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すべらない歴史の話

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鷲尾三郎義久のすべらない話「名前」

鷲尾三郎義久のすべらない話「名前」

「どうも、平家物語に出てくる、源義経様の郎党、鷲尾三郎義久といいます。えーと、僕は、播磨国の山奥にある、鷲尾村というところで育ちましたから、鷲尾いうんですけど、名前は持たない田舎者でした。

幼いころに両親、そして兄弟とも生き別れて、山に住む獣たちと一緒に生活していたものですから、まあ、名前なんてなくてもとくに不便に感じることはなかったんですね。

もう、大人になってもずーっと名前なしで生きてきて

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福沢諭吉のすべらない話『神様にいたずら』

福沢諭吉のすべらない話『神様にいたずら』

福沢諭吉といえば、歴史に詳しくない人でもご存じのはず。みんな大好き万札の顔の人で、名門・慶應義塾大学の創立者。これだけみても人格者のように感じ取れますが、子どもの頃はとんでもないガキだったのです。

ある日のこと、神様の祟りなんて本当にあるのかと疑念を抱いていた諭吉少年は、大胆な実験を試みます。神様の名を記した御札を、わざわざ踏んづけたのです。

大人たちの言うように、バチが当たるのかと思えば、何

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太田道灌のすべらない話『口八丁』

太田道灌のすべらない話『口八丁』

上杉定正に仕え、扇谷上杉氏の勢力拡大に大いに貢献した太田道灌さん。頭の切れる人は、小さい頃から一癖も二癖もあったんですね。幼名を鶴千代といったんですが、もうその時分からほとばしるような才気を見せていて、父は喜ぶと同時にそんな息子の将来が空恐ろしくもなりました。

頭が良すぎるあまり潰されてはならんと、鶴千代を呼び出してこう諭します。「人は正直であらねば誤解を生み、災いに遭遇して不幸な目を見る。だか

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高山右近のすべらない話「キリストと人質」

高山右近のすべらない話「キリストと人質」

高山右近(たかやま うこん)…
大阪出身。12歳でキリスト教に入信するほど、熱烈なクリスチャンとして有名。信長にキリスト教の布教を許されるが、秀吉・家康の時代にキリスト教が禁教となり冷や飯を食わされ、果ては日本を追放されて遠い異国のマニラで客死する運命をたどる。時の権力者から迫害されても決して信仰を捨てなかった模範的姿勢は、ルイス・フロイスに「キリストの柱」と言わしめたほど。2016年、ローマ法王

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