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石の流れを視る

茶庭(露地)に石を据え、立てる実習が始まり、石の造形を視て穏やかに柔らかくレイアウトする特訓を受けた。石どうしが直角に接しない、境界(目地)が真っ直ぐに繋がらないなどの基本ルールはなんとなく理解できても「石の気勢を見極める」と言われも、気勢とは何か戸惑い思考と手の動きがフリーズしてしまった。

実習の学校に向かう道すがら、その疑問を頭に浮かべながら歩いていたら水流を受け流す石が眼に留まった。

自然石のかたちはさまざまで、水が当たるアングルも異なる。

それぞれの違いにより水流の向きが変化していく。白く泡立つ水がどう流れていきたいのか可視化して示している。その景色を眺め、大きなヒントを得た気がした。

石の気勢とは水を受けてどの方向にどんな風に流して行くか。そんな石の作用を意味しているのではないかと。枯山水をはじめ実際には水の無い露地でも水の流れを想像してどう心地よく穏やかに流れをつくっていくか考える。

石と向き合う術を川から授かった気がした。水の流れで気づいたことはもうひとつ。二等辺三角形がきれいに形成される場所を多く見かけた。二等辺三角形になるよう石を配置することは露地づくりの基本ルールのひとつなのだが、川はごく自然な流れで石をその様に動かしている。

動かない者と動く者。水と石の穏やかな関係を二等辺三角形の景色が可視化させてくれるようで感じ入った。風水に通じる働きと精神性。なんだかとてつもなく深い領域に魅了され始めた。

#sigmaphoto

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