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ストレスと慢性炎症、アンチエイジングの関係とは【お金をかけずに健康長寿2】

人生100年時代、お金をかけずに健康長寿&アンチエイジングを実践してみませんか?

前回は、ストレスとアンチエイジングの関係について述べ、長引くストレスは「老化」と関係する「慢性炎症」を引き起こす原因になると述べました。

今回は ストレスと「慢性炎症」、アンチエイジングの関係についてです。

慢性炎症」という言葉はまだ社会に浸透していないのかもしれませんが、「炎症」とは、細菌やウイルスに感染した時や怪我をした際に起こる生体の反応のことで、一般的に「火事」に例えられるような、体にとっての異常事態のことです。

炎症が起きた体の部位では、腫れや痛み、発熱などが起こります。そしてそのからだで起きた炎症に対して、火消し役として対処するのは私たちの体内に備わっている免疫システムです。

そして時間の経過とともに治まる炎症は「急性炎症」と呼ばれています。

一方、同じ部分がだらだらと炎症を起こし続けている「慢性炎症」というものがあります。

 

この「慢性炎症」が起こる要因は、ストレスや睡眠不足、座りっぱなしの生活、加工食品や環境汚染物質など、現代のライフスタイルであると言われています(注1)。

 そしてこの慢性的な炎症反応が実は老化を引き起こすと考えられているのです。

このことについて医学博士の熊沢義雄氏は、『ガン、動脈硬化、糖尿病、老化の根本原因 「慢性炎症」を抑えなさい』のなかで、

「老化細胞による慢性炎症」は、「酸化や糖化、病原細菌などによる刺激で起こる炎症ではなく、細胞そのものの老化によって起こる炎症」であるとしています。

 

また「老化細胞は、普通の細胞のように死なずにからだの中で長時間存在し続け、周囲に炎症性サイトカインなどを分泌してしまう」うえ、「加齢とともに体内に蓄積していき、老化はもちろん、さまざまな病気を引き起こす原因になっていると考えられています」と述べています(注2)。

 ではなぜ細胞が老化するのかといえば、その要因としては、加齢以外には「ストレス」が挙げられます(注3)。

ちなみにここでいう「ストレス」とは主に、自分では自覚できない、フリーラジカルによって体の中がサビついてしまう「酸化ストレス」のことを指します。


ストレス → 慢性炎症 → 老化

 
つまり、自然に年を重ねていくことで老化細胞が増えていくことは仕方がないことですが、ストレスが多いことによって、シワやシミ、白髪が増えるなど、通常よりも早く老け込んでしまうことは十分考えられます。
 
すなわち加齢以外で無駄に老化してしまうことを防ぐためには、例えば「運動」や「瞑想」などによって、日頃のストレスをケアすることが必要になってくるのです。

また、「ストレス」というとネガティブな印象を抱きがちですが、あえて、逆境ともいうべきストレスに立ち向かい、生き延びようとすることも、健康長寿とアンチエイジングの秘訣なのです。(このことについては後述する予定です)。

 

 注1 
『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子 訳 新潮新書

人間の歴史のほとんどの期間、炎症は細菌やウイルスによる感染や怪我で起きていた。それが今では現代的なライフスタイルが炎症を引き起こしている。長いことじっと座っていると筋肉や脂肪組織の炎症につながることが判明しているし、長期的なストレス(何度も言うが数日や数週間ではなく、数カ月や数年という期間)も全身の炎症の度合いを高めるようだ。睡眠不足や環境汚染物質にも同じ作用がある。加工食品は胃腸の炎症につながるし、肥満も脂肪組織の炎症につながり、喫煙は肺や気道の炎症を引き起こす。

 歴史的に炎症を起こしてきたもの――細菌やウイルスそして怪我は、ほとんどの場合、一過性のものだ。しかし現代の要因――ずっと座っていること、肥満、ストレス、ジャンクフード、喫煙、環境汚染物質などは長く続く傾向がある。体内のプロセスとして歴史的には短期的だった炎症が、今では進化で適応してきたよりも長く続くようになった。身体が炎症の原因を見分けられれば、免疫系を無駄に起動させなくてもすむのだが、問題は身体が「炎症は炎症」と捉え、現代のライフスタイル要因を細菌やウイルスに攻撃されているのと同じように解釈してしまうことだ。

104‐105頁


 注2 
『ガン、動脈硬化、糖尿病、老化の根本原因 「慢性炎症」を抑えなさい』 熊沢義雄 著 青春出版社

  細胞は、一定の分裂増殖を繰り返したあとで分裂を停止しますが、近年、こうした細胞を「老化細胞」と呼び、老化細胞の蓄積が人の老化の主な原因と考える「細胞老化説」が提唱されるようになってきました。

 この老化細胞は、普通の細胞のように死なずにからだの中で長時間存在し続け、周囲に炎症性サイトカインなどを分泌してしまうのです。

 老化細胞は加齢とともに体内に蓄積していき、老化はもちろん、さまざまな病気を引き起こす原因になっていると考えられています。

 最終的には、この老化細胞も死を迎えるのですが、その際、大量のサイトカインなど内容物を流出させてしまうため、まわりの細胞に悪影響を及ぼし、さらに炎症が広がることになるのです。

100‐101頁


 注3 
『炎症は万病の元 生活習慣病の真実、医療の現実』 金子義保 著 中央公論新社

細胞は時間と共に老化します。細胞が分裂できる回数には五〇~六〇回という上限があり、過度の増殖を防いでいます。この限度に達し分裂不能になった状態を「細胞老化」と呼びます。

 分裂回数が限界に達していなくとも、酸化ストレス、DNA障害、がん抑制遺伝子の発現、などが起これば、細胞分裂を停止させる機能(細胞周期チェックポイント)が働きます。これらの細胞分裂を不可逆的に停止した細胞は、細胞老化と同じような状態になります。しかし、すぐに死ぬことはないため、細胞が組織内に貯まっていきます。

 この老化状態にある細胞では、炎症性サイトカインの産生や、細胞外マトリックス分解酵素の分泌などが見られます。これらは老化関連分泌表現型(SASP)と呼ばれ、発がんを促進する方向にも作用しています。

68‐69頁

 

 参考動画


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