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物食日記

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美味しいもの、美しいものが好き。 散歩とスナップに夢中。
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2021年8月の記事一覧

気になるブロック

気になるブロック

仕事柄、道すがら佳い感じのエクステリアが眼に入ると、しばらく眺めてしまう。

これは秦野の学校近くの家。簡素で風通し良さげなブロック。沖縄にありそうな、おおらかな造形に惹かれる。塀が格好いい家は建物の佇まいも素敵。住み手のグッドセンスを感じちゃう。

葉山町堀内、海辺の住宅地で見入ったのは無骨なブロック塀と赤い玄関戸の対比。赤色が効いている、何気にイカしてる外観。この雰囲気を自然体で醸せるのが葉山

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大船軒のサンドウヰッチ

大船軒のサンドウヰッチ

学校通いには基本、家で弁当を用意しているけれど、ちょうど米を切らしたり、寝過ごしておかずを作るゆとりがないときは駅で弁当を買う。

そんなイレギュラー時のお気に入りは大船軒の『サンドウヰッチ』。明治32年に発売開始され、サンドイッチとメイン具材であるボンレスハム自体に馴染みが無かった当時の日本人を魅了し、大ヒット商品となった。

大船軒の商いを大きく躍進させた日本初の駅弁サンドウィッチ。有名な鯖の

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小田原 伊勢屋のおやつ

小田原 伊勢屋のおやつ

小田原駅チカの中町で生まれ育ったAさん。地元民が贔屓にする一軒として和菓子店「伊勢屋」の名を挙げた。

本町にある本店にぜひ行って欲しいと勧められたが、駅ビル「小田原ラスカ」1階に入る店舗の方をもっぱら利用している。駅3階のJR改札で東海道線上り電車の発車時刻を確認し、1階に降りて和菓子を買い求め、先客がいなければ5分以内に駅ホームに戻れる。その利便性が嬉しい。小田原の隠れた名物なのに、観光客にあ

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小田原栄町で憩う

小田原栄町で憩う

通学に小田原経由の遠回りルートを選んだのはチャンスがあれば、学校帰りにこの城下町をのんびり散歩し、美味しいものに遭いたかったから。

佳い店を見つけるといっても土地勘が無いうえ、リサーチに割く時間も限られるから愛読するフリーペーパー『海の近く』を頼る。午前で実習を終えた日にランチを愉しもうと地域に根ざした喫茶店「ワンダフル」を目指した。

幅が広く歩きやすい歩道は城下町の風情を残し、行き交う人はど

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SIGMAのスーパーデジカメ

SIGMAのスーパーデジカメ

Mac最新OSに対応するシグマ純正の写真現像ソフトウェアがアップデートされていたことに気づき、約半年ぶりに同社のオールドデジカメ『DP3メリル(75mm)』でRAWフォーマット(モード)スナップを愉しむ。

このメイドイン会津のカメラがもつ超高精細な描写力はやはりRAWモードの撮影で際立ってくる。膨大なデータ量の撮影はバッテリーがすぐ底を尽き、スナップ散歩には予備携行がマスト。さらに独自フォーマッ

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二等辺三角形

二等辺三角形

川の流れを眺め、流水と石の関係を観察し、美術家の石庭を拝観したのち、学校の実習で景石を据え、立てる。

どの石を選び、どのアングルに二等辺三角形を意識しながらどう穏やかに配置するか。実際、材料の山を前にすると頭が真っ白、手足がフリーズしてしまった。

「わからなくて当然。10年やったって難しいんだから」と先生にフォローされ、指示されるままに取り組む。石を動かしているときはまるで理解できなかったが、

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江之浦測候所

江之浦測候所

石の深すぎる世界を覗き学び、感じ、視識るため数寄者、杉本博司さんが構成した江之浦測候所を初訪問。空間の背景と詳細については杉本さんの著書『江之浦奇譚』(岩波書店)と作家、朝吹真理子さんの解説を読むのが最適と思うので、ここでは個人的に強く惹かれたシーンを羅列し、ひとことを添えるに留めるというか逃げます(笑)。

