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(超)短編小説

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ある人の心
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超短編小説 『紫陽花を数えて』

 こんな噂が学校で流行っている。「紫陽花で花占いをすると、それがたとえ嫌いで終わったとしても恋が叶う」

 馬鹿じゃないの。紫陽花はいくつ花びらがあると思っているの。それに紫陽花の、あの花っぽいところは花びらじゃありません。萼です。習ったでしょ。

 

 中学校二年生になってこういう話題が増えた。あの子は誰が好き、だとか、あの先輩が格好良いだとか。少数派ではあるが、何人かはつき合っている人がいる

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超短編小説 『底のない美しい花瓶』

「ねえ、今夜、空いてない?」
「いいよ、ご飯食べようか」
「……じゃあ、北口ね。私、少しだけすることあるから、先、待っていて」
 
 私は大学構内、学部棟の廊下ですれ違ったあなたに声をかけた。あなたは少しも不思議そうな顔をせずに、私の心を覗き込んで、ただ頷いた。胸元の白いシャツが窓から差す光を反射して眩しかった。窓の向こうには、西に少しだけ傾いた太陽と、綺麗な青空。その雲のない青さは、今年も終わる

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