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瀬戸内めぐり Day3  直島

瀬戸内めぐり Day3  直島

1日目(犬島→豊島)はこちら

2日目(豊島)はこちら

<3日目>

10月12日、関東方面に猛烈な台風19号が直撃した日、私は直島にいた。

前日の夜に高松港に張り出されていたフェリーの運航スケジュールは、犬島行きも豊島行きもすべて欠航、そもそも瀬戸内国際芸術祭の全プログラムがすべて中止となっていた。当然だ。東京からの飛行機は全便欠航になったのだから。

しかし、掲示板をよく見ると、直島行きの

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瀬戸内めぐり Day2 豊島

瀬戸内めぐり Day2 豊島

1日目犬島→豊島はこちらhttps://note.mu/shorinnposu/n/n65e06181adbe

豊島メモ。

◯天気のいい日は絶対レンタサイクル(電動アシスト必須)で回ったら気持ちいい
◯からとレンタサイクルは荷物も預かってくれるし、今浦港まで荷物運ぶオプションもあった
◯豊島美術館は(芸術祭の間だけ?)9時から空いてた。10時から今浦港から押し寄せる観光客でいっぱいになるので、

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変容する世界、情の時代。-あいちトリエンナーレ-

変容する世界、情の時代。-あいちトリエンナーレ-

どうしても自分の目で見てみたくて、あいちトリエンナーレに行った。
話題になっていた「表現の不自由展・その後」は、数多くのプログラムのうちのコンテンツの1つ。不自由展の展示中止を受けて、他の作品も見られなくなったり、展示内容が変わったりしていた。もう見られなくなった作品の数々を、展示室入口に残されたキャプションから想いを馳せる。

私は芸術家ではないけれど、文化芸術に触れることは、「わけのわからない

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2018年 美術館・展覧会・芸術祭 備忘録

2018年 美術館・展覧会・芸術祭 備忘録

2017年の記事(https://note.mu/shorinnposu/n/nc03cd1c40481)
に引き続き、備忘録として記録。

2018年は27の展覧会(芸術祭)を観に行った。前年は19だったので少し増えた。地元の大分と東京を行きつ戻りつしながらも、可能な限り大分の展覧会にも足を運んだ。国民文化祭の開催地になったこともあり、これまでになく地元がアートで盛り上がった1年だった。
個人的

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大分で、日本美術の巨匠達に出会う。-東京国立博物館名品展 @大分県立美術館 OPAM-

大分で、日本美術の巨匠達に出会う。-東京国立博物館名品展 @大分県立美術館 OPAM-

美術館が面白いと思ったのは、高校3年生の夏だったとはっきり覚えている。
部活での大会参加のために訪れた東京、空き時間に顧問の先生に連れて行ってもらった東京国立博物館で行われていた特別展「対決-巨匠たちの日本美術」が、最初のブレイクスルーだった。

当時受験勉強の為に日本史Bで習った、本阿弥光悦の「舟橋蒔絵硯箱」を生で観て、その意匠のあまりの美しさに、しばらくその場から動けなかったのを覚えている。

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文化の祝祭、おおいた大茶会 -いま、大分で起きていることについて-

文化の祝祭、おおいた大茶会 -いま、大分で起きていることについて-

今年の秋、大分県では「国民文化祭」と「全国障害者芸術・文化祭」という2つの大会が、「おおいた大茶会」というテーマのもとに同時開催されています。毎年どこかの都道府県で行われている国民文化祭が大分にやってくるのは20年ぶりです。

この20年間で、文化やアートをめぐる取組は、全国各地で地域づくりの文脈と深く関わりながら、一昔前よりも多様かつ盛んになってきました。
大分県内でも、「混浴温泉世界」(20

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大地の祝祭 -越後妻有アートトリエンナーレ-

大地の祝祭 -越後妻有アートトリエンナーレ-

先週の土日に、思い立って1泊2日で新潟を巡ってきた。
大地の芸術祭(越後妻有アートトリエンナーレ)に行きたかったのだ。

3年前、地元の別府でやっていた芸術祭「混浴温泉世界」の特集を見るために購入したozマガジンの同じ号に、越後妻有トリエンナーレの記事が載っていた。
エチゴツマリ。聞いたこともない地名だったけれど、一度聞くと忘れられない語感だ。ツマリ、のところが特にいい。
青々とした大地に、逆

