しており、着任前にも研修の受講が義務づけられ、レッスンの質が高いことも特徴です。
シェーンではオンライン英会話も展開していますが、特に対面でのレッスンに力を入れています。
─── 久保さんの職務内容を教えてください。
久保:私は、営業支援部マーケティング課の課長として、デジタル広告やWebサイトの管理などデジタルマーケティングに関わること全般を管掌しています。
ソウルドアウトとチームとなってデジタルマーケティングを推進
デジタルマーケティング担当の業務委託社員のような存在
─── シェーンコーポレーションさんとソウルドアウトは、2014年から一緒に取り組みを始めました。最初の出会いを教えてください!
久保:前任者から聞いた話ですが、広告代理店の変更を検討していたときにソウルドアウトさんのセミナーに参加して丁寧に説明を受け、「ここに任せたい」と思いお願いすることになったようです。
─── ありがとうございます!8年近く、とても長くお付き合いをさせていただいていますよね。ソウルドアウトの印象を教えてください。
久保:ソウルドアウトさんは、シェーンの取引先の中でもシェーンのことを最も理解してくれているパートナーのひとつだと感じています。社外のパートナーというよりも、業務委託でデジタルマーケティングを担当している社員のような感じですね。2日に1回ほどの頻度で、チャットワークを使いやりとりしています。小さな質問にも素早く丁寧に答えていただき、安心感がありますね。
成果も、取引を開始してからコンスタントに出ています。デジタル広告の細かいところから、事業に関わる大きなところまで、背景を含めてご提案いただけるのでとても感謝しています。
─── 「業務委託の社員」のように感じていただいているんですね。具体的にどういったところから感じますか?
久保:かなり細かいですが、私たちは店舗型のビジネスと同じなので、社外の方が教室のことを話すときは「店舗」という言葉がよく使われます。ですがソウルドアウトさんは、「店舗」ではなく「スクール」と言ってくれるんですよね。私も言い間違えることはもちろんあるのですが、シェーンの事業を深く理解していることがわかり、嬉しいです。
木下:「スクール」という言葉は、正直まったく意識せずに使っていました(笑)。
久保さんは、提案をするとすごくポジティブに受け取っていただけます。提案内容が実現するかしないかに関わらず、アクションを起こせば議論はいつも前に進みますし、非常にやりがいを感じています。
─── 提案では、どのようなことを意識しているのでしょうか?
木下:業界や競合他社の動きをみて模倣するような動きをとるのではなく、シェーンさんのお客さまは誰なのか、ということを意識して施策の内容を考えています。
例えば、シェーンさんでは対面のレッスンに力を入れているので、オンライン英会話を主軸にしている企業とは違い、広告施策でやるべきことは各スクールへの集客です。また、ターゲットになり得るのは、生徒となる子どもの保護者の方です。ターゲットがよく触れるメディアへ、業界で前例がなくとも、広告配信にチャレンジしてきました。今後は、TikTokやPinterestにも挑戦したいと考えています。
「口コミ」をマーケティングに活かす取り組み
─── では、現在取り組んでいることを教えてください!
木下:新しい取り組みとして、今年の春頃、受講生の保護者へのインタビュー動画を作成しました。
シェーン英会話スクールの良さは、体験してこそ本当にわかるものであり、文字だけで魅力を伝えるのは難しいと思ったんです。加えて、第三者からのリアルな声が一番信頼でき、心に響くと考え、インタビュー動画の制作を行ないました。
撮影時に改めて感じたのが、シェーン英会話スクールだからこそ味わえる空気感です。動画に差し込むために授業風景の撮影もしたのですが、講師の方がつくりだす雰囲気で子どもたちに笑顔が広がる瞬間は、動画でしか伝えられないと感じました。
久保:実は、社内関係部署との会議の際、お客さまの口コミをもっと有効活用するべきだという話がたびたびあがっていたんです。
英会話スクールを検討している方は、SNSや比較サイトのレビューなどをチェックすることが多いと思います。実際にSNSでは、体験クラスに参加した方の感想や、これからお子さんを通わせたいと考えている方の発信が見受けられます。
「どう活かせばよいだろう、何かしたい」とずっと悩んでいたところ、提案をいただいたんです。ちょうどやりたいと思っていたことでもあったので、提案内容も腑に落ちて、ぜひ取り組みたいと感じました。
─── 具体的にどのようなことを意識してインタビュー動画を制作されたのでしょうか。制作に至った経緯を教えてください!
