正義とは、騙し絵の如く(続)

前回記した『怪人二十面相・伝』のハヤカワ文庫版(1995年発行)「文庫本のためのあとがき」で、作者は “この作品は三度、NHKと民放でラジオドラマ化されているが、今度は映像化されたものを観てみたいと思うのは、作者の欲である。” と述べていた。願いは、その13年後の2008年に、映画『K-20 怪人二十面相・伝』の公開で実現する。

原作が『完全版 怪人二十面相・伝 』と聞いて、当時、心躍ったのを覚えている。(因みに、『完全版 怪人二十面相・伝 』は、二十面相・伝と~青銅の魔人を一冊にまとめて2002年に出版芸術社から刊行された版だよね、たぶん。)

公開された映画は、北村原作とはだいぶ離れていたが、一つの娯楽映画として捉えたら、まぁ、悪くはなかったかな。
原作との比較はともかく、この映画のおかげで、小学館文庫から『怪人二十面相・伝』と『怪人二十面相・伝 PARTⅡ』が発刊され、新刊として手に入れることができたのが嬉しかった。

そういえば、K-20より6年さかのぼる2002年に、TBSで『明智小五郎対怪人二十面相』というドラマが放送されていた。
田村正和が明智を。ビートたけしが二十面相を演じていたこのドラマを見た時、『怪人二十面相・伝』を思い出した。話的には全く重ならないけれど、二十面相サイドにもドラマのスポットが当たっていたことが、そう思わせたのだろうか。

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