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【社会学コラム】「自殺」と「失踪」は全く意味が違う?LINEの「未読」心理とは。


「自殺」と「失踪」の違いってなんだと思いますか?


私が大学で好きだった授業に「社会学」があります。その中の一つのテーマに上のような問いがありました。

確かに、その人が自分の前から存在しなくなるという意味では似ている行為だと思います。しかし、そこには明確な違いがあります。


まず、実態を知るためにデータを見てみましょう。


はじめに自殺者を見ていきます。警察庁によると、2万人以上の自殺者がいることが分かります。

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次に、失踪者を見ていきます。こちらも警察庁によると、届け出のあった失踪者=行方不明者は毎年8万人以上います。微量ですが、増加傾向もあります。

スクリーンショット (112)


この中には被っている人もいるとは思いますが、毎年10万人のひとが、自殺、または失踪という行為をしていることになります。


では、それぞれの意味を考えてみましょう。

「自殺」は応答不可能という応答。

歴史ドラマなどで、責任を取って自決するというシーンがあるように、自身の死という行為で、責任の履行をできないという応答をするという意味があります。つまり、これ以上応答できないというこれ以上ない強いメッセージを持った応答によって責任の追及を終了する役割があります。


「失踪」は応答の可否すら応答しない。

自殺と比較して、責任を履行できるか、できないかの応答すらしないのが「失踪」です。そのため、責任の追及を終了することはできず、「怒られる」「探される」という他者からの想像上の呼びかけにさらされ続けることを意味します。


「死ぬこと」と「消えること」は、既存の人間関係から逃げたいときに、かつてのコミュニケーションから離れるという似た行為ですが、前者は「他者に応える勇気」、後者は「他者に応えない勇気」を持った行為なのです。


ここでいいたいのは、「無責任、責任の放棄だから悪い」とか、「頑張ったからえらい、同情する」という話ではないです。

コミュニケーションの手段として、「自殺」と「失踪」という行為の意味を分析し、解釈するという機会を作りたかっただけです。


「既読」と「未読」

これらと似たような概念として、「既読」と「未読」があると思っています。

LINEをしている中で、「既読スルーは感じ悪いよね」「うわ、未読で放置してる」のような声をよく聞きます。実際、この二つの概念を、「自殺」と「失踪」に当てはめて考えてみましょう。

「既読」は返信しないという意思表示。

メールや手紙では考えたことのない機能である「既読」。その名も通り、メッセージを既に読んだことを相手に伝える機能です。そして、暗黙の了解として、既読の後には返信をするというルールもあるように思えます。しかし、このルールを逆手に取り、既読を付けて返信しないという意思表示をうまく使っている人も多いのではないのでしょうか。つまり、「既読」にも、文字やスタンプの返信のように、返信しないという返信の意味を持っていると考えることができます。


「未読」は返信の可否すら意思表示しない。

それに対し「未読」は相手に何も返答をしません。そのため、相手は「忙しくて返信できないのか」「意図的にみられていないのか」など様々に推測することになります。そして、それは自分が様々な推測にさらされ続けるということを同時に意味します。


「既読」と「未読」。どちらも返信しない行為ですが、相手に与える意思表示ははっきりと違うことが分かります。

既読スルーも未読スルーもされたら少し悲しいですが、無責任というレッテルを張るのではなく、相手の自分に対する向き合い方の一つとして受けととめてみると少し楽になるかな、と思います!


おわりに

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