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『百年の孤独』の最初の20ページの面白さは尋常ではない
『百年の孤独』の最初の20ページの面白さは尋常ではない。頭がぐらぐら揺すられる。のっけから「長い歳月がながれて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない」である。現在が定まらないまま死に際に飛ばされたかと思ったら、即座に遠い過去へとぶん投げられる。というかアウレリャノ・ブエンディア大佐
もっとみる妻にクリスマスプレゼントでもらった筆箱がすごい便利
風邪をひきやすくなったと思う。風呂で湯船に浸かったまま寝落ちして目覚めたら風邪をひいていたり、歯ブラシをくわえたまま寝落ちして起きたら喉がやられていたりした。風邪をひきやすくなったのではなく寝落ちしやすくなったという説もある。週の半分以上は寝落ちしている。風呂を沸かしている間によく寝落ちしてしまう。
これは悪癖、悪い習慣。
良い習慣の話もある。
最近筆箱を妻にクリスマスプレゼントで買ってもら
2022/10/3-7
来年4月の新レーベル立ち上げに向けて日記を書こうかなと思っていたところ、某レーベルの元編集長からも日記をつけるといいよ、後々の自分のためにと言われたので書いている。今週は月曜日に装幀の初回打ち合わせと企画会議、火曜日に著者と打ち合わせ、水曜日に著者になっていただきたい人と打ち合わせ、木曜日に社内説明会、金曜日に編者と打ち合わせをした。多方面に色々あるが、あまり中身をオープンにできないので、日記とい
もっとみるチンパンジーだけ残った――『Humankind』と『資本主義だけ残った』から
『隷属なき道』で知られるルトガー・ブレグマンの新作『Humankind 希望の歴史』が翻訳刊行された。現代にはびこる性悪説を覆し「人間の本質は善である」と雄弁に説く本書では、2000年に経済学者ジョセフ・ヘンリックが行なった「ホモ・エコノミクスが実在するかどうか」という調査が紹介されている。「五大陸、一二か国の一五のコミュニティを訪れ、そこで暮らす農民、遊牧民、狩猟民、採取民を対象として、一連のテ
もっとみる締切と人生と『ライティングの哲学』
『ライティングの哲学』(星海社新書)を読んだ。書くにあたって大事なのは冗長性を許すこと、という指摘に触発されて、これを書いている。千葉雅也さんは研究者の性分として冗長な文章を自制してしまっていた(小説を書いたことでそれが変わってきた)というが、これは編集者の病でもあると思った。帯という数十ミリのスペース上に、情報を効果的に入れる。ヒトは情報ぎらいだから、無駄な情報をそぎ落としていき、その本の「売り
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