TOMOI

猫の気ままさに憧れる、犬のような気立てのさすらいびと

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猫の気ままさに憧れる、犬のような気立てのさすらいびと

最近の記事

季節の移り変わりを感じる

昼間は陽射しに溢れ、風もなく穏やかだった。日に日に春が近づいている。 目に映る風景が彩を帯びて、生命の息吹に溢れ始める―そんな古から詠われたり記されること以外に、春の近づきはこんなところからも感じる。 駅前のスーパーで食材を買い込んでいたら、冬の間よくお世話になっていた商品が消えたのに気づいたとき。 鍋用の野菜セットや おでんセットが売り場から消えると、冬も終わるんだなと気づく。 電気使用量のお知らせの請求額が家計に優しくなり始める。感性ではなく、実感として身に染みる。

    • 怪盗 vs 警察のせめぎ合い

      唐突ですが、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』をご存じでしょうか?2018年2月から1年間に亘って放送されていた、東映戦隊シリーズの特撮ドラマなんですが。 先日、ふとこの作品の主題歌を聴きたくなりCDを購入したら、面白いギミックを知ることとなりました。 本放送の頃耳にして、男女のデュエットで掛け合いとハモリが面白い主題歌「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」という印象だったのですが─なんとこれ、怪盗側のテーマソング「ルパンレンジャー、ダイヤルを回せ」と

      • 猫につままれた、些細な偶然

        読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ 柳 広司 著 角川文庫刊『漱石先生の事件簿 猫の巻』読了。 夏目漱石の『吾輩は猫である』を典拠にしたミステリー。あとがきで著者自身が記しているとおり、『吾輩は猫である』は、書き出しの部分は強烈に覚えているが、内容となると正直あまり覚えていない。一度くらいは読んだと思うのだが… ただ、最後の

        • 中継ぎの猫に見つけた不思議

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ そこそこ長い通勤時間を利用して読書に勤しむことが多い自分は、鞄の中に複数の本を入れている。今週は、マイケル・ホーイ 著/雨沢 泰 訳『ネズミの時計屋さんハーマックスの恋と冒険』の2巻目「<時の砂>の秘宝」を読んでいたが、帰宅途中で読み終えてしまったので、3巻目までの箸休めに、持ち合わせてい

        季節の移り変わりを感じる

          ネコ→猫→ネズミ

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ 先日までは猫が主役のおはなしを読んでいたが、今回はマイケル・ホーイ 著/雨沢泰 訳『ネズミの時計屋さんハーマックスの恋と冒険(1)“月の樹”の魔法』を読んだ。 タイトルを目にした時、ふと「ねずみくんのチョッキ」シリーズのかわいいねずみくんの姿が浮かんでどんな内容なのか気になったのと、カバー

          ネコ→猫→ネズミ

          通い猫は見た

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ ハーパーBOOKS刊 レイチェル・ウェルズ著/中西和美 訳『通い猫アルフィーの奇跡』を読んだ。 飼い主との死別で自ら野良猫となり、安住の地を求めて彷徨った猫アルフィーは、とある街区に辿り着く。そこで出会った4つの家に通いつめ、快適な環境を構築するために立ち回る中で生まれた交流が織りなした、

          通い猫は見た

          この時代に生きて

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ 歳を重ねるごとに魅力を増す人がいる。自分にとってのその一人に、小田和正がいる。今回は、2018年 株式会社PHP研究所 発行/小田和正 著『「100年インタビュー」保存版 時は待ってくれない』を読んだ。 もともとは2017年にBSで放映された番組のインタビューを、原稿に起こした内容。幼少

          この時代に生きて

          あの日の君を訪ねたくて

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ 小学生の頃、兄がすごく気に入っていた本があった。G・D・グリフィス 作/前田三恵子 訳/福永紀子 絵、文研出版の『荒野にネコは生きぬいて』。 突然この本が頭に浮かんだのでネットで検索してみると、驚いたことにまだ入手可能。なぜ兄はこの本を気に入っていたのか知りたくて、読んでみることにした。

