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「運動」は健康長寿とアンチエイジングのために必要!?【お金をかけずに健康長寿8】


お金をかけずに健康長寿を実現するための記事を、「ストレス」に注目しながら書いています。今回は「運動」についてです。


日々、健康長寿を実現していくためには、適度な運動を行うようにすることも大切です。

特に40歳を超えてくると、20代や30代の時よりも疲れやすくなるなど、体力の衰えを感じることは多いかもしれませんが、もし運動をほとんど行わないで、デスクワークなどで座りっぱなしの毎日を過ごしてしまうと、体力や認知機能はますます低下してしまいます。

しかしウォーキングやジョギング、ヨガなどの運動を無理しない程度に行うことは、加齢による筋力や持久力の低下を防ぎ、心と身体の調子を整えるのに効果的です。

さらに適度に体を動かす習慣をもつことは、脳の様々な部位を複雑に刺激し、神経細胞を増やしたり、認知機能を改善したりすることにつながっていきます。


特に運動を行うと前頭葉の運動野や大脳基底核、小脳の働きが亢進し、反対に感情の中枢である扁桃体などの活動は下がるとされています。

つまり、適度に運動することは認知症の予防にもなるのです。

このあたりのことについては、以前の記事で述べました。


しかしながら運動の問題点は、やる気が続かない場合があるということです。

このことについても他の記事で述べましたが、

たとえば、何時間も仕事でデスクワークを行ったり、スマートフォンの画面を眺め続けたりするのであれば、その分、最低でも30分程度の有酸素運動を実践したほうが、脳と体の健康維持のためには良いのですが、座り続ければ座り続けるほど、体を動かすのが億劫になってしまいます。

 
このことに関して、たとえば神経科学者・認知心理学者のダニエル・J・レヴィティン氏は『サクセスフル・エイジング』(俵晶子 訳)のなかで、

運動は、メタボリックシンドロームと呼ばれる、心臓病、脳卒中、糖尿病のリスクを大幅に高める一群の症状――高血圧、高血糖、腹回りの過剰な体脂肪、コレステロール値や中性脂肪の異常――を抱えている人には、特に有用、いや不可欠です。

としながらも、

 運動の問題点の一つは、ダイエットと同様に、続けるのが困難な、野心的すぎる計画で始めてしまうことです。大多数の人は、興味を失ったり、つまらなくなったり、日常生活にうまく組み込めなかったりするせいで、そうした計画をやり通すことができません。

としています。



では、無理なく運動を習慣にするコツは何かといえば、ハードな運動をするためにトレーニングジムに通うのではなく、散歩やウォーキングから始めるなど、最初のハードル設定を低くすることです。

もしハードルを高くしすぎると、運動が習慣になっていない場合、今の気温や体調、これから雨が降るという天気予報などを理由に、今日はやめておこうと、運動をする決断を回避してしまいがちになります。

しかしもし思い切って運動を開始することが出来れば、あとはモチベーションを高めようとしなくても、勝手に続けたくなっていきます。すなわち運動を続けるうえで肝心なのは、最初の一歩を踏み出すことなのです。



またどのくらい運動をすれば良いのかということに関しては、たとえば『スマホ脳』のなかで、精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が、

 
「脳から見れば、ただ散歩するだけでも驚くほどの効果がある。とにかく大事なのは運動をすること。それで心拍数が上がればなおよい」

「最大限にストレスレベルを下げ、集中力を高めたければ週に3回45分、できれば息が切れて汗もかくまで運動するといい」


としていることが参考になります。



ちなみにアンデシュ・ハンセン氏は『ストレス脳』のなかで、定期的な運動は、「HPA系」の活動をゆっくりと落ち着かせるのに効果的であるとも述べています(注)。


「HPA系」とは、「視床下部―下垂体―副腎」の反応によってコルチゾールが分泌されるストレスシステムであるということについては先述しましたが、現代社会で問題となるのは、この「HPA系」のストレスシステムが休むことなく働き続けてしまうことなのです。


そして長期的なストレス状態が続いてしまうと「慢性炎症」が引き起こされ、そのことが老化へとつながってしまうとこの連載の冒頭で述べましたが、「HPA系」の活動にブレーキをかけるためには、長期的な運動が有効なのだというのです。

ところがアンデシュ・ハンセン氏が

「短期的には、ましてや自分に鞭打って激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発になってしまう。身体にしてみれば運動そのものがストレスだからだ」

とも述べているように、激しい運動をすると、かえってストレス状態になってしまうため、激しい運動をしすぎることに関しては注意が必要です。


また、運動をし過ぎると先述した「慢性炎症」の要因にもなりますので、くれぐれも運動のしすぎには注意が必要です。

しかし科学的に正しいとされる運動時間にこだわらず、自分自身の体力に合わせて、自分自身が心地良くなれるような適度な運動を心がけるほうが、結果的に長続きします。


重要なのは、歩数計にとってはあなたがスーパーマーケットまで歩いていこうと、芝刈りをしようと、マラソン大会に出るためのトレーニングをしようと関係がないことだ。そのどれも運動としてカウントされる。心拍数が上がっているほうが4倍効率が良いとはいえ、最終的にあなたを気分の落ち込みから守ってくれるのは歩数なのだ。どこで、いつ、どのようにやるかは関係がない。メンタルの強化という意味では、運動の概念をスポーツジムやサッカー場、ジョギングルートからもっと広い範囲に拡大していかなければいけないのだ。

『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子 訳 新潮新書 176頁


ちなみに、適度な運動によってお金をかけずに健康長寿とアンチエイジングを実現するために、あえてトレーニングジムに通ったり、運動器具を購入したりする必要はありません。

もちろん、ジムに通ったり器具を使ったりするほうが運動を続けやすいという方はそうしたほうが良いかもしれませんが、腕立て伏せやスクワットといった筋トレや、ヨガ、ウォーキング、ジョギングなどは、お金を使わなくても、すぐに始められ、毎日無理なく続けることが出来ます。

また歩いている最中や日常生活のなかで、

  • 坂道にさしかかったら駆け上がる。

  • エレベーターを利用せずに階段を使う。

  • あえて重い荷物を運ぶ。

といったように、負荷がかかる強めの運動を行うことが可能です。

先述しましたが、健康長寿とアンチエイジングのためのヒケツは、あえて心身に負荷をかけることなのです。
 
したがって、その際、多少きつくても、「この運動はアンチエイジングのために必要だ」と思うようにしてやりきることが大切です。

そしてやりきったら、今度は回復のために十分な休息をとることが必要です(^^♪



注 『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子 訳 新潮新書

数週間定期的に運動するうちに、HPA系の活動はゆっくりと落ち着いていく。そうすると運動のあとだけでなく、もっと長くその状態が続くようになる。HPA系にいくつもブレーキがあるせいかもしれない。中でもとりわけ重要な2つのブレーキが、記憶の中枢として知られる海馬と、額の内側にあり抽象概念や分析的思考を司る前頭葉だ。

 海馬と前頭葉はどちらも運動によって強化される。海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ。HPA系が自分の活動に対してより敏感になるということだ。それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される。

169頁


次回へと続きます(^^♪

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(^^♪



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