20231226「薬莢の暗号」
延焼の痛みで
目が醒める
その気がちらほら在って
そのままにしていたから
同時に起こり
頓服を開き
風通しをよくして
息も出来ただろうに
巻かれた包帯
巻かれた煙
冷たい夜に起き出して
外に出てみて
空を見上げる
どれもが静かで
どこかしこが痛む
失われた過去まで遡り
抗えない未来までも
引き延ばして
ひそみに手を当てる
星が輝くのならいい
どこかの灯りが届くなら
その家々を頼りにして
快方へと導かれるだろう
癒しつつ免れて
もう御免だと
あなたは言うだろう
起こった事は仕方がないが
治癒の先には何が在るのだろう
調合された成分で
それぞれの各所に届けられ
手紙の一文を読む
どこかで聞いたような文字列に
行間を組み替え
暗号はその働きを遂行する
見えない鍵
伝えられない想い
星座の瞬き
ここに居る不自然さと祈りの類い
ゆるりと下り
飲み込んだそれで
わたしは正気を取り戻し
関係性の網を潜って
誰彼に会いに
もう一度外へ出かけよう
在りもしない噂の出所まで
訪ね歩いて真相を映す
各々の視座を見据え
経緯の網目を詳細に記述する
加えられた映像の瞬き
検証される眼差しを以て
一旦解消される
それもまた偽火種として残るが
暫くはそのまま
燻るのはどこなのかは
誰も知らない
だからこそ紡ぐのは
細糸の針穴で繕うモノクロの風景
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