口呼吸のすゝめ
力のある呼吸
広く一般的には口呼吸よりも鼻呼吸が良いと言われます。口呼吸はアレルギーやアトピー、喘息などを引き起こし歯並びにも影響があるということです。
そういった理由から口呼吸というのは近年ではだいぶ敬遠されていますし、口呼吸から鼻呼吸に直したら色々な症状が改善したという例もあります。
しかしこれらの不調は本当に口呼吸が原因なのか?というとこです。
口呼吸にしても、、、
・力のない口呼吸
・力のある口呼吸
で姿勢は変わります。
力のない口呼吸とは顎や舌の力が抜けてしまっている状態です。確かに口の力が抜けてしまった口呼吸だと色々と悪影響が出てしまう可能性があります。
それなら口をしっかりと閉じて顎や舌を使った状態の鼻呼吸の方が効果的です。口に力のない状態で鼻呼吸にしてもこれは効果があまりないと思います。
顎の力
口呼吸を直す時にやはり多くの人が口を閉じるわけです。口を閉じれば自然と口に力が入ります。顎の力はかなり強い力です。
軽く噛む、軽く口を閉じるだけでも知らないうちにそれなりの力がかかっているんです。そうすると自然と口でも鼻でも呼吸が変わってくれます。
顎の力が弱っているのは現代人の一つの特徴かもしれません。使い方の話なので実際に顎が大きいとか、小さいとかという話ではありません。縄文人と現代人の顎を比べても、そこまで極端な差はないそうです。(もちろん個人差はあると思います。。)
口呼吸を直す際には、口(顎)を閉じる力が大事なのであって口呼吸が悪いわけではありません。顎などの力の抜けた呼吸ならば鼻だろうが口だろうが体にとっては良くないのです。
問題は呼吸ではなく下顎周囲の力が抜けていることが問題ですね。
漢字から考える
呼吸という漢字から見てみましょう。「呼」も「吸」も「口」が付いています。
漢字は他の人にも形だけで意味が伝わるように作ってあるので文字自体が意味を持っています。ということは「呼吸」は「口」でするという共通の認識が当時の多くの人にあったという表れでもあります。
今よりはるかに体を使って生きていた時代。大変な作業も多かったと思います。なので当然、作業する時は口で呼吸をすることになります。
因みに「息」の漢字は…
息は鼻と心臓を表しています。
息は吸ったり吐いたり、気体の事も示します。
呼吸は動作そのものを表します。
問題は口呼吸ではない
電気や機械が増える以前は基本「人力」でした。或いは動物に頼ることをしていました。普通、少し激しい体の使い方をしていたら口呼吸になります。或いは歯を食いしばったり顎に力が入ったりします。
哺乳動物の中で人間だけが口呼吸を出来るそうです。言語を手に入れるためにそういう構造になったそうですが、、、本当かどうかは誰にもわかりません。動物には聞けないので…。
だからといって「鼻呼吸が正しい」というのは横暴すぎます。二本脚で行動するのも人間だけですから「四足歩行が正しい」とはなりませんよね。
構造的なデメリットを無理矢理に修正するよりもメリットを利用する方が体は楽になると思います。
前述しましたが問題なのはどこで呼吸するかではなく口の力抜けていることです。
色々なサイトがあるので一概には言えませんが、例えば日本人の子供の口呼吸の割合です。
子供は体に素直です。常に体が合理的な判断を下します。いくら大人が知識で判断しても子供は本能で判断します。
口でも鼻でも顔や顎の力が抜けた呼吸というのが問題です。ではなぜ「力が抜けた」現象が起こるのか?特に近年呼吸が弱くなっている傾向があります。それは体を使う機会が減ったことももちろん関係します。
まず日本では乳幼児の時の授乳に問題があると思います。
授乳が育てる呼吸~日本~
呼吸の「吸」は「すう」ということですが昔と比べ「吸う力」が弱くなったように思います。その原因は乳幼児の頃の授乳期間と深く関係があると思います。
ベンジャミン・スポック(1903-1998)という小児科医の先生は育児書を何冊も出しています。そしてスポック博士は「1歳半ごろまでには卒乳をさせなさい」という考えでした。授乳期間は国や文化で色々とあり一概にどうとは言えません。
まず昔の日本の中の話をすると
『小児必用養育草』(1703年序)というのは江戸時代に書かれた育児書のことです。年齢は数え年なので1歳ぐらいを引けば凡その今の年齢になりますが、、、この頃は年齢に関しての考えがだいぶ大らかなで…。卒乳するのが3歳半とか4歳が理想だということです。
しかしこのような場合、当時の多くの人が「していなかった」から本に書き教養(教育)としてまとめたんだと思います。普段から多くの人が普通にやっていたことをわざわざ規則として書き残そうとはあまり思いません。五歳以上(四歳)でも乳を飲んでいたということの裏返しです。
何れにしてもスポック博士の育児書が出るまで今より授乳期間が長かったことは間違いないでしょう。
そして現代はというと…
1歳ちょっとで授乳を終えている人がほとんどです。それだけ吸う力を養う期間が減ってしまったのです。
以前は吸う力を知らずのうちに育てていました。ある意味ではガムを噛んだりするとパフォーマンスが上がるようなもので、顎や口の中の筋肉を上手く育てると体が強くなるんです。
現代の医学はまだまだ未熟です。特に西洋医学が発展したのは本当にここ100年位であり何かを決定できるほど年月が経っていないのも事実です。現在の現象を分析するには向いていますが、原因や理由までは分からないのが実情です。
それよりも過去の何百億人という多くの人の知恵というものは侮らない方が本当は良いと思います。。。
授乳が育てる呼吸~他の国~
世界を見ても授乳が長い地域は多いです。
WHOでは…
2歳以上でも授乳していいよ、ということです。乳を吸う力が体内を育て体を強くしてくれています。
今ではスポック博士の書いたことは色々と否定されていますが日本では彼の言ったことがまだ少し残っている節があります。他にも以下の事を述べています。
子育てはその民族の文化が色濃く出ます。例えば上の項目に
「・赤ちゃんが泣いても放っておいて良い」
「・赤ちゃんが夜中に目を覚ましても、そこに親の姿があってはいけない」
とありますがこれは欧米人の独特の考え方だとある民俗学の先生が講義で仰っていました。(もちろん全てのヨーロッパの国ではないです。)世界的に見たら泣いている赤ん坊を放っておける国の方が少数派なのだと。。。
話が脱線しましたが「吸う」と言う行為が弱ると体も弱くなる可能性があるということです。これが様々な病気を引き起こすかもしれません。
嚥下作用の衰えも本能的な生か死かという所にリンクしますからね。
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