          あの日の君を訪ねたくて

          古典SFと笑えない現実

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ 過日10/6、約2年2か月ぶりに火星と地球が最接近したとか。 それを意識した訳ではないが、先週は偕成社文庫刊・雨沢 泰 訳でウェルズの『宇宙戦争』を読んでいた。 古くはアメリカのラジオドラマでパニックが起こった逸話や、2005年にトム・クルーズ主演でスピルバーグが監督した映画は見聞きしてい

          古典SFと笑えない現実

          正義とは、騙し絵の如く(続)

          前回記した『怪人二十面相・伝』のハヤカワ文庫版(1995年発行)「文庫本のためのあとがき」で、作者は “この作品は三度、NHKと民放でラジオドラマ化されているが、今度は映像化されたものを観てみたいと思うのは、作者の欲である。” と述べていた。願いは、その13年後の2008年に、映画『K-20 怪人二十面相・伝』の公開で実現する。 原作が『完全版 怪人二十面相・伝 』と聞いて、当時、心躍ったのを覚えている。(因みに、『完全版 怪人二十面相・伝 』は、二十面相・伝と~青銅の魔人

          正義とは、騙し絵の如く(続)

          正義とは、騙し絵の如く

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ これに出会ったことで、価値観が変わった─そんな一冊について書いてみる。 その本との出会いは…かれこれどれほど前だろう?古書店でタイトルに惹かれて何気なく手にし、安価なので購入したのは覚えている。その本─北村 想 著『怪人二十面相・伝』(ハヤカワ文庫版)。乱歩の『怪人二十面相』を、二十面相

          正義とは、騙し絵の如く

          さがしものは、なんですか?

          長い間ずっと、探している本がある。 森山 京 作『おしゃべりねこ大かつやく』。 小学生の頃、学校の図書室で借りて読んだ一冊。 老夫婦に飼われている猫の長太郎は、テレビを見るのが大好き。ある日のこと。いつものようにお気に入りの 味噌のコマーシャルを見て歌い踊っていたとき、人間の言葉を喋れるようになってしまいます。 おしゃべりできるようになったねこの、飼い主のおばあちゃんを助ける活躍が描かれた児童書。 長太郎の愛らしさに加え、作中に出てきた商売敵のお店と同じ名前の喫茶店が当時

          さがしものは、なんですか?

          楽園のドアから

          読書は、旅をすることに似ている。 作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。 最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ 今、中公文庫刊の北村 薫 著『謎物語 あるいは物語の謎』を読んでいる。 カバーの画に惹かれて手にした一冊。 因みに北村作品との出会いは、昔 劇場で見た牧瀬里穂主演の映画『ターン』を気に入り、その原作に足を伸ばしたのがきっかけ。 なぜこの本の表紙が気になったのかというと、先述の『ターン

          楽園のドアから

          夏からの時間旅行(3)

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験─ ハインライン→ウェルズと海外の時間旅行小説を堪能したあとは、日本の作品へ。 筒井康隆著の『時をかける少女』。そして、石山 透 著『続・時をかける少女』。タイトルを聞いて想起する作品が世代により別れるほどに、これまで数多映像化された“時かけ”。その原作小説と、続編である。なお、筒井の方は、

          夏からの時間旅行(3)

          夏からの時間旅行(2)

          読書は、旅をすることに似ている。 作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。 最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験ー 前回の『夏への扉』からの流れで、偕成社文庫の『タイムマシン』(H.G.ウェルズ作/雨沢 泰訳)に手を伸ばしてみた。 時間旅行物の原点の古典SF。ゴージャスなタイプライターみたいなマシンに乗った人のスチール写真は子供の頃から見知っていたが、映画は未見。小説を読むのも今回が初めて。 主

          夏からの時間旅行(2)

          夏からの時間旅行

          読書は、旅をすることに似ている。作者の目や手を通して紡がれる、よく考えられた世界を、思考を頼りに巡り歩く。最初のページをめくってから、奥書をあとに本を閉じるまでの、ひとときの非日常体験ー 少し前に、ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』が、邦画で実写映画化されるというニュースを目にした。公開は来年らしいが、それに触発され、原作小説を再読。 友人と恋人の裏切りに遭い、コールドスリープで三十年後の未来に目覚めた主人公が、戸惑いと驚きの時代でひょんなことからタイムマシンの存在

          夏からの時間旅行