ゴロタ石
入場してまず眼に留まったのは、真鶴産小松石を景石として三角形の苔庭に据えた石組

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シンプルがいちばん

シンプルがいちばん

秦野の職業技師校に通うのもあと僅か。

この水が清らかな街を行き来した日々を想い返し、美しい記憶を留めようと学校前の川石を拾う。

講師のひとり、茅ヶ崎「植定」の親方、渡部先生から教わった手法でおにぎり型の石を結ぶ。長短の棕櫚縄2本を交差し、茶庭の関守石をつくった。この結界石は仕上げの結びに凝りすぎると過剰で無粋な佇まいになりがち。洒脱な渡部先生は利休スタイルな簡素な結び留めを授けてくれた。シンプ

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漆器弁当箱の修繕

漆器弁当箱の修繕

2年前から毎日昼ごはんをパッキングしてきた弁当箱。長野県奈良井宿の小坂屋漆器店が良質な木曽サワラとヒノキを厳選して作る丸小判型曲げわっぱ、小サイズである。食が細くなってきた自分にはほど佳いコンパクトさと軽さ、拭き漆の穏やかな色味が気に入って日々気楽に使い続けている。

気楽と言っても扱いは丁寧に。硬い地面に落とさず、食後は洗剤無しに隅々まで洗い水気を取る。そんな愛着が深い日用品だからできるだけ長く

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土曜日朝のパン

土曜日朝のパン

米が主食の我が家では週末の朝、食卓にパンがあることは滅多にない。先日は土曜日に心身を休める特別な日になったうえ、金曜日の授業が午前中で終わり、茅ヶ崎駅南口近くの食料品店「THE FOOD BASE」で葉山の「earthなないろファクトリー」が天然酵母パンを販売する(12時〜14時)といったタイミングが奇跡的にシンクロ。こうした偶然の幸運を逃さず、自然な流れに乗っていく主義(笑)なので、土曜日の朝に

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石の流れを視る

石の流れを視る

茶庭(露地)に石を据え、立てる実習が始まり、石の造形を視て穏やかに柔らかくレイアウトする特訓を受けた。石どうしが直角に接しない、境界(目地)が真っ直ぐに繋がらないなどの基本ルールはなんとなく理解できても「石の気勢を見極める」と言われも、気勢とは何か戸惑い思考と手の動きがフリーズしてしまった。

実習の学校に向かう道すがら、その疑問を頭に浮かべながら歩いていたら水流を受け流す石が眼に留まった。

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エアージョグⅤ

エアージョグⅤ

秦野の職業技術学校への通学も終盤。

先日から屋外作業場を茶庭に見立て、つくばい、縁石、延路、飛び石、景石を据え、立てる講義が始まった。

その機会に普段使う天然ゴムソール素材でグリップ力が優れ、樹登り剪定にベストな薄底の地下足袋とは利点や特徴が異なる新たなタイプを購入。

道具に万能な物は存在しないと思っている。ひとつの用途に特化して最適なように形づくられた道具を選び抜いて使えば、よりスムーズな

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ムーチョ・アロハな夕暮れ

ムーチョ・アロハな夕暮れ

大雨が降ったあとに透明な光と清涼な海風に包まれる日が夏の湘南、三浦にはあります。朝から午後、雨模様だった秦野からの帰路、逗子駅に降り立ったとき、そんなハワイの海洋性気候を彷彿とさせる最高に心地よい光と風を感じ、そそくさと家に戻るのがもったいなくて駅近くで買い物。逗子銀座通りの崎陽軒でシューマイ、カルディでハワイアンスタイルのビールを購入。

かつて10数年暮らしていた葉山芝崎海岸の海辺に寄って日没

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FAN,fun

FAN,fun

20年ほど前に南恵比寿の「Pacific Funiture Service」で購入した北米の業務用扇風機。クーラーの無い我が家では命綱的ツール。ブーンとプロペラ機みたいな轟音とともに超強力な風力で熱気、湿気を蹴散らしてくれる。

お盆休み中はこの頼れる相棒に被る埃を自作の中津箒で隅々まで祓う。扇風機は埃を纏うと性能が大幅に落ちるからシーズン毎の掃除が欠かせない。

錆たエイジングの風情はそのままに

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