サブスクリプションの無料トライアルをハックした話
概要
今回はエンジニアとしてではなく、
グロースリードとして記事を書かせていただきます。
お話しすることは、スピークバディでサブスクリプションの無料トライアルの仕組みを大きく変更し、成功させた事例です。
今回紹介する新しい仕組みを導入する前
スピークバディのインストールからサービス利用開始の流れは以下のようになっておりました。
当時のサービスが抱える最大の課題は、
「ユーザーが無料トライアル後に意図せず課金されてしまうことを恐れ、サービスの肝心な中身に触れずに離脱してしまう」というものでした。
私も過去に無料トライアルから数ヶ月間使わないサービスにお金を払い続ける苦い体験をしました…😔
実際にこの問題は
米国ではLow cost trial scam(低価格お試し詐欺)
欧州ではSubscription trap(サブスクの罠)
なんて呼ばれることもあるそうです…
折角サービスの中身をどんどん素晴らしいものに改善していっても、
それがユーザーに届かないのでは意味がありません。
Hulu
Netflix
Apple Music
YouTube Music
など、知名度があり、ユーザーがサービス内容を容易に想像できるサービスならば大きな問題ではないかもしれませんが、スピークバディの様なAIと英会話をする新しいサービスだと、どうしても使っていただかないと魅力が充分に伝わりません。
そんな課題を根本的に解決できるような施策を当時模索していました。
そうして出来上がったのが今回ご紹介する施策になります。
※本施策はiOS版のみで実施されておりAndroid版では近日対応予定です(2024/1月現在)
施策
施策内容は「自動更新型の無料トライアルを廃止し、最初の3日間限定で全機能を課金状態と同じ様に使ってもらおう」という至ってシンプルなものでした。
今までとなにが違うの?
と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、自動更新型の無料トライアルは開始する前に、決済方法を登録する必要があります。
自動更新させるのをやめ、そのフローを取り除きました。
ユーザーが迷うポイントを取り除き、シームレスに学習へと進めるようにしました。
この施策を実施するにあたって、いくつかの議論がプロダクトチームや経営陣を含めて行われました。
その中でも、現実的な懸念としてあがったのが「自動更新の解約を忘れた方々による課金分の売上減少」でした。
しかし、最終的な結論としては「解約忘れによる課金分の減少幅よりも、中身を知ってもらえないことによる機会損失のほうが遥かに大きい」となりました。
そしてなにより、プロダクトチーム・経営陣を含めて「本質的にユーザーのためのサービスを創りたい」という情熱が強かったです。
また「なぜ7日ではなく3日なのか」という点ですが、
これは無料試用中の学習に対して、モチベーションと強制力を程よく持たせたかったからです。
7日間の自動更新トライアルでは、支払い情報を登録したことが「スピークバディを試さなければ」という外的要因による学習へのモチベーションになります。
一方で、支払い情報を登録しないトライアルでは、外的要因による学習へのモチベーションは薄くなってしまいます。
なので、あえて3日間という短めの期間に設定し、スピークバディで集中的に学習してもらう動機を強める形にしました。
この施策は「3日間」の無料試用で試したあと、1日・2日間など、無料試用期間を変えてのテストも行いましたが、現状のプロダクトでは3日間が最も効率がよいという結果になっています。
今後のプロダクトの進化に合わせて、5日間や7日間への延長には随時挑戦していきたいです。
結果
結果として、
課金開始までに迷うポイントが半減したこと
インストールからの学習開始率が6倍になりサービスの魅力を充分に伝えられるようになったこと
これらの要因などによって課金開始率等のKPIが改善し、
LTVとしては18%の改善となりました。
また、無料試用後に自動的=受動的に課金に至るのではなく、無料試用後にじっくり検討し能動的に課金に至る様になったことにより、課金開始後のエンゲージメント率にも良い影響を与えました。
この施策のあとにスピークバディでは「キーフレーズ道場」「コピーキャット」「バディチャット」などの様々な魅力的な学習機能をリリースしているので、この学習開始率6倍という成果は最終的にLTVに18%以上の改善の機会をもたらしていると言えます。
他にもマーケティング部からは「ユーザーが気軽に試すことができる様になったことにより、他社サービスとの比較検討で有利になった」などの成果報告があり、ユーザー獲得の面でも大きな成果が出ております。
また、トライアル後の自動課金トラブルは以前のスピークバディでも決して少なくない話でした。
今回の施策でその問題が根本的に取り除かれ、AppStore上でのユーザーからの評価も大きく改善されました。
さいごに
今回はスピークバディで行ったグロース施策の1つを紹介させていただきました。
他社ではまだあまり類を見ない試みだっただけに、グロースリードとしてかなり大きな挑戦でしたが、柔軟で本質的な思考を全社的に持ち合わせている会社なので、ここまでスムーズに施策を成功に導くことができました。
自社自慢になってしまいますが「やっぱりスピークバディで働いていて良かった」と思える機会でもありました😊
ここまでお読みいただきありがとうございます!
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