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【蒸留日記vol.51】ノラニンジンの種子房を蒸留してみる!

北海道この時期、今が旬の草花を蒸留するシリーズ…
8月末および9月初頭のボタニカルはノラニンジン/ワイルドキャロット!

さてさて前回!アン女王のレースことノラニンジン(Daucas carota)
これの白く美しいレースフラワーを蒸留してさしあげました。

いわゆる"ニンジン原種"の真っ白いお花からはおよそ5mLのエッセンシャルオイルを抽出することに成功しました。

■今回の蒸留ボタニカルはノラニンジンの種子房!

ひっつき虫の形態をとる小さい種子の房となったノラニンジン花冠
群生するノラニンジン

前回蒸留したのはこれの花の状態!
白くホワホワしたお花です。上の写真にもわりかし写っていますね。

なぜここまでノラニンジン(Daucas catota)が大繁殖できるか?というと、納得いく理由のひとつが、種子の一粒一粒がいわゆる"ひっつき虫"の形態をとります。

細かいトゲトゲが生えた粒がノラニンジンの種子

よく子供時代山とか草薮に入って遊ぶとズボンや服の袖にこれがたくさんついてて煩わしい思いをしたことが何度もあります(笑)

むろん人間だけではなく、動物の体毛に付着して遠くへたくさん運ばれる戦略が大成功したカタチになります。

トゲトゲの種子=ひっつき虫はよっぽどの優秀な構造であることがわかりますね!


■収穫のようす。集めるのはスゴく簡単!

晩夏晴天の下の収穫となった!

収穫場所は1週間前に花をを摘んだ廃道脇のノラニンジン畑です。
だいぶ 花→種子房へと成熟が進んだ感じがしたので来てみました!

玉のようなものがノラニンジン種子房

時期が進んでだいぶ鞠状のノラニンジン種子房の存在が増えてきた感ありますね!
白い花もシーズン的にはまだまだ健在のようす。

・・・アフガニスタンとかカザフスタンの中央アジア・ステップ気候に広がるケシ畑に似た感じがありますね(笑)
大学時代、海外研修の一環でカザフのケシ畑観光のチャンスがあったんですけど、担当教授は「一面アヘン畑」だって解説してました。笑

収穫のようす

収穫はこんな感じで、玉をそのままバケツに切り落としていく感じになります。
すごい楽です。これが全部ラベンダーだったら…と思いながら収穫してました。

ノラニンジン種子房の収穫は1時間程度でこれぐらい集まった

ほんの小1時間程度で25Lの大きなバケツを2つ埋めることができました!

前回はホワホワしたお花をバケツ1杯に集めましたが、今回はボン鞠のような種子房。
摘み取り作業はめちゃめちゃラクでした!

そして確実に重いです。ズッシリ重さを感じます。

素材重量は2.9kg

なんとバケツ一つ分・25Lのノラニンジンは3キログラムに差し迫る重量となりました。
同じバケツ1杯のお花(1313kg)とは質量が大違いです!

英語圏ではキャロットシードとも言うんですが、3キロ分のキャロットシードを蒸留釜にギッチリと詰め込んでやります。

■いざ蒸留開始!

抽出開始直後のようす。蒸留水とともに精油層も厚く溜まっていく。

ノラニンジンの、なんでも今回蒸留相手は花ではなく"種子"であり厚身であることから抽出にはやや時間を要するか〜?と思いきや、、、
すごい好調なペースで滴下開始とともにオイルが溜まっていく様子がみられました!

かなり抽出が早かったので、おそらくリモネンとかそのあたりの質量が軽い部類のモノテルペン類が主として抽出されているのでしょう…!

■蒸留結果やいかに…!?

バケツ2杯分の収穫となってしまったので、2回蒸留を実施しました。

蒸留1回目の抽出結果
蒸留1回目は10mL程度の抽出となった
蒸留2回目の抽出結果

1回目も2回目も種子房を蒸留釜いっぱいに詰め込んだんですが、2回目の方はわりとギッチギチに詰め込んだせいか、見た目やや多く抽出されました。
ともに蒸留時間は、滴下開始からきっかし2時間です!

アカエゾマツ(Picea glehnii)の蒸留を思い起こさせるエッセンシャルオイルの色と抽出量です。
やはりノラニンジンは花よりタネの方が抽出できる精油の量は多いよう…?

まぁ多いかどうかは収油率で表すとよくわかるハズです。

蒸留2回分のキャロットシードオイル(30mLアンプル)

それぞれ1回2回目の厳密な抽出量は測れませんでしたが、両方合わせておよそ23mL程度となりました!
30mLアンプルを半分も埋める抽出量になったのは久々ですね。きもちええ!

比較にとコモンラベンダーの3号濃紫の花1kgから抽出できた精油と比べてみましたが、その分量を2回の蒸留でまんまと超えてしまうノラニンジン。。。

■総評!!

1.収油率

えーと2回やっちゃったんですが、2900gを2回として考えます。
ちょっと計測ミスありなんかで今回の蒸留はデータの信頼性が落ちています。悪しからず、、、

抽出量[ 23mL ]÷ 素材重量[ 2900x2=5800g ]x 100 = 0.396%

ノラニンジン種子房の収油率22.08.24

ちなみに花のみ(1313g)の場合は…

抽出量[4.7mL]÷ 素材重量[1313g]×100 = 0.357%

ノラニンジン花の収油率22.08.15

あっれ!!!そんな変わらない。。。


2.アロマ・香りなど

明らかに針葉樹の葉っぱオイルっぽいスーッとした香りでした!!!

フロリハナで見られる成分データのように、主体のα-ピネンなどがマツ精油っぽさを出しているんでしょうな!


そして、ノラニンジン種子は花と比べて重量があってボンボンした形状なので集めやすいんですよね。
後々に花と種子房とでは香りがどう違うか比べてみようと思ってマス。


ではでは!!
今回はノラニンジンの種子から精油を抽出してみた回でした!!

【前回 - ノラニンジンの花のみを蒸留した回】

【水蒸気蒸留マガジン】

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