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【蒸留日記vol.73】英国を代表する香水用品種'Royal Purple'を蒸留する!

こんちはこんちは!
引き続きまして、おいらが思う最もイングリッシュラベンダーにふさわしいと思える品種ロイヤルパープル(L.angustifolia 'Royal Purple')を蒸留していく回となりまっす!

ロイヤルパープルは日本で広く流通する園芸品種とは違って、珍しく香料・精油採り専用品種なんですよ〜!
その品種が本来持つ役割通りオイルを採ってみたいと思いまっす。

上記が去年行った同品種ロイヤルパープルの初回蒸留記事でっす!
今年2023年はさらに大きく育って収量も増えてますよ〜!


■ロイヤルパープルのプロフィール!

収穫当日7/12のロイヤルパープル花壇。雨を受けて咲き方が少し汚い…
大柄品種なので花穂もデカイ!オイルたくさん採れそう!

ロイヤルパープル(Lavandula angustifolia 'Royal Purple')は日本国内では現在難なく入手できる、薄色かつ大柄に育つ英国品種ラベンダーですね。
大人の膝丈上ほどまで花穂を立ち上げる大柄品種なので遅咲きタイプかとも思えるのですが、どうやら早咲き傾向のある品種です。

’Royal Purple'よりはコンパクトな日本品種の'2号はなもいわ’

比較資料として同日7/12の中咲き日本品種'2号はなもいわ'を載せてみるんですが、ご覧の通り中咲品種ではまだ4分咲き程度の時期なんですね。

ロイヤルパープルの花穂

今年は今時期・早咲き系の開花時期に雨が多い年となってしまったので咲き方が汚いんですよ。
開花直前のつぼみもあれば、花がしおれて色あせてしまった花も混在している状況なんですね。
雨が少なく晴れ続きの年ならばキレイな満開を見られたかと思います。


▶︎歴史ある有名な香水の香料に使用?

この"イングリッシュラベンダー"こと英国品種’Royal Purple'はなんともThe Englishな名前を冠しているのですが、なんと英国の園芸協会RHSの植物図鑑にはレコードされていない比較的ニッチな品種なのですよ。

しかし英国のラベンダー苗木園(Nursery)ではしっかりと本種苗木の生産と説明書きがあるんですね。
なんと書いてあるかというと、"1944年に作出された"という事実がこのRoyal Purpleの名とともに伝わっているようなんです。

▶︎香水用品種選定の歴史

現代のイングリッシュラベンダー(香水)とRoyak Purpleではないラベンダー。

ヤードリーのラベンダー香水が世に登場してから、その香水専用のラベンダー品種を確定させるまでにかなり年代の開きがあるんですよ。

ヤードリーロンドンの作るラベンダー香水「イングリッシュラベンダー」が広く英国民に知れ渡り浸透したのは1880年代からのようで、ビクトリア朝時代に知れ渡ったと英語圏資料が出てきます。
その当時のラベンダー品種は名前のついた品種はほぼ存在せず、ラベンダーには紫や白(var. Alba)の色違いが存在してるよねってくらいの認識だったようです。
なので特に品種名など付いていない手短なラベンダーを香料に使っていたと思われます。

時代が進んで、園芸作物にラベンダーが数多く登録され始めた1920年頃。
ヤードリーの製品を愛用している英国王室がテコ入れで最も優れた香りの英国ラベンダーを探させました。
そこでおそらく目を付けられ、栽培が開始されたのが1922年にオランダから英国に導入されていた'Twickel Purple'。
この年代ではまだ'Royal Purple'ではないのですが、ツイッケルパープルはロイヤルパープルに非常に似ているとされ、後年1944年に登場した'Royal Purple'はこの代替品であると説明がなされているんですよ。

なので'Twickel Purple'と'Royal Purple'はそれぞれ命名年代は違うものの、なんらかしらの理由があって代替品種に取って代わった「香水イングリッシュラベンダー」用の香料専用品種なんではないかと考察ができています。

話が歴史に逸れましたが蒸留に戻ります…!!

■収穫&蒸留準備!

先に植え替えが完了している7株
植え替え待ちの10株

ウチではロイヤルパープルは歴史と同様に精油採り用にある程度株数を多く抱えているんですよ。
なので2つの花壇から花穂を摘んでいきます。
その写真2つ目の花壇は彼らがまだ若い頃すし詰めで植えていた花壇なので育ち方が汚いのはご愛嬌ということで(笑)

▶︎’Royal Purple'は大柄品種!

平均40~50cmはある’Royal Purple'の花穂

ロイヤルパープルは日本・北海道の4号オカムラサキと同じくらいの株ボリューム感に育つ大柄品種なんですね。
花茎がデカいのでエスピール収穫法よろしくいちいち花穂と切り分けて花摘みするのは面倒なので花茎中腹をザク切りしてコンパクトにしつつ25Lバケツに集めていきます。

正規花壇の収穫完了!
続けて移植待ち花壇の収穫完了!

小1時間ほどで10数株分のロイヤルパープル花穂の摘み取りが完了しました!

大柄品種を花茎ごと収穫するとかなりのバイオマス物量になりますね。
これをさらに蒸留釜に突っ込まなければいけません。
1度に入るか心配になり始める。。。

バケツ重量などを差し引いて収穫重量は1128gとなった

他の品種の株数とは違って数がモノを言うのかそれとも大柄品種だからバイオマス量も大きくなるのか、1キロを超えましたねぇ…
何mL精油が採れるのかワクワクしますね!

念のため!ちゃんと蒸留釜に収まりました!笑
それなりに再び追加でいくらか刻み込みましたが、こんな感じで蒸留スタート!

■蒸留結果は…!?

それなりの量の精油が得られた!
右のほうが今回の収穫で得られたロイヤルパープル精油

去年得られた同品種ロイヤルパープル精油と今年抽出できた精油とを比べてみました。
すごい歩留まり(抽出量)の向上がみられますね!

5mLビンでは効かないとみて10mLバイアルに今回分を注いだのですが、中腹の5mLラインをゆうに超え6.5~7mLほどの抽出となっているかと思えます。
去年の歩留まりとは歴然の差ですね…これは驚いた。

1.収油率

抽出量[ 6.7mL ]÷ 素材重量[ 1128g]x 100 = 0.593%

開花時期のRoyal Purple蒸留の収油率

あれれそんなに収油率が高いワケではないようでした。
おそらく株数が他の品種の蒸留よりも多かったために総じて得られた精油量が多かったためにそう思えてしまっただけのようでした!

・・・それと思ったんですが、収穫方法で「花穂のみ蒸留」とするか「花茎全体の蒸留」とするかで明らかに収油率狂うよねってことを悟ってしまったおいらです。
だって0.05%しかオイルを持たない葉茎を大部分含めてしまう事になりますから。。。

2.香りとか

さーて世界的にこのコモンラベンダーの俗名が広まるきっかけとなった香水の原料に使用されているロイヤルパープルの香りやいかに!

・・・まだ蒸留臭が抜けきってないのでわかりません!
なので、しばらく経ったら書きます!笑

【前回、英国品種フォルゲイト蒸留回】


若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。