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漆器弁当箱の修繕

2年前から毎日昼ごはんをパッキングしてきた弁当箱。長野県奈良井宿の小坂屋漆器店が良質な木曽サワラとヒノキを厳選して作る丸小判型曲げわっぱ、小サイズである。食が細くなってきた自分にはほど佳いコンパクトさと軽さ、拭き漆の穏やかな色味が気に入って日々気楽に使い続けている。

気楽と言っても扱いは丁寧に。硬い地面に落とさず、食後は洗剤無しに隅々まで洗い水気を取る。そんな愛着が深い日用品だからできるだけ長く使いたいと願いつつもフチ部の漆が自然と剥げ、蓋のヒノキが傷んできた。

職人に預けず、休日に自身でサッと修繕できないか思案したところ、東京台東区の工芸教室「播与漆行」が素人でも手軽に漆を塗れる商品『すぐ塗れーるMR赤漆』を開発していると知り、amazonで購入した。

蓋に刷毛が付属する瓶に赤漆が入っていて、マニュキア感覚で塗れる。呆気ないほど簡単だ。漆を模したケミカルな塗料ではなく、天然漆だから食品を収める漆器にも安心して使える。

初めは鮮やかな朱色だが、乾くと焦げ茶色に変わって拭き漆にわりと馴染む感じ。ヘラを併用して薄く伸ばすよう慎重に塗ると仕上がりが美しいだろうが、ものぐさな自分はボテっとした塗りに(あまり厚いと表層だけしか乾かないので注意)。そのぶん、修繕の痕跡が目立つが、素朴でラフな雰囲気を佳しと自認。これからも綻びが出るたび、こまめに直していこう。

#sigmaphoto

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