ポストコロナ

コロナに感染して、咳が長引いたけどほぼそれも治ったかなというタイミングで妻がマカオでもらってきた風邪がうつって、並行して左の尻が日に日に腫れて痛く、医者にかかったら肛門周囲膿瘍であり痔瘻にもなっているだろうということだった。酒を飲みすぎた休日があり、そのときの水様便が肛門陰窩から入り込み、ポストコロナの弱い肛門腺が細菌に負けて炎症を起こし化膿したのではないだろうか。肛門周囲膿瘍を切り、膿を出した。気持ち悪い大量の膿。痔瘻なら手術。

だからこの1か月と少し、横になってばかりいる。「横臥する者たちだけが、自然は自分が最後に勝つということを隠そうともしない、と知っている」(ヴァージニア・ウルフ「病気になるということ」片山亜紀訳)。

横臥する者となった私は小説を書く。ある町で殺害事件が起こる。その遂行は到底不可能と思われた。名探偵の活躍により、やがて明らかになる真実――犯人は光の反射から世界の構造、物体同士の位置関係を析出する装置を作り上げていたのである。目を持たない知的生命体たちのお話でしたという叙述トリック。

『すばらしい人体』という本が読みたくて、尻から膿が止まらない。妻が買い物ついでに買ってきてくれた。


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