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【蒸留日記vol.10】北米産マツことストローブマツを蒸留する!

華々しくも蒸留note10本目はここへきて初のマツ科マツ属『松』の蒸留です!
正月に松-Pineの蒸留、縁起がいいですね!

とはいうのも、今まで北海道でポピュラーに生えている針葉樹を蒸留していたんですが、細かいこというと盆栽などでよく目にするいわゆる「松」ではなかったんですよ〜。

おおまかにマツ科植物には亜科で大別できる4系統があり、
①マツ科マツ属-Pinus ~ アカマツ, ハイマツ, ゴヨウマツなど
②マツ科トウヒ属-Picea ~ エゾマツ, ハリモミ, ドイツトウヒなど
③マツ科モミ属-Abies ~ トドマツ, モミ, ヨーロッパモミなど
④マツ科カラマツ属-Larix ~ カラマツ, グイマツなど

がそれぞれマツ科を構成しています。

その中でも本日テーマのストローブマツ(Pinus strobus)①マツ科マツ属に分類される、北アメリカよりやってきたマツになります。

いままでのタイトルはスプルース(トウヒ)ファー(モミ)なので、パイン(松)は今回が初!


●ストローブマツ(Pinus strobus)の簡単なプロフィール!

ストローブマツの葉っぱと松ぼっくり

いわゆる明治期の西欧化によって外国人指導による北海道開拓が進められていく中で、外国の針葉樹が北海道の環境下でも育つか?の適応試験で林業試験場をはじめ、公共施設や歴史ある観光施設などに植えられてきたようです。

1900年代以降、北米のストローブマツ(をはじめとするマツ各種)が五葉松類発疹さび病という樹木の伝染病が流行ったことでめちゃめちゃ存続の危機に陥りました。
日本や北海道などアジア圏に植わっているものは流行地域から離れていたことで、さほど大きな被害を受けていないようです。

私が大学時代、森林フィールドワーク研修において様々な研修林でストローブマツが植栽されているのを見かけては営林に携わる人に聞いて回った話なんですが、ある特定の時期にストローブマツが植えられたことがあるそう。
しかしストローブマツの材質は年輪の境目が明瞭/はっきりしており、強風を受け続けると組織が剥離を起こし、耐久力が下がってボキッ!といきやすくなり。。。

なのでそこまで大量に植栽される樹種にはならなかったんだとか…!

洞爺湖の中島公園・フェリー乗り場の付近はストローブマツ人工林なのですが、北海道に上陸した2016年台風によってかなりの本数幹折れが発生したのが有名だったりします。

■今回のエッセンシャルオイル抽出部位は?

松ヤニがこびりついた松ぼっくりが目立つストローブマツの松毬

本来はドイツトウヒの枝葉をいくらか頂戴するために目的地へ赴いたんですが、近場にストローブマツ並木があり、雪の上にかなりの量松ぼっくりが落ちてたんですね。
おそらくここ数日の吹雪で落ちてきたんだろうか?

それを目撃して、オイル採ってみようか…!と思いついたのが事の発端。。。

【投入したボタニカル材料】
・ストローブマツの松ぼっくり
・ストローブマツの葉っぱ
・ストローブマツの細枝

蒸留レポート22/01/02

見ての通り、釜に詰まっているボタニカルは葉っぱよりも松ぼっくりの物量が多かったりします(笑)

一応、トドマツ枝やらエゾマツ枝やら主に木材を蒸留するとそれなりに精油が採れる!ということが上記の蒸留回で判明しまして、、、

ヤニまみれの松ぼっくりからもそれなりオイルが採れるだろう!と見越しての蒸留です!


■いざ蒸留開始!

まぁこのあたりの景色はいつもとなんら代わり映えしませんね((笑

中身が北アメリカ原産ではありますが、五葉松を扱ってるので気持ち・縁起のいい2022年初蒸留です!(アカマツ・クロマツは2本葉らしい)

マツ科マツ属の蒸留は初なので、どれぐらいオイルポテンシャルがあり、どれぐらいの速さで抽出されるのかが未だ未知数・・・

なので余裕を持って2時間蒸留としました!
(針葉樹類は基本的に2時間でいいんじゃないかなーとか)

蒸留水受けのビーカーには200mlほどしか溜まっていないので開始直後であることがわかる

なななんと芳香蒸留水のポタポタが始まってからほんの10分ほど、、、
かなりのエッセンシャルオイルが精製されてました!早い!

やっぱり先に出てくる軽い成分のせいなのか、乳白色のオイルが溜まりはじめるんですよね。
だいたい時間が経つと透明になるのは目に見えているのですが。。。


■蒸留完了!ストローブマツはどれぐらい精油取れる?

トドマツに匹敵するような歩留まりのオイルが取れた

ウワォ!!
蒸留完了時にうっすらオリーブイエローがかった精油がそれなりの量採れました!
これは想定外・・・こんな採れるんや!!笑

松ぼっくりは毎年それなりの量を秋に拾うことができるので、雪が解けた後でも樹木を伐採せずとも精油が得られる部位になります!

風が吹けば成熟しかけた松ぼっくりも落ちてくるので、わりと年中決まった量落ちてくるもののはずです!

●香りについて

香りについては、松は優しい香りが特徴なのか、さほどクセある香りは感じません。
やや青っぽさも感じますが、トドマツのようにムッとした印象も抱かない感じです、ハイ。
明るく開きがある感じがします…!

このストローブマツのオイルは、そもそも本種が主に育っている地域は北アメリカで、さほどたくさんのエッセンシャルオイルは生産されていないよう。
なので通称の「White Pine Essential oil」で探してみると、
①10mL/¥2600、②10mL/¥3300、③10mL/¥3000など、5mL/¥1500以上から販売されているようです。


成分について英国のエッセンシャルオイル販売企業の公表するデータ表が出てきたので抜粋して載せてみます。

【含有芳香分子 ~ 含有量順】
α-ピネン〜 33.02% / β-ピネン〜 30.41%
ミルセン〜 9.19%
 / リモネン〜 9.16% デルタ3-カレン〜 6.39%
カンフェン〜 4.52%
 / テルピノレン〜 1.24% / 酢酸ボルニル〜 1.02%
(以下0.1以下微量成分多々)
https://oshadhi.co.uk/media/files/1772_GC.pdf より引用

Oshadhi Essential Oils (英)

とのこと。笑

というように、なかなかストローブマツの伐採現場には出くわすことがなさそうなので、積雪シーズン以外はストローブマツがある森で松ぼっくりをひたすら拾ってはそれらを蒸留する、、、

といった方法がエコロジーで最適かな〜と思ってみてます!


ではでは!
明日蒸留の実演・操作依頼が入っているのでこの辺で!
アメリカからやってきた針葉樹を蒸留してみた回でした〜٩( ᐛ )و


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