苦しみの根源的な要因「三毒」とは❓ 『ブッダが説いた幸せな生き方』⑥
前回は『ブッダが説いた幸せな生き方』(岩波新書)を読みながら「無常」と「無我」の関係を取り上げましたが、今回は苦しみの根源的な要因といえる「三毒」についてです。
この本の著者である今枝由郎氏は、人間は全てのものが虚仮(こけ)であるという本質を知らずにそれを誤って実体と見なす、ことに、
と述べています。
ちなみに貪瞋癡(とんじんち)というこの「三毒」については、以前にもnoteで取り上げたことがあります。
今枝氏は、「三毒」とは、
であるとしてますが、
と説明しています。
そして、
と述べています。
つまり私たちの日常、特に恋愛や消費生活においてよく生じる、何でも自分の思い通りにしたい・モノにしたいという欲望(貪)と、決して自分の思い通りにならない・手に入れることができない、といったことから生じる怒りや憎しみ(瞋)は、正反対のものですが、ブッダの教えによれば、この二つは「ものをありのままに正しく理解しないこと」である無明(癡)から派生しているのです。
癡 ⇒ 貪
癡 ⇒ 瞋
ちなみに以前の記事で、今枝氏が、
「(一)条件付けられた生起(縁起)としての苦しみ」
「(二)ものごとの移ろい(無常)による苦しみ」
は、「苦しみの両面と見なしたほうがいい」と指摘している点は、「ドゥッカ」(苦)の本質を考えるうえで非常に重要であると述べましたが、
について正しく理解できていないこと(無明)が、ドゥッカ(苦)が生じる原因であると言えるのです。
さらに今枝氏は、
と述べています。
しかしブッダ(お釈迦さま)は「欲望および執着、すなわち煩悩から生起すると言える」ドゥッカ(苦しみ)は、消滅させることが出来ると説いているのです(「滅諦」「道諦」)。
……次回へと続きます。
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