ニュー・ダーク・エイジにおけるネガティブ・ケイパビリティあるいは闇の自己啓発

私たちは暗黒を危険な場所、死の場所だとすら考えるよう教え込まれてきた。だが暗黒は自由と可能性の場所でも、平等の場所でもある。(……)私たちは不可知について、もっと学ばなければならない。不確実性は生産的に、崇高にすらなりうる。

ジェームズ・ブライドル『ニュー・ダーク・エイジ』栗原百代訳、20頁

"ここ"からの距離が遠くなるほど、言い換えれば不可知の圏域に私たちが近づけば近づくほど、光の速度が及ぼす支配力は弱まり、逆に闇はその本来の力能を増していくことだろう。

江永泉・木澤佐登志・ひでシス・役所暁『闇の自己啓発』カバー袖

ネガティブ・ケイパビリティ(negative capability   負の能力もしくは陰性能力)とは、(……)「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」を意味します。

箒木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ』3頁

意識的にグレーゾーンで生きることは、もし私たちがそうすることを選べば、振動する世界の半=真実にマスクをかぶせるような、私たちの限られた認識力を引き伸ばす、無数の解釈を試させてくれる。それはこれまで望まれてきたいかなる厳密な二進コードよりも、より良いリアリティの近似だーーあらゆる懸念は近似であり、そうであるほうがより説得力があることを認めることだ。

『ニュー・ダーク・エイジ』254頁

そして黄昏時に、光と闇のあわい、グレーゾーンに身をさらし、闇を見据え、闇を探り、闇から出現する異物を受け止め、受け流し、時には跳ね返すことで、人は歓待の徳をも身につけることができるのかもしれない。

『闇の自己啓発』補論「闇の自己啓発のために」(江永泉)、401頁

人生は己の手で解釈しなければならない。(……)人生を自身で解釈する力の増大を、人は自由と呼んできた。

同上

ネガティブ・ケイパビリティは拙速な理解ではなく、謎を謎として興味を抱いたまま、宙ぶらりんの、どうしようもない状態を耐えぬく力です。その先には必ず発展的な深い理解が待ち受けていると確信して、耐えていく持続力を生み出すのです。

箒木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ』77頁

「類題の解答例」を真似するためではなく、ひとつの謎になるために生きること。己にしか立てられぬ問いを身で以て示すように生きること。

『闇の自己啓発』補論「闇の自己啓発のために」(江永泉)、401頁

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