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「先入観」をひっくり返せば、仕事の意義も見えてくる【逆ソクラテス】

「自分の仕事の意義ってなんだろう?」

皆さんも、仕事をしながらふと、そんなことを考えたことってありませんか?

僕は教育関係の情報を発信する仕事をしているんですが、たまに自分の仕事は誰にどんな影響を与えられているのかわからなくなって、「自分の仕事に意義はあるのかな?」なんて思ったりすることがあります。

そんなことを考えていた時に読んだ、伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」という小説。

この小説は、小学生を主人公にした短編集です。

教育関係の仕事をしているからか、小説に登場する子どもたちの気持ちが本当にリアルに、スーッと心の中に入ってくる感覚で読むことができました。

その中で、
「教師の子どもに対する先入観」をひっくり返すために行動を起こした、小学生のある言葉が、僕自信の「仕事の意義に対する先入観」をひっくり返す大きなきっかけをくれたんです。

「逆ソクラテス」はゴーレム効果と戦う話?

皆さん、「ピグマリオン効果」って言葉ご存知ですか?

教育に関わる方は耳にしたことがあるかもしれませんが、

他者からの期待を受けることによって、勉強や仕事などの成果が高まることを「ピグマリオン効果」と言います。

皆さんも、先生や親から「君ならできるよ」と信頼してもらえたことで、良い成績をとることができた、なんて経験はありませんか?(逆にプレッシャーになった方もいるかもしれませんが)

反対に、他者から期待されないことによって、勉強や仕事などの成果が低下してしまうことを「ゴーレム効果」と言います。

「あの子はどうせ勉強できないから」なんて思って他者に接していると、その人はモチベーションが上がらず、結果的にどんどん成果が出せなくなってしまうんです。いわゆる「先入観」というやつですね。

さて、なんでこんな話をしたのかというと、

実は「逆ソクラテス」の話の中で小学生が戦うのがこの「ゴーレム効果」、つまり学校の先生の子どもに対するネガティブな先入観なんです。

先入観と戦うのは「未来の子どものため」

小説に登場する久留米先生というクラス担任は、草壁くんという男の子に対して「この子はできない子だ」という先入観を持っています。

そのため、何をしても低い評価をされてしまい、草壁くんはクラスでも浮いてしまっていました。

そこで、クラスメイトの安斎くんという男の子が、久留米先生の先入観をひっくり返すために、友達と一緒に様々な計画を練っていきます。

その作戦会議のシーンで安斎くんの言った言葉に、思わずハッとさせらました。

「これは、草壁のためになるわけじゃない。」
「ただ、これから久留米先生に教わる子供たちのためにはなる。子供に対して先入観を持つのに慎重になるかもしれないんだから」

久留米先生の草壁くんへの先入観をひっくり返し、「俺の決めつけは間違っていたのか?」という経験をさせることで、今度誰かのことを駄目な子供だと決めつけそうになった時、ブレーキがかかる。

そうすることで、これから久留米先生に教わる子どもたちが救われるかもしれない。
だから、これは未来の子どもたちのための計画なんだと、安斎くんは言ったんです。

僕の仕事も、未来の子どもたちのための仕事だ!

この言葉をみたとき、自分の仕事の意義に悩んでいた僕の頭中のモヤモヤに、ひとすじの光がさしたような感覚がありました。

この「未来の子どもたちのため」という考え方は、自分の仕事にも当てはまることなんじゃないかと思ったんです。

考えてみたら僕は、「直接子どもと関わらないと意義なんてないのかも」という、いわば「先入観」を持って仕事をしていたのかもしれません。

教育問題について考えて発信することは、直接的には子どもたちに届かないかもしれない。

でも、その発信を見た先生や親御さんたちの行動が少しでも変わることで、その先生たちがこれから関わる未来の子どもたちが、救われることもあるんんじゃないか。

まさに、「僕の仕事に対する先入観」もひっくり返された瞬間でした。

考えてみたら普通のことのように聞こえますが、こうやって物語の中の子どもに言われたことで、何故かスーッと腹に落ちたんですよね。

教育に関わる仕事をしていると、いつも子どもたちに教わることばかりですが、まさか小説の中の子どもからも励まされるとは。


「僕の仕事は、未来の子どものたちのための仕事」

こう胸を張って言えるように、これからも頑張ろうと思った話でした。

仕事の意義に迷ってる皆さんも、ぜひ「逆ソクラテス」の小学生たちから「先入観」をひっくり返すヒントをもらってください。

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