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【architect】サッカー×建築

私が小学生の頃、Jリーグが開幕して空前のサッカーブームが到来した
あの頃はJリーグの試合が普通にテレビのゴールデンタイムに放送されていた
Jリーグチップスというポテトチップスには選手のカードが付いていてよく集めたものだ

その後ドーハの悲劇があった
アメリカワールドカップをかけた試合でロスタイムに失点してワールドカップ初出場は幻となった
あの頃現日本代表監督の森保一氏も選手として活躍されていた
三浦知良や中山雅史、ラモスなど錚々たるメンバーの文字通り命懸けのプレーに興奮したのを覚えている

そんな小学生から私はサッカーをはじめた
朝から晩までサッカー、サッカーのことを考える暮らしだったかもしれない
やらされているのではなく、とにかくやりたいのだ
だから結果も自ずとついてきて、高校まで市の選抜に選ばれる程度の結果は残していた

私は今もそうだが小学生からずっと背も低く小柄であった
だから『キャプテン翼』で翼くんと岬くんに例えるととてつもないシュートを放つ翼くんではなく、それを演出する岬くんタイプであった

いわゆるパサーと言ってボールを味方に繋ぐことで試合をコントロールするのである

パスひとつとってもそれには沢山のコツがある
パスはその人をめがけて正確に届けばいいわけではない
サッカーは常に動きながらするスポーツだ
当然パスは味方が動いて欲しいところに出してあげることを意識しなければならない
走っていってちょうど追いつくところにパスを出したり、その相手は右足で次に蹴りたいのか、それとも左足で蹴るのが得意なのか
次に味方がボールをもらった時にドリブルをしたいのか、そのままシュートをして欲しいのか
味方の走るスピードはこのくらいだから、どのくらいのスピードと距離を想定するか

などなど瞬時に決断をしてパスをすることが求められる
これには相手を徹底的に理解して体が覚え込むくらいの練習を積み重ねなければならないから、私はチームメイトと個別に居残り練習をすることでお互いに理解した

尚且つパスには立体感覚も必要である
敵の頭上をうまく通すパスには高さやスピード、ボールの回転、風向きなどを考えながら出すのだ
建築において立体感覚は必須である
私はサッカーを通して立体感覚を鍛えることができたように思っている

元日本代表の小野伸二選手は日本屈指のパサーとして有名で今も現役で活躍されている
高校生から天才と言われた小野選手が心掛けていたのは『メッセージ付きのパス』である

パスを受けた味方が次にどうして欲しいのか、
そんなメッセージのこもったパスをだすことを意識しているそうだ
確かに小野選手のパスは、
「シュートを打って」や「トラップして」といったメッセージが込められているように感じる

建築においても、設計図にはメッセージが込められている
例えば窓ひとつとっても
「ここからの眺めは綺麗ですよ」
「椅子に腰掛けながら外を眺めたら」
「ここから空を眺めると綺麗だよ」
「庭で遊んでおいで」
など、窓が語りかけてくれることがある
それは些細なことで、掃き出し窓なのか、腰窓なのか、開く窓なのか開かない窓なのか、大きな窓なのか、小さな窓なのか、
土地のことや周囲のこと、使う人のことを考えながらメッセージを込めるのだ

建築家のつくる設計図はこのメッセージの固まりと言っても良いのではないだろうか
素材にしても、「この床の木は柔らかくていい香りがするからお昼寝したら気持ちいいよ」みたいなことを語っているかもしれない

私にとってサッカー建築は繋がっている

そんな『メッセージ付きの建築』をこれからもつくっていきたい

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