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ヌードと、はだか -横浜美術館「ヌード NUDE」展によせて

ヌードと、はだか -横浜美術館「ヌード NUDE」展によせて

小さなころから、身体のことが不思議だった。

身体というか、肉体というか、はだか。

どうして、温泉ではためらわず他人どうしはだかを見せ合えるのに、女の人のはだかというのは、多くの場面において、いやらしい文脈の中に取り込まれるのだろう、と思っていた。

いつからかはわからないけど、ごく正常に、けれど私は割と早い段階で人のはだかに興味があった。

なぜそれに惹かれるのかもわからないままだったけれど、

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2017年 美術館・展覧会・芸術祭・公演 備忘録

2017年 美術館・展覧会・芸術祭・公演 備忘録

1年が終わるので、備忘録としてまとめておく。
展覧会・芸術祭系の個人的ベスト3を挙げるなら、雨の中散策した宮城県石巻市のリボーンアートフェスティバル、ラブドールに触れたオリエント工業展、スラヴ叙事詩が圧巻だったミュシャ展の3つ。上野のアルチンボルド展、怖い絵展に行けなかったのがちょっと心残り。

もうすぐ東京生活も折り返しなので、悔いのないよう過ごす。

【展覧会・芸術祭】
4/16「ゴールドマン

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ヨコハマトリエンナーレ 島と星座とガラパゴス

ヨコハマトリエンナーレ 島と星座とガラパゴス

横浜は雷雨、港の向こう、遠くから灰色の厚い雲の来襲。
東京では花火大会も中止になったという。
あまりにも雨のふり方が潔くて、憂鬱だとすら感じない。夏、終わるのか、終わらないのか。どっちなんだ。

ヨコハマトリエンナーレ、赤レンガ倉庫の展示が個人的にどれもすごくよくて、特に印象に残ったのは、ラグナル・キャルタンソンの映像作品。

別々の部屋にいる人たちが同じ音楽を奏でる様子を複数のスクリーンに投

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8月12日  石巻市  大雨

8月12日 石巻市 大雨

Reborn-Art Festival

その日の牡鹿半島の雨風はビニール傘をあっという間に壊してしまって、名和晃平の鹿のオブジェにたどり着く頃には、着ていた洋服は何もかもずぶ濡れで、茶色く濁った泥水が足にまとわりついて、いったい何をしにここに来たかも分からなくなるほど、一日中、殴るように、怒るように、それは降っていた。

震災の後何もなくなった大地と、それと同化した様々な人達の意思が、ダイナ

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別府というまち -よどみあう、まざりあう、そこにはもう一度、何かがある-

別府というまち -よどみあう、まざりあう、そこにはもう一度、何かがある-

わたしが生まれた大分県の別府市という町は、温泉がたくさん湧いていて、町のあちこちで湯煙がたちのぼっている。
あと、それから、坂が多い。方角は東西南北よりも、「上」とか「下」をよく使う。
海がある方が下で、山がある方が上だ。

中学、高校生の頃、10号線沿いの港町にある実家から、徒歩でひたすら坂を上って山の方面へと向かっていく行きの通学路を疎ましく思っていたけれど、
帰り道にそれは逆に海へと続く

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すごいぞ、大分のアート。"大分発アヴァンギャルド「芸術都市の水脈」〜田能村竹田からネオ・ダダまで〜"@大分市美術館

すごいぞ、大分のアート。"大分発アヴァンギャルド「芸術都市の水脈」〜田能村竹田からネオ・ダダまで〜"@大分市美術館

大分県立美術館(OPAM)では現在、「モダン百花繚乱」と称した開館記念特別展が行われているけれど、大分市美術館も負けてなかった。

OPAMの開館記念特別展に行ってからというもの、大分県出身の芸術家へのふわふわした知的好奇心がくすぐられていたのだけど、その好奇心を存分に満たしてくれる素晴らしい展示内容だった。

美術館に行くきっかけって何だろうと考えた時、魅力的な特別展がある、というのはひとつ

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