木下:今後の戦略を考える上で、ブランド戦略やコミュニケーション戦略の専門部署である、ストラテジック・プランニングチームと連携し、シェーンさんの価値やターゲット層を再確認していきました。そして、本当にシェーンさんのサービスを必要とする人は誰なのかを考え、そういった方たちに届けるためには、価値を十分に知ってもらい納得できるような動画を制作し、理解や共感を促すことが必要だと考えたんです。
大手を含む競合他社では、サービスを紹介するPR動画が多く展開されていました。ターゲットのインサイトに寄り添ったストーリー仕立ての動画を制作すれば、態度変容に繋がり、他社と差別化を図るポイントになると思い、制作に至りました。
久保:社員からは「実際の生徒の保護者の方が話しているので、シェーンのことがとてもわかりやすい」と言ってもらえるなど、かなり好評です。特に教室の受付をしている社員は「相談に来てくれる方には、こういう内容を話せばいいのか」「こういう風にいえば響くかもしれない」などと言ってくれていて、新しい視点も増えたようです。
─── 口コミというと、Googleマップでシェーン英会話スクールを検索した際、一つひとつの口コミに丁寧に返信していて、口コミを大切にしていることがわかります。
久保:そうですね。Googleビジネスプロフィールも、力を入れて取り組み始めた施策の一つです。昨年末、「ライクルGMB」を全スクールに導入しました。もともと、私たちの部署で一括で更新をしていたのですが、かなり工数がかかってしまい、どうしても更新スピードが遅くなってしまうこともありました。しかし、重要なことだとは思っていたので、木下さんからご提案をいただき導入を決めました。
木下:「Googleビジネスプロフィールからの流入数を増やしていきましょう」といった話をしたときに、「更新作業がしんどい」というご相談をいただきました。そこで「ライクルGMB」をご提案したという流れです。
久保:実は同様のサービスを展開している数社から営業電話をもらっていたんです。ですが、信頼できるソウルドアウトさんを通してやりたいと思ったので、「ライクルGMB」を選びました。
─── そう言っていただき、とても嬉しいです!コロナ禍ではデジタルへの取り組みを強化されているんですね。
久保:実際のところ、デジタル広告全体の予算は大きく変わっていないんですよ。交通広告や折込チラシ、DMはがきなど、デジタル以外の広告は効果が見込めないと判断しコロナ禍をきっかけに辞めました。
今は特にデジタルマーケティングの領域で、口コミ活用に注力しています。動画制作やGoogleビジネスプロフィールなどの施策以外に、SEO対策にも取り組んでいます。
─── コロナ禍では広告効果もあまりよくなかったのでは、と想像します。実際はいかがでしたか?
木下:緊急事態宣言の際はどうあがいても改善できず、外部要因としか言いようがないシーンが多かったので心苦しかったです。久保さんと密に連絡を取り合い相談しながら、CVR(獲得率)を改善する施策を講じたり、広告予算のアロケーションの話をしたりしていましたね。
オンラインに力を入れる業界や他社の動きに惑わされず、シェーンさんの強みである対面でのレッスンへの集客に力を入れるため、「コロナ禍である今は予算をセーブしておいて、落ち着いたタイミングで踏みましょう」といったお話をしていました。
久保:苦労はしましたが、どうにかして伸ばしていくというよりも、持ちこたえることが必要だと思っていました。CV(獲得)を目指せるところに絞るなどして、CVRを下げずに広告を配信していましたね。木下さんが逐一相談してくれて、一緒に工夫しながら取り組んでいました。
─── なるほど。成果状況はいかがでしたか?
木下:シェーンさんがやるべきことに集中して取り組んできた結果、広告成果はコロナ禍にも関わらず、体験予約数が昨年対比で110%に成長しました。これは業界内でも、なかなかない数字なのではないでしょうか。
コロナ禍で苦しみましたが、効率的に広告配信を行なったことで、市場平均を超える成長を達成できました。
チーム一丸となってデジタルマーケティングに取り組む
─── 連携を強めることで困難に立ち向かい、新しい取り組みにも挑戦できているんですね。印象に残っているエピソードを教えてください!
久保:直近だと、一緒に動画制作をしたときのことが印象に残っています。納期にあまり余裕がなく、早く納品しなければならない状態だったのですが、提案内容の実行が決まってからの流れがとても丁寧だったことが印象的でした。
動画制作に何が必要で、どうやって結果を出すのか、どのくらいの数字を達成するのかといったことを全員が共有し、そこに向けてチーム一丸となって頑張っていくという感覚がありました。
木下:当日は、直前にトラブルがあり、予想通りにいかないことも多かったんです。ですが、先ほど久保さんにおっしゃっていただいたように、全員が同じ方向を向いていたからこそ、お互いが助け合ってトラブルをカバーすることができました。「いいチームができているな」と感じましたね。
今後も、社内外で壁をつくるのではなく一つのチームとして、同じ「事業成長」という目標に向かって進んでいきたいと思います。
子どもの英会話といえば「シェーン英会話スクール」
─── 最後に、今後の展望や目指していることを教えてください!
久保:「子どもの英会話といえば、シェーン」と誰もに思ってもらえるような企業になりたいです。そのためにソウルドアウトさんと一緒にデジタルマーケティングの取り組みを加速させていきたいです。
木下:私も久保さんと同じ思いです。Yahoo! JAPAN 第一想起分析で調査したところ、子どもの英会話でシェーンを最初に思い浮かべる人はまだわずかだそうです。なのでこれからは認知度を上げていく施策を講じていき、同時に、シェーンさんの売上の成長にも繋げていきたいと思っています。
具体的には、本日話にあがっていたように、口コミをどう活用していくのかがまず重要なポイントになってくると思います。LINE公式アカウントなどのツールを使うことも一つの方法です。やり方はいろいろあると思うので模索していきます。
久保:今後もこれまで同様にたくさん提案をいただきたいです。いただいた提案は、できる限りやっていきたいと考えています。実際にやってみないとわからないですし、やってみてうまくいかなければ次にやらなければいいんです。また、すぐに実行に移せそうなことも、難しそうなことも、提案いただければそれがヒントになって何かに結びつきます。これからもよろしくお願いします!
編集後記
代理店と事業主とがデジタルマーケティングに取り組み、成功させるために肝となるのは、同じ目線で会話すること。それを今回のインタビューで強く感じました。これからも同じ目標「子どもの英会話ならシェーン」に向かって二人三脚で取り組む新しいチャレンジが楽しみです!
SNSでは、英語学習に役立つコツや雑学を毎週配信されています!
【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】
▼お客さまとのインタビューはこちらのマガジンをご覧ください!