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日々のあれこれと「今日の一冊」

 二十四節気「芒種(ぼうしゅ)」。イネ科の植物に多く見られる芒(のぎ)がある植物の種を撒く時期ということからこの名前がつけられたそうです。
 全国的に梅雨入りし、雨の季節となりました。6月の博多といえば「博多座六月大歌舞伎」。1999年6月にやはり同じく「歌舞伎」がこけら落とし公演だった博多座。

階段をのぼって「博多座」の入り口へ

 博多座向かいの「川端通商店街」入口には、明治時代に大流行した「オッペケぺー節」で有名な川上音二郎の像もあり、歌舞伎をはじめ、お芝居やミュージカル、宝塚歌劇など、さまざまな舞台が月替わりで上演されています。
 今年の「六月大歌舞伎」では、コロナ以降中止が続いていた出演者による「船乗り込み」が4年ぶりに開催され、博多の街に華やいだ雰囲気が戻ってきました。

 劇場入口には、大きな公演ポスターも掲げられ、興味深そうに写真に収めている外国人観光客の方も多数! やはり「歌舞伎」=「日本」のイメージなのですね!

大きく掲げられた「六月博多座大歌舞伎」のポスター

 今回観劇したのは「夜の部」。

一:夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
二:羽根の禿(はねのかむろ)/うかれ坊主
三:三人吉三巴白波(さんにんきちさともえのしらなみ)

 「夏祭浪花鑑」では、実際の水が使われる「本水(ほんみず)」も見どころの一つです。
 通称「泥場」と言われる長町裏の場面。内容の詳細は他に譲りますが、主人公が身体の汚れを慌てて洗い流す際に井戸から汲む水は本物! ばっさばっさと身体にかける場面は迫力満点です。

 演劇等最前列の席を「かぶりつき席」と言いますが、一説には江戸時代、歌舞伎の舞台で本物の水や泥を使う演出も多く、その際一番前の観客には汚れや水を防ぐための「かぶりもの」が用意されていたとか。そこから最前列の席を「かぶり」が「付く」席、「かぶりつき席」と呼ぶようになったとも言われているそうです。

 「羽根の禿」では、江戸時代の遊郭の見世先で初春に羽根つきをする禿の愛らしさを、また、「うかれ坊主」では、江戸時代に流行したといわれる「悪」の字のついたお面をかぶって「悪玉踊り」「まぜこぜ踊り」をする様と、一人の踊り手がまったく違った趣向の踊りを踊るのも見ものです。踊り手の体幹の強さに感動します!! 「よくぞあの姿勢で……」と思わずにはいられません。

  「三人吉三巴白波」は、江戸歌舞伎でいう「世話物」と言われ、「月も朧に白魚の~(中略)こいつは春から縁起がいいわぇ」の名セリフは、歌舞伎を観たことがない方でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? この有名な「大川端庚申塚の場」は、歌舞伎の中でもスター級の名場面と個人的には思っています。

 たっぷり3時間半、和の世界に浸ったあとの「今日の一冊」。

 歌舞伎は江戸時代に大きく花開きましたが、同じく江戸時代、人々の間で空前のブームになったものがあります。
 
 それが「和算」。

 特に寛永4年(1627年)に発行された数学書「塵劫記」は大ベストセラーになり、後に日本の和算家の大家と言われる関孝和も、この「塵劫記」で学んだと言われています(今でもよく聞かれる「ねずみ算」もこの「塵劫記」が初出なんだそう)。

 今のようにコンピューターもない中で、日本独自で発達した「和算」はまさに世界最高水準!! 

 そう聞くと、「なんだかすごいぞ!」と興味がわいてきませんか?!  当社「ちしきのもりシリーズ」の「日本の算数 和算って、なあに?」(著:小寺裕)は、そんな独自の発展を続けた和算の歴史を、実際の和算問題を読み解きながらより詳しく、学び、楽しめる本となっています。

『日本の算数 和算って、なあに?』

 反物を使ったパズル「裁ち合わせ」や、米俵を積み重ねた時に全部で何俵あるかを求める「杉形算」など、今でも「なるほど!!」と思う問題もあるので、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか? 「算数はちょっと苦手……」、そんなあなたも、これを読めば「和算」の奥深さと面白さに夢中になること請け合いです!!

~おまけ~
 「歌舞伎」に興味はあるけど、ちょっと敷居が高いと思っている方にお勧めしたいのが「一幕見」。
 その名の通り、興味のある一幕だけを観ることができるチケット(一幕見券)があります。そちらで体験してみるのはいかがでしょうか?!

 また、歌舞伎は演目の一部分を上演する場合も多く、前後の話を知らないと「???」となってしまう場合も。
 そんな時の強い味方が「イヤホンガイド」。
 舞台のあらすじや見どころ、台詞の説明をリアルタイムで説明してくれるので、さらに舞台が楽しめること間違いなしです!

同時解説を楽しむことができるイヤホンガイド

【書籍情報】
📚 ちしきのもりシリーズ(13)『日本の算数 和算って、なあに?』
江戸時代の日本は、世界にも類を見ない「算数」先進国だった!?  庶民までもが夢中になった江戸時代のすごい算数「和算」について、その独自の発展のしかたと特徴を紹介。算数嫌いの子どもたちにこそ読んで欲しい、算数の別の面を知るための一冊。世界の算数の歴史も紹